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魔王軍元四天王vs四天王最強①

「今に見ていろアース。既に部隊は街へ向かったんだ、お前が仲間だと呼ぶ奴らも、じきに全員あの世行きだぜ?」

「……心配ない。俺の仲間は強い。そう簡単に負けはしないさ」

「ハッ! 強がりを言いやがって……そうやって余裕ぶっていられるのも今のうちだぜ」


 確かにフレアルドの言う通り、滅戯竜(メギドラ)隊はかなりの驚異だ。

 しかしそれは万全な状態であればこそだ。

 理由はわからないが、先程アースが見た限りでは疲労がかなり蓄積していたように見えた。

 それが原因で部隊員は半分に満たない数まで減り、残った者も受けたダメージは軽くはないであろう。

 であればリーフェルニア陣営にも、十分に勝機はあるとアースは考えていた。


 しかし、勝利の最低条件として、ここでアースがフレアルドに引き分け以上の結果を出さなければならない。

 いわばアースの戦いにリーフェルニア陣営全員の命が預けられているようなものだった。


「――さあ、御託はもういらねェだろ。早く殺り合おうぜ! アース!」


 そう言うとフレアルドは槍を構える。

 それと同時にフレアルドの後方に爆炎が生じ、アースが気が付いた時には既にお互いの間合いに入ろうとしていた。


「――っ! 速い!」

「くたばれ!負零亜乱須(フレアランス)ッ!!」


 自らの跳躍と爆炎の凝縮噴射を合わせることにより実現する超高速の突き技、『負零亜乱須』。

 フレアルドが初手で多用する技である。

 その理由は、大抵の相手であればこの速さに対応できずに一撃で方が付くからだ。

 しかしアースはその速度に反応し、紙一重のところで攻撃を躱す。


「ほう……やるじゃねェか、アース。四天王を名乗っていただけはあるってか? ま、これで終わっちゃァ面白くないしな。もっと足掻いて見せろよ」


 フレアルドはアースの実力の程は知らなかったが、自分の攻撃を避けられたことに素直に感心する。

 しかしフレアルドにとって先程の技は実力を計るための小手調べに過ぎない。

 一対一で自分と渡り合える者はそうは居ない。

 アースへの恨みはあるものの、それを一時的に忘れるほど久々に血湧き肉踊る面白い戦いに、戦闘狂であるフレアルドの本能がくすぐられる。


「お前に誉めて貰えるとは光栄だな、フレアルド。だが、俺もお前に勝つために最善を尽くす。この勝負……勝たせてもらうぞっ!」

 

 アースはマジックバッグより武器を取り出し、フレアルドへと斬りかかる。

 選んだ武器は槍。フレアルドの愛槍『炎槍ドラグニル』は、彼の背丈を越えるほどの長さがあり、かなり間合いが長い。

 それに対抗するには、まずは同程度の長さの武器で仕掛ける必要があった。


「フン、槍の扱いでこの俺様に勝てるとでも思っているのか!?」

「魔闘流槍術『五月雨(さみだれ)』!」


 雨のように降り注ぐ突きの連続。

 アースは次から次へと間髪を入れずに攻撃を繰り出すが、その全てを防がれた。

 事実、槍術に関してはフレアルドが完全にアースの上を行く。

 しかしアースとてそれは承知の上だ、あえて同じ土俵に乗ることでフレアルドの慢心を誘うのが目的である。


「ぬるい! ぬるいぞアース! そんなんじゃこの俺様に傷一つ付けることはできねェぞ! フンッ!」


 フレアルドが力を込めてドラグニルを振るうと、アースの持つ槍を一撃で粉砕した。

 その時のフレアルドの表情は勝ち誇ったものであり、アースに次の一手があるなどとは、微塵も思っていなかった。

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