決意と作戦会議
「――理解なんてできないわ! どうして……どうしてあなた自身がリーフェルニア領の一員に含まれていないようなことを言えるの!?」
バタンと、扉を勢いよく開けエレミアが姿を現す。
どうやら直前の会話を聞いていた様子であり、真剣な面持ちでアースに対して感情をぶつけていた。
「エレミア……!?」
「私はこの街の皆のこと家族みたいに思ってる……アースだってもうその一員なのよ!? この街には他所で見放されたような経験を持つ人が多いわ……だからこそ、私は……このリーフェルニア領は絶対に仲間を見捨てたりしない! 切り捨てるようなことはしないわ! だから、そんな悲しいこと言わないで……? いつもみたいに涼しい顔で、『俺に任せろ』って言ってよ……!」
「――――」
その場の全員がエレミアに注目していた。
その目に涙を浮かべ必死に訴えるエレミアに、各々はっとした表情を浮かべる。
それぞれに思うところがあるのだろう。
「俺……俺は戦うッス! 俺はこの街で産まれ育ったから、誰かに見放される経験なんてないッスけど……兄貴を、誰かを犠牲にして生き延びようとするのは絶対間違いッス!」
「――ガウェインの言うとおりだ。魔王軍がここに来る可能性が高いと判明した以上、もはや戦う以外の選択肢は我々には残されていない。我輩が至らないばかりに援軍は要請できなかったが……現状出来るだけの準備をしたい。皆の命、我輩に預けてもらえないだろうか」
レオナルドの言葉に、アース以外のその場にいた全員が頷く。
元々気持ちとしては皆エレミアやガウェインと同じであったが、戦闘の経験が無い者が多く、いざ戦うとなると躊躇してしまっていたのだ。
しかし、エレミアの言葉に背中を押され、全員の決意が固まった。
「――――仲間を……家族を失うのは辛い。それは理解していたつもりだったんだが、大切なことを忘れていたようだ。俺も、皆が自ら犠牲になるような選択をした場合、それを許すことはできないだろう」
「アース……じゃあ……!」
「ああ、ありがとうエレミア。俺に任せてくれ。必ず何とかして見せるさ」
仲間の覚悟を受け、そう言ってアースは決意を新たにし、フレアルドと戦う覚悟を決めた。
「よし、全員覚悟は決まったようだな? それでは早速作戦会議を始めるぞ。魔王軍が発見された位置からここまでの距離を考えると、おそらくたが我輩らに残された時間はよくてあと3日といったところか……皆、何か案はあるか?」
「真正面から迎え撃つのは厳しいだろう。かといって街を放棄して逃げるのは論外だな」
「俺達の故郷、簡単に明け渡すわけにはいかないッスもんね!」
逃げたところで、街の外には魔物も出没し危険が付きまとうし、機動力に優れるフレアルドの部隊ならいずれ追い付かれるのは目に見えている。
ガウェインの言ったとおり、放棄された街を荒らされる可能性が高いので、それも心情的に憚られる。
しかし馬鹿正直に迎え撃つのは下策でしかない。
「であれば……奇襲をかけるか?」
「そうだな……それも有効だろうが、それだけでは足りないな。考え得る作戦は出来ることなら全て盛り込みたい。それだけの相手だ。俺も持ちうる全てを出しきる覚悟で挑む」
「だったら、こういうのはどうッスか――」
「そうやな、ウチの魔道具も――」
対策会議は夜まで続いた。
各々の役割、対抗手段を決めたアース達は、寝る間を惜しみ準備を進める。
全ては、来るべき日のために。




