買い物は楽しかったですよ……ね?
「楽しかった」
「うんうんっ! 楽しかったぁ!」
「ねぇ? 空くん?」
「ねぇ? お兄ちゃん?」
「そっ、そうだね」
夕焼けの鮮やかなオレンジ色。そんな中を歩く義姉妹の一歩後ろで俺は何とも言えない表情を浮かべていた。
楽しかったと言えば楽しかったけど、後半……あのゲームセンターでの光景は何とも言えない緊張感に包まれていた。
『プリシル撮りません?』
そんな美世ちゃんの一言で、なぜか撮る事になったプリシル。3人共それはそれは楽しそうな表情だったけど……何処か嫌な予感は拭えなかった。
そして、
『お待たせー。あれ?』
戻って来た美由。
九条先輩に対しての振る舞いやら何やらに一抹の不安。
まぁ結果として、
『あっ、九条先輩と桐生院先輩ですよね? 初めまして、空くんの姉の美由です』
そんな第一声を皮切りに……
『このプリシル良いですね』
『美人なお姉さん方に囲まれて嬉しいですっ』
『美人って……やっぱり美世ちゃん、うちに来ない? 妹にならない? 美由ちゃんもさぁ』
『はいはい三葉。一歩間違えたら犯罪チックに聞こえるから止めなよ? それにしても、こっちのプリシルもいいねっ』
まさに女子会並みの盛り上がりだった。
そして最後は、
『じゃあ皆一緒にっ!』
結局俺も入ってプリシル撮影。
終始笑顔で別れ、今に至る訳だけど……なんだろう? どうしてこんなにも嫌な予感がするんだろうか。
「ねぇ空くん? 桐生院先輩って外国の人みたいだね?」
「えっ? そっ、そうだな」
「スタイルも良いし、モデルさんみたい。それでいて話しやすくて……人気がある訳だよね。あと、空っちって呼ばれてるんだぁ……」
っ! ここで来たか!? いきなり先輩の話。しかも……やっぱり気になってるんじゃないか。
「……だな」
「ねぇ。お兄ちゃん?」
次はお前か。美世ちゃん!
「なっ、なんだ?」
「九条先輩って、年上だけど親戚のおねえちゃんって位、接しやすくて美人さんだよねぇ」
「そう……だな」
美世ちゃんは九条先輩の事か。いや、普通に先輩の事言ってるだけなんだよな? 俺、深読みしすぎか?
「そういえばお兄ちゃん? 一華ちゃんの事も助けてくれたんだよね?」
「えっ?」
一華ちゃん……烏真一華。その名前は知らないはずがない。数日前に運よく助ける事が出来たお清楚お嬢様。
しかも美世ちゃんと知り合いなのは、あの時の会話で知ってはいたつもりだった。ただ、このタイミングでその名前が出て来るとは思いもしない。
「一華ちゃん?」
「うん。この前、お兄ちゃんに助けてもらったんだって。次の日、なぜか美世もお礼言われちゃってさ?」
「助けた……?」
「いっ、いやたまたまだって。落し物拾っただけだよ」
「またまた。一華ちゃん言ってたよ? 暴漢2人に連れ去られそうな所を助けてもらったって」
待て待て! なんか話が膨れてないか? ぼっ、暴漢って!
「へぇ。凄いじゃん空くん。その一華さんと美世は知り合いなの?」
「うんっ! 同じクラスだよ。なんかね? おっとりしてるけど、本当に清楚なお嬢様って感じ。言葉遣いも綺麗だし可愛いし」
「そうなのね」
……ははっ。あれ? やっぱり雰囲気が違うくないですか? 何ででしょう……2人共表情は笑顔だけど、目が笑ってなくないですか?
「美人な先輩2人とお知り合いね」
「お清楚なお嬢様とも知り合いっ」
「やるわね? 空くん」
「やるねっ。お兄ちゃん?」
気のせいだよね? なんかマジで嫌な予感しかしないんですけど?
「なっ、何言ってんだよ! ははっ……」
大丈夫ですよねっ!?
――――――
その日の夜
はぁ……なんか暑くて目が覚めたんですけど
「すやすや」
「すーすー」
やっぱり……
「空くん……」
「お兄ちゃん……」
こうなるんですかっ!
次話も宜しくお願いします<m(__)m>




