12話〔大人の余裕〕
=冒険者ギルド前=
友希斗「何で……」
冴珀「何だどこ行くんだ?」
友希斗「えっ買い出しに行こうと思いまして……」
冴珀「そうか少し歩くか」
友希斗「はい……」
冴珀「お前が元気ないのは変な感じだな」
友希斗「別に……元気ないわけじゃないですよ」
冴珀「強がってるか?」
友希斗「別に……」
冴珀「そうか」
友希斗「……」
冴珀「私は大人だぞ?」
友希斗「知ってますよ」
冴珀「子供らしく甘えたらどうだ?」
友希斗「俺子供じゃないですよ」
冴珀「そうだったのか」
友希斗「えぇ……」
冴珀「ふっ冗談だ」
友希斗「酷いですよ……」
冴珀「お前のその顔なかなかだな」
友希斗「冴珀さん……」
冴珀「何だ?」
友希斗「聖羽さん元気にしてるんでしょうか……」
冴珀「……」
友希斗「あっ屋台出てますよ」
冴珀「食うか?」
友希斗「はい」
屋台のおっちゃん「へいらっしゃい」
冴珀「これを、一つ貰えるか?」
屋台のおっちゃん「これは珍しいお客さんだ」
友希斗「冴珀さんは食べないんですか?」
冴珀「ああ」
屋台のおっちゃん「おやおや」
屋台のおっちゃんはニヤニヤしながら言った。
友希斗「ん?」
屋台のおっちゃん「デートですかい?」
友希斗「デ、デートじゃないです」
屋台のおっちゃん「そうかそうか、それにしてもギルドマスターが男を連れてくるとは、はいよ」
串に刺さったお肉を渡してきた。
友希斗「おおぉ美味そう、ありがとうございます」
屋台のおっちゃん「素直で可愛らしいやつだな」
冴珀「いくらだ?」
屋台のおっちゃん「今の笑顔で十分だ」
友希斗「流石に駄目ですよ」
屋台のおっちゃん「そしたら次に来る時にその笑顔でいっぱい客を連れてきてくれよ」
友希斗「分かりました頑張ってみます」
屋台のおっちゃん「ああ頼んだぞ」
冴珀「ちゃっかりしてるな」
しばらく歩いて噴水前のベンチに座った。
友希斗「けどこれめっちゃ美味しいですよ」
冴珀「それは良かったな」
友希斗「冴珀さんも一口どうぞ」
友希斗はそう言うと冴珀の口に串を運んだ。
冴珀「いらん」
友希斗「でも……美味しいですよ……」
冴珀「っ……はぁ……」
冴珀はため息をつきながらも一口食べた。
友希斗「どうですか?」
冴珀「ああ、なかなかだな」
友希斗「でしょう」
冴珀「私が元気をもらってどうするんだ」
友希斗「そんな事ないですよ俺冴珀さんとこうしてるの凄く楽しいですよ」
冴珀「まったくお前という奴は」
友希斗「確かに悲しかったですけど……きっと何か理由があると思うので」
冴珀「随分と信頼してんだな」
友希斗「それはもちろん……俺の……」
冴珀「どうかしたのか?」
友希斗「いえ……俺の……」
冴珀「ん?」
友希斗「俺の……恩人……」
冴珀「変だぞ大丈夫か?」
友希斗「はい……でもどうしても思い出せないんですよ」
冴珀「何をだ?」
友希斗「聖羽さんに会った時の事を」
冴珀「……」
友希斗「聖羽さんとどうやって」
冴珀「そのうち思い出せば良いんじゃないのか」
冴珀は友希斗の頭をポンポンした。
友希斗「冴珀さん……」
冴珀「何だ私の胸でも借りたくなったののか?」
友希斗「それは……」
冴珀「言っただろ私は大人だぞ?」
友希斗「うっ……でも……」
冴珀「強情だな」
友希斗「……」
冴珀「借りたくなったら言え貸してやる」
友希斗「ありがとうございます」
冴珀「それじゃ戻るぞ」
友希斗「はい」
帰り道の途中で露店の店主に呼び止められた。
露店の店主「そこのお兄さん彼女さんにいかがですかい?」
友希斗「えっ!? ち、違います」
露店の店主「そうなのかい?」
友希斗「俺なんて冴珀さんに釣り合わなさすぎですから」
露店の店主「そうかい?」
友希斗「はい! こんな綺麗な人に俺なんて……」
冴珀「なっ……」
露店の店主「ふふ、そうかいそうかい」
友希斗「ん?」
冴珀「さっさと行くぞ」
冴珀は足早に行ってしまった。
友希斗「冴珀さん怒っちゃったのかな?」
露店の店主「それは違うんじゃないかい」
友希斗「え?」
露店の店主「きっと照れてるんじゃないのかい」
友希斗「そうなんですか?」
露店の店主「ふふ何か一つプレゼントでもしたら良いんじゃないのかい」
友希斗「なるほど」
露店の店主「どれにするんだい」
友希斗「うーん……」
友希斗は一通り目を通した。
友希斗「あっこれが良いです」
露店の店主「それにするのかい?」
友希斗は琥珀色で雫の形になっているペンダントを選んだ。
友希斗「はい冴珀さんに似合いそうですから」
露店の店主「何より心から選んでくれるものだったら嬉しいと思うぞい」
友希斗「いくらですか?」
露店の店主「お兄さんは可愛いからおまけをしてやるぞい」
友希斗「良いんですかありがとうございます」
露店の店主「ああ銀判一枚におまけしてしてやるぞい」
友希斗「はい」
露店の店主「また次も買いに来たらおまけするするぞい」
友希斗「また買う機会があったら寄りますね」
露店の店主「待ってるぞい」
=冒険者ギルド前=
友希斗「はぁはぁ冴珀さん早すぎですよ」
冴珀「遅かったな」
友希斗「冴珀さんが早すぎるんですよ」
冴珀「悪かったな」
友希斗「あの……」
冴珀「何だ?」
友希斗はモジモジしながらペンダントが入った箱を取りだした。
冴珀「ん?」
友希斗「これ今日のお礼です」
冴珀「私にか?」
友希斗「はい」
冴珀「お前は本当に……」
友希斗「ん?」
冴珀「いやなんでもない」
友希斗「どうですか?」
冴珀「ああ、なかなか」
友希斗「つけますよ?」
冴珀「そうだな頼むぞ」
友希斗は冴珀が髪をかきあげ、うなじが見えた瞬間に顔が赤くなった。
友希斗「っ……」
冴珀「何だ?」
友希斗「い、いえ……つけますね」
冴珀「ああ」
冴珀の首にペンダントを付けた。
冴珀「どうだ?」
友希斗「とっても似合ってますよ」
冴珀「ありがたく貰っとくな」
友希斗「はい」
冴珀「まったくその笑顔は反則だな」




