殺害リスト① 中目優樹菜
「忠告って何?」
「遠藤さんがみんなに囲まれて文句を言われたの。優樹菜、同じ部活だったから。部活にやってきた遠藤さんに言ったの。あの日、浦部みゆなが遠藤さんが泣いてる姿を笑っていた事」
「笑っていた?」
「そう。涙浮かべて泣きそうになってる顔が面白かったって言ったの」
面白かっただと……。
その言葉に、浦部みゆなが主犯なのがわかった。
「それで、次は何しようかなーーって喜んでいたの。それも伝えたわ。あの日、浦部みゆなが25人の女子生徒を引き連れて遠藤さんに詰めよったの。遠藤さんは、廊下の端に追いやられて逃げ場を失っていた」
「それで、中目さんは何をしてたんだ?」
「私?私は、言われた通りにみんなと同調する役だった。別に何も悪い事してないでしょ?ちゃんと忠告だってしたもの。だけど、遠藤さんは頑張って夏まで学校に来ちゃってさ」
「中目さんは、遠藤に学校に来ない方がいいと忠告したって事か?」
「まさか、そこまで責任取りたくないわよ。だから、忠告しただけよ。浦部みゆなが何かを仕掛けてるって。そしたら、普通は察するでしょ?だけど、遠藤さんは学校に来たのよ。いい子ちゃんすぎでしょ?」
中目優樹菜の私は悪くないと言いたげな眼差しに吐き気がする。
「遠藤は、忠告を聞かなかったから死ぬ事になったといいたいのか?」
「フフフ。別にそんな言い方してないわよ。ただ、察しが悪かったから死ぬしか出来なかったんじゃないって事。まあ、そもそも。次は、参加するつもりはないって私はみゆなちゃんに伝えていたから。関係はないわ。遠藤さんの話、気になるなら小川千景に聞いてみたら?彼女は、遠藤さんとこの部活で仲良くなってたから」
「わかった。ありがとう」
中目からの言葉で、25人の生徒に囲まれた事がわかった。
そして、中目が犯した罪は何があったかを櫻子に忠告という言い方で伝えた事だ。
中目の歪んだ正義感は、櫻子をさらに傷つけたのがわかる。
自分は、いい事をしたように思っているが違う。
人には、わざわざ知らなくていい真実だってある。
中目は、ただ自分が楽になりたかっただけだ。
櫻子に伝える事によって、私は浦部みゆなに指示されただけだから悪くないのと言いたかっただけ。
将来、中目みたいな人間が子供を産み母親になると思うとゾッとする。
中目の歪んだ正義感が遺伝するぐらいなら……。
俺が、殺してやる。
【中目優樹菜、お前の死に方は串刺しだ】
「色々、話を聞かせてくれてありがとう。小川千景さんに話を聞かせてもらいたいんだけど。どこにいるかわかる?」
「お昼休憩は、たいてい中庭で。三村弘美とお弁当食べてるはずよ」
「わかった。ありがとう」
「いいのよ。また、気になる事があったらいつでも聞いて。何でも答えるから」
「わかった。それじゃあ」
時刻は、12時半。
まだ、小川千景に話を聞きに行ける。
俺は、走って小川千景に会いに行く。