18話〔夢〕後編
=友希斗宅=
子供千夜「はぁはぁ……」
友希斗母「あら千夜ちゃんどうしたの?」
子供千夜「友希斗帰ってきてるっすか?」
友希斗母「いや、まだ帰ってきてないわよ」
子供千夜「そんな」
友希斗母「まだ明るいから、どうせその辺で遊んでるわよ」
子供千夜「…………っ」
【タタタタ】
友希斗母「あら行っちゃった」
=村長宅=
子供千夜「はぁはぁ……」
千聖「どうしたんだ?」
子供千夜「友希斗来てるっすか?」
千聖「来てないぞ?」
【ガチャリ】
琉晴「どうかしたのか?」
扉が開き中から琉晴が出てきた。
子供千夜「何で……」
琉晴「ん?」
子供千夜「千聖姉の部屋に居たんすか?」
琉晴「えっと……その……」
子供千夜「……」
千聖「本当にどうしたんだ?」
子供千夜「もしかして……村の外に……」
千聖「!!?」
琉晴「それは危ないな探しに行ってくる」
千聖「千夜、友希斗はちゃんとお守りを着けていたか?」
子供千夜「大切な物だから着けてたっす」
琉晴「お守り? どういう事だよ?」
千聖「すまない今は説明してる場合じゃないんだ」
素早く支度をして家を飛び出した。
琉晴「千聖!?」
=森=
子供友希斗「酷いよ……千聖さん……」
友希斗はさきほど見た光景を思い出していた。
子供友希斗「ちさ……」
窓に千聖の姿を見て声を掛けようとした。
琉晴「頼む!! 俺と一緒に来てくれっ!!」
千聖「何を言ってるんだ」
琉晴「家族が俺の帰りを待っているんだ……ここには居られない……だから……」
千聖「すまない……それは出来ないんだ」
琉晴「もしかしてあの噂のせいなのか?」
千聖「それは……」
琉晴「もしかして本当に実在するってのか」
千聖「……」
琉晴「そうなのか……」
千聖「すまない……」
琉晴「そりゃそうか俺部外者だもんな」
千聖「そういう訳じゃ……」
琉晴「俺は千聖が」
後ろから抱きしめた。
千聖「琉晴……」
後ろを向いた千聖に口づけをした。
千聖「ん……」
子供友希斗「……」
=森=
子供友希斗「何で……どうして……」
ギュッと首にあるお守りを握った。
子供友希斗「……」
「これを肌身離さずに持ってるんだぞ」
子供友希斗「……」
「わ~いわ~いこれ俺の宝物にする」
子供友希斗「……」
「ああ」
子供友希斗「う゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」
膝から泣き崩れた。
【ガサガサ】
子供友希斗「!?」
黒ずくめの男「やっと一人になったか」
子供友希斗「……」
黒ずくめの男「ほーう、お前でも涙を流すんだな」
子供友希斗「……」
黒ずくめの男「ちっガキがっ!!」
【バキッ】
子供友希斗「うぐっ……」
蹴り飛ばされて吹っ飛んだ。
黒ずくめの男「ふっ、ははは」
子供友希斗「……ぐっ……」
友希斗はその場に立っている男を睨みつけた。
黒ずくめの男「本当にむかつくなクソガキっ!!」
倒れている友希斗を踏みつけた。
子供友希斗「っ……」
黒ずくめの男「お前を連れて行けば俺は昇格できるんだよ死なない程度に憂さ晴らしさせてもらうぞ」
子供友希斗「ぐっ……」
友希斗は拳を握りしめた。
黒ずくめの男「おっそれは俺が貰ってやるな」
子供友希斗「これは駄目っ!?」
黒ずくめの男「よこせっ!!」
友希斗の首元にあったお守りを引きちぎった。
子供友希斗「か、かえしてっ!!!」
黒ずくめの男「ガキがこんないいもん持ってたら駄目だろ」
子供友希斗「お願いです……それは大事な物なんです……返して下さい……」
黒ずくめの男「返すわけないだろう」
「グルルル」
黒ずくめの男「ひっ」
子供友希斗「白い狼?」
黒ずくめの男「何でっ!? こんな所に奴がっ!!」
「グガァァ」
白い狼は襲いかかってきた。
黒ずくめの男「くそっこんな所で死んでたまるかっ!!」
子供友希斗「!?」
黒ずくめの男「確か森の奥に願いを叶えてくれる魔女が!! 行くぞっ!!」
子供友希斗「離してよっ!!」
黒ずくめの男は友希斗を小脇に抱えながら走った。
