20話〔帰宅〕
=冒険者ギルド前=
友希斗「いがいに近かったんですね」
睦月「まあな」
友希斗「……」
睦月「何だ? 入らないのか?」
友希斗「どんな顔で千夜に会っていいのか……」
睦月「大丈夫だ」
友希斗「睦月さん……」
睦月「手でも握ってやろうか?」
友希斗「大丈夫ですよっ!!」
睦月「ふ、そうか」
【ガチャ】
友希斗は扉を開けようとしたが先に扉が開いた。
友希斗「!?」
千夜「本当に帰ってきてるっす」
友希斗「千夜……」
千夜「おかえりっす」
友希斗「た……だいま……」
千夜「ん?」
睦月「な、何で分かったんだ」
千夜「冴が帰ってきたって言うから見にきたんっすよ」
睦月「へ、へぇー」
千夜「何か二人とも変っすよ?」
睦月「そうか?」
冴「ゆきとー」
友希斗にめがけて突進してきた。
友希斗「うおっと!!?」
冴「おかえり」
友希斗「冴ただいま」
千夜「冴寂しがってたんっすから」
友希斗「ごめんね」
冴「ちやもさみしがってた」
千夜「なっ!? べ、べつに」
冴「すなおじゃない」
千夜「うっ……」
睦月「ずいぶんと口が達者になってんな」
友希斗「冴凄いね」
千夜「夏乃に任せたのが間違えだったっす」
夏乃「人聞きの悪い事言わないでよ」
千夜「だって本当の事じゃないっすか」
夏乃「そう?」
冴「かの、ちやがすなおじゃない」
夏乃「だよね本当に素直じゃないよね」
千夜「もううるさいっす」
友希斗「千夜……」
千夜「何すか?」
友希斗「……ううんなんでもない」
千夜「もう何なんっすか」
友希斗「ごめん……」
千夜「?」
睦月「それよりここに居たら邪魔だろ」
夏乃「確かにそうだね」
千夜「そうっすね」
=冒険者ギルド=
千夜「それより友希斗を何処に連れ出したんっすか!?」
睦月「連れ出したって」
友希斗「ち、違うんだよ俺が睦月さんに無理言ったんだよ」
睦月「いや、俺が」
友希斗「いいえ俺が」
夏乃「庇いあっちゃって」
千夜「どうせ俺強いから大丈夫とでも言ったんじゃないんっすか」
睦月「うっ……」
千夜「図星っすね」
友希斗「千夜……睦月さんは」
千夜「大丈夫だったんっすか?」
友希斗「大丈夫って?」
千夜「それは……」
睦月「……」
友希斗「もしかして千夜も知ってんの? 俺の力の事?」
千夜「なっ!!?」
友希斗「やっぱり知ってたんだね」
千夜「何で友希斗がそれを知ってるんっすか!?」
友希斗「最近……いろいろ昔の事思い出すんだよ……」
千夜「そんな……もしかして……おばさん達の事……」
友希斗「お母さん達の事? 何で?」
千夜「いや……何でもないっす」
友希斗「千夜何か変だよ?」
千夜「他は何か思い出したっすか?」
友希斗「他……それは……」
睦月「それより受付しなくていいのかよ」
睦月は目線を受付に向けた。
夏乃「あっ! いけない千夜話は後で」
千夜「分かったっす」
二人はそそくさと受付のカウンターに戻って行った。
友希斗「助かりました……」
睦月「おう」
冴「ゆきとかくしごと?」
友希斗「えっ!?」
冴「かくしごとだめ」
友希斗「し、してないよ」
冴「……」
冴は友希斗をジーと見つめた。
友希斗「うっ……」
睦月「あまり虐めてやるな」
冴の頭に手を置いて言った。
冴「____わかった、いまはきかない」
友希斗「冴……」
冴「ゆきとがはなしたくなったらはなす」
友希斗「冴ありがとう」
友希斗は冴の事をギュッと抱きしめた。
冴「よしよし」
友希斗の背中をポンポンと軽く叩いた。
睦月「それにしても容姿も少し変わったか?」
友希斗「確かに」
睦月「それじゃ俺は行くぞ」
友希斗「えっ……行っちゃうんですか?」
睦月「何だよもう寂しいのか?」
友希斗「はい……」
睦月「悪いな俺もやる事があるからな」
友希斗「はい……」
睦月「また顔出すからそんな顔するんじゃねぇよ」
友希斗「本当ですか」
友希斗の顔はパァァァっと明るくなった。
睦月「お前は本当にわかりやすい奴だな」
友希斗「睦月さんは強いですけど気をつけてくださいね」
睦月「ああ」
そう言ってギルドから出ていった。
友希斗「……」
友希斗は睦月が出て行った扉を見つめた。
冴「ゆきとさみしい?」
友希斗「少し……」
冴「いいこいいこ」
冴は友希斗の頭を撫でた。
友希斗「冴……」
冴「ゆきとこっちこっち」
冴は友希斗手を引っ張った。
友希斗「どこ行くの?」
=訓練所=
友希斗「ここに連れてきてどうしたの?」
冴「みてて」
冴は目にも止まらぬ早さで稽古用の人形を木っ端微塵に粉砕した。
友希斗「ええぇえ!!?」
冴「すごい?」
友希斗「冴! 凄すぎたよ!」
冴「つよい?」
友希斗「うん」
冴「うれしい?」
友希斗「もしかして俺の為に? うん嬉しい」
冴「そっか」
冴は嬉しそうに笑った。
友希斗「本当に強くなったね」
冴「うん、さくのおかげ」
友希斗「そっか」
友希斗はニコニコしなが言った。
冴「ゆきと、さくのはなしするとにこにこする」
友希斗「えっそうかな?」
冴「うん」
友希斗「き、気のせいだよ」
冴「ふーん」
友希斗「冴?」
冴「ん?」
友希斗「何か意地悪になってません?」
冴「そう?」
友希斗「そ、そういえば今日冴玖は?」
冴「きょうはみてない」
友希斗「そっか」
それからしばらく冴の繰り出す技を見せられていた。
数時間後・・・・
友希斗「おお! 凄い凄い」
冴「いまのどう?」
友希斗「凄い」
グッと親指を立てた。
千夜「まだここに居たんっすか」
友希斗「おわっ!?」
千夜「そんなに驚くもんすか?」
友希斗「急に声かけるから」
千夜「それはごめんっす」
友希斗「それより仕事は?」
千夜「もう終わったっすよ」
友希斗「えっ!? もうそんな時間?」
千夜「そうっすよどんだけここに居たんっすか」
友希斗「いや~冴がいろんな凄い技を繰り出してたから」
千夜「冴玖がしこんだっすからね」
友希斗「冴玖凄いよね」
千夜「何で友希斗がそんな嬉しそうなんっすか?」
冴「さっきもそうだった」
千夜「それはちょっとひくっす」
友希斗「えっ……」
千夜「さすがに自分の前で違う女の人でニコニコされるとちょっとモヤっとするっす」
友希斗「ごめん……」
友希斗はうなだれながら謝った。
千夜「……」
友希斗「千夜?」
千夜「ぷっ」
千夜は吹き出した。
友希斗「へっ……」
千夜「あははごめんっす」
友希斗「……」
千夜「本当に面白いっすね」
友希斗「酷いじゃないか」
千夜「ごめんごめんっす」
友希斗「もう……いじわ……!!」
友希斗はその場から駆け出した。




