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烏真家

 



 従来の入り口とは明らかに違う場所。

 その先の、高く建てられた壁と所々に裏口のようなドアは、それだけで本来楽しむ場所の裏側だってのが分かる。

 しかしながら、平然と歩き続ける烏真さん。その様子も含めて、疑問が浮かばない訳がない。


 たぶん、前を歩く2人も同じこと考えてるだろうな……


「ねっ、ねぇ一華ちゃん? ここって裏口?」


 おぉ。よくぞ言ってくれた美世ちゃん。


「うん! そうだよ? 電車から来るなら、ここ通った方が家に近いの」

「なるほど……」


 家が近い。だったら分かる……訳無いだろっ! 美世ちゃんもごく普通に烏真さんが返事するもんだから、変に納得してるよ!


「でも、ちょっと待って? だからって、一華さんがここ通っても良いの? しかも私達まで」


 おぉ! さすが美由。それこそ単純明快で核心に迫った質問だ!


「はい! 烏山村に住んでる人なら通れるんですよ?」

「そっか……」


 なるほどね? 村民なら自由に……って! んな訳あるか! 大体、村と烏山忍者村にそんな親密な関係があるはず無いだろ?

 ついに美由も、烏真さんのごく普通な雰囲気の魔力に引きずり込まれたか。けど、俺は違うぞ烏真さん!


「なっ、なぁ烏真さん? いくらなんでも、村民だから移動自由ってヤバくないか? もしかして、村で経営してるとか? 隣の忍者村」


 とりあえず、冗談から確信に迫るのが定石……


「そうですよ? 良くご存知ですねっ!」


 えっ?


 自分でも良く分かる。

 それがどれだけおかしな事なのか。いや、可能性としてはあり得るんだろうけど……俺の顔をハッキリ見ながら、慌てる事無くいつもの顔で、いつもの様に話す烏真さんの姿に……俺はそれ以上聞く事が出来なかった。


 あれ? なんだ? こういうのって結構普通だったりする?

 なんて考えが頭の中を過る中、俺達は烏真さんの後を……追っていた。




 ★




「はいっ! 到着しました」


 それから歩く事数分位、あれから少し森の中に入って行ったと思ったら、すぐに集落みたいな所を抜けて……ある家に辿り着いた。


 確かに集落というか、結構な数の家があったな。烏山村というだけはある。しかもこの家は周りと比べて大きいし、どことなく風格があるな……これが烏野さんの家か。


「すごい茅葺屋根!」

「おっきい~! 一華ちゃん!」


 まぁ2人がテンション高くのも分かる。これだけ立派な茅葺屋根の家なんて、家の近くじゃお目に掛かれない。


 その大きさと、目に入るだけの敷地だけでも結構な広さに感じた。強いて言うなら、ゲームに登場する忍び一族の頭領の家っぽいといえば、何となく伝わるだろうか。


 ん?

 そんな感じで辺りを見渡していた時だった。何気なく玄関前に掲げられた、門票が目に入った。


 烏山村村長? いや、まさか……けど、この他の家と一線を画する雰囲気。まさか烏真さんの家って村長一家なのか? でも、何処でも村長なんて何年か周期で交代でやるもんだろうし……気にする事でもないか。


「それでは、どうぞお入りください」

「「「お邪魔します」」」


 …………中も外と同じで和風だな。けど、この廊下とかの長さでなんとなく分かるよ、この家の広さが。

 こうして、烏真さんの家に到着した俺達は、そのままとある一室へ案内された。


「とりあえず、ここでゆっくりしてて下さい! お茶等々お持ちします!」

「えっ、別にいいのに~! 一華ちゃん!」

「なんか、広いお家だね? 」

「あっ、あぁ……変に内装が洋風とかじゃなくて良かった」


 襖に畳、イメージ通りの和室だけど……なんかとりあえず通された割に結構広くない? 時代劇とかでお殿様が家臣と座ってる場面に出てくる部屋と同じ位に感じるんですけど?


「失礼します」


 ん? 女の声? しかも烏真さんとは違う……


「こんにちは」


 そんな落ち着き払った声の元、襖の奥から現れた女性。その雰囲気には烏真さんと似たような雰囲気を感じたけど……その姿は、ある意味この家に似つかわしかった。


 あっ、この人着物着てる。髪もまとめてて……綺麗な人だなぁ。でも、ここにいるって事はまさかこの人……あっ、正面まで来た。


「遠路はるばるようこそお越し下さいました。わたくし烏真一華の母、一月ひつきと申します。あなた方のお名前等は娘から伺いました。お友達という事で、丁重におもてなしさせて頂きます。まずはお茶をどうぞ」


 ……ん? 今なんて? 烏真さんのお母さん? 


「「「えぇ~!」」」


 一瞬の間を開け、驚くほどにハモった俺達の声。思えば、その驚き様は失礼に値するかもしれなかったけど、そんな事より烏真さんのお母さんの……突然の登場に驚きを隠せなかった。


「あら? ごめんなさい。驚かせちゃったかしら?」


 なっ……雰囲気はそれとなく似てるけど、なんだ? この圧倒的色気! 妙に美耶さんと似てる感じもする。

 しかも着物とか普通家で着る? まさかこれが平装? まてまて、この家のデカさに烏真さんのお嬢様感。このお母さんが居るなら、妙に納得だぞ! しかも別に今日俺達が来るから無理矢理作ってるキャラって感じもしない。


「すっ、すいません! 余りにもお綺麗でびっくりしました」

「おっ、お邪魔してます! 私は……」

「ふふっ。京南高校1年生で、先輩の美由さんよね?」


「はっ! はい!」

「そして、一華のお友達の美世さんね?」

「そっ、そうです!」


「そしてあなたは、一華を救ってくれた空さんね?」

「あっ、はい」

「一華ったら、家に帰るといつも3人の話ばかりなんですよ? それにお友達を連れて来た事なんて無かったもので……ちょっと嬉しくなって挨拶に来ちゃった」


 そう言うと、少しはにかむような笑みを浮かべる一月さん。その見た目の雰囲気、その仕草。その姿は、ますます美耶さんに似ている気がする。


「あっ、お母さん! 台所居ないと思ったら……あっ、ごめんなさい。私のお母さんです。変な事言ってませんでした!?」

「失礼ねぇ。ちゃんとご挨拶しましたよ? ふふっ、それじゃあ挨拶も済んだ事だし、私は失礼するわね? 今日はせっかくのお泊りなんだし、楽しんで行ってね?」


 そう言い残すと、部屋から去って行った一月さん。その後ろ姿は、やはり立っているだけで絵になる。


「ごっ、ごめんなさい! お母さんったら、いきなり部屋に来ちゃって!」

「全然だよっ! それにしても、凄く美人だねぇ一華ちゃんのお母さん!」

「着物がめちゃくちゃ似合ってた」


「そっ、そんな事ないよぉ」


 いやいや、烏真さん。あの雰囲気は只者じゃないって。けど、烏真さんのお嬢様雰囲気の理由が分かった気がする。お母さんがあんな感じなら、当然だろう。


 にしても、だとしたらますます分からないな? 烏真さん……いや? 烏真家って……


 何者だ!?




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