黒ずくめの男「これでもくらえっ」
煙幕の玉を投げた。
=森の中=
黒ずくめの男「ここだ」
【ガサッ】
黒ずくめの男「さすがに早いなもう追って来たのか」
「ガルルル」
黒ずくめの男「これをやる」
そう言って友希斗を白い狼の方に投げた。
子供友希斗「へっ……」
【ドサッ】
子供友希斗「!!」
黒ずくめの男「ふっじゃあな」
「ガウッ」
黒ずくめの男「えっ…………ぐはっ……」
白い狼は黒ずくめの男を食いちぎった。
子供友希斗「あ……あ……」
黒ずくめの男「くくく……げほっ……次はお前だぞ…………クソ……ガ……キ…………」
白い狼は友希斗にめがけて走ってきた。
子供友希斗「ひっ……」
友希斗は恐怖のあまりに腰を抜かしてその場に座り込んでしまった。
「グルルル」
子供友希斗「っ……」
目をつぶる。
【カキンッ】
子供友希斗「?」
ゆっくり目を開けた。
千聖「大丈夫か?」
子供友希斗「ち、千聖さん!!」
千聖「よく頑張ったな」
「グルルル」
千聖「厄介なのが呼び寄せられたか……」
「ガウッ」
千聖「っ……」
【キンっ】
爪を剣で受け止めた。
千聖「くっ……」
琉晴「千聖!!」
千聖「友希斗を連れて」
琉晴「そんな事出来るわけねぇだろ!!」
千聖「頼む……」
琉晴「俺も戦う」
そう言って切りつけようとしたが。
千聖「琉晴!!」
「ガウッ」
【ザシュッ】
琉晴「ぐはっ……」
鋭い爪に引っかかれてしまった。
子供友希斗「琉兄ぃ!?」
友希斗は琉晴の傍に駆け出した。
千聖「友希斗!!」
「ガウッ」
その後ろから白い狼が迫って来ていた。
子供友希斗「わっ!!」
【ザシュッ】
千聖「大丈夫か?」
子供友希斗「そんな……そんな……」
千聖は友希斗を守る形で抱きしめていた。
千聖「っ…………」
千聖はドサッっとその場に倒れた。
琉晴「ち、千聖……」
子供友希斗「わあああああぁぁああ」
友希斗はボロボロ涙を流しながら叫んだ。
「ガルルル」
子供友希斗「わぁぁああぁ」
「人の家の前でうるさいわね」
「!?」
白い狼はブルブル震えだした。
千聖「随分とのんびりだな……」
「誰かと思ったら」
琉晴「お前は……」
千聖「頼む……」
「私は人に手を貸せないの知ってるでしょう?」
千聖「ああ」
「そう……」
千聖「私の……」
琉晴「駄目だ!!」
千聖「琉晴……」
「グルルル」
白い狼は震えながらも体制を立て直した。
「はぁ……おすわり」
「!!!?」
ひと睨みで大人しくなった。
琉晴「だったら俺の命を」
千聖「琉晴には生きてて欲しいんだ」
琉晴「そんな事出来るわけないだろ!? 俺にとって千聖は大切な人なんだよ!!」
千聖「……私もだ」
琉晴「だったら……」
千聖「あの子も大切だから」
琉晴「っ……」
千聖「それに傷が深すぎだ」
琉晴「それでも……俺は……千聖の方が……」
千聖「そんな事……言わないでくれ」
琉晴「ぐっ……」
千聖「頼む」
子供友希斗「嫌だ!!?」
千聖「友希斗」
子供友希斗「千聖さんが死んじゃうなんて嫌だ!!」
千聖「友希斗は強い子だから大丈夫だ」
頭を優しく撫でた。
子供友希斗「でも……でも……」
千聖「千夜を頼むな、強がりだが意外に繊細だからな」
子供友希斗「千夜に何て言えばいいのか分からないよ……」
「もう肌身離さないで」
黒ずくめの男に盗られたお守りを渡された。
子供友希斗「あっ……ありがとうございます……」
千聖「相変わらずだな」
「うるさいわよ」
千聖「頼む」
「分かったわ……」
琉晴「頼むやめてくれっ!!」
立ち上がろうとしたが立てなかった。
千聖「あの子達を頼むな」
千聖の体は光りだした。
琉晴「!?」
千聖「はああああ」
「キャウン」
千聖「ああああ」
【ザシュッ】【ザシュッ】
琉晴「そんな……」
千聖「ああああああ」
【ザシュッ】
「ギャウンッ」
千聖「琉晴……し……る……」
魔女から貰った力で自分の命をけずり白い狼を倒して振り返り言った。
琉晴「えっ何だよ千聖」
そして千聖は消えてしまった。
琉晴「ち……さ……と」
「……」
子供友希斗「ち……千聖……さん」




