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日没

 「『天地創造(クリエイション)』」


 アースは戦斧を槌に変形させ、斬撃から打撃への攻撃に切り替える。

 

 ガァァァァァン!


 メタルイーターの頭部に攻撃を命中させるも、意に介した様子はない。

 直接脳を揺らすことで脳震盪を狙ったのだが、受けた衝撃は緩和されており殆ど効果はないようだ。


「『天地創造』」


 続いて槍に変形させ、一点突破を試みる。

 その後も剣・鎌・手甲など様々な武装を打ち込むが、どれも有効打にはなっていない。


「コハク姉さん……俺は夢でも見てるんスかね……?」


「奇遇やな、ウチも同じこと思っとったわ」


 空洞内を縦横無尽に動き回り手を変え品を変え相手を抑え込むアースの姿は、曲芸のようにも思え目を奪われる。


「っていうか武器がコロコロ変わっているように見えるのは気のせい……ではないッスよね。ハンマーで突きを繰り出したと思ったら次の瞬間には槍を握ってましたからね」


「あれじゃあ間合いも読めんやろし、対人戦なら完全な初見殺しやろな……」


 だがそれでもメタルイーターの打倒には遠い。

 アースは次の一手を打つべく、四方八方へ飛び回り機会を待っていた。


「そろそろいけるか……? 『天地創造』!」


 今が頃合いと見たアースは地面に手を付き、メタルイーターの足下の地面を砂状にしてバランスを崩させると、間髪を入れずにメタルイーターの頭上へと高く飛び上がる。


「『天地創造』! おぉぉぉぉっ!!」


 アースが叫び声を上げると同時に、周囲に点在していた鉱床が光り出しアースの元へと集まっていく。

 アースの能力を使うには触れる必要があるため、先程から動き回りながら少しづつ辺りの鉱石に触れ、能力を使い待機状態にしていたのだ。

 それが今一ヶ所に集められ、錬成される。

 同じ条件で作られた金属ならばその装甲を破れると考えたアースの渾身の策である。


(くっ! 頭が割れるように痛い――! とにかく硬く、重くだ――! 余計なことは無視しろ!)


 アースの『天与(ギフト)』は対象に触れるとその情報が脳裏に写し出され、それを変更するイメージをすることで発揮される。

 今アースの脳内ではは大量の情報の羅列が脳を焼ききらんばかりに溢れている状態だったが、それを硬さと重さに限定することでなんとか処理する。


「はぁぁぁぁっ! 魔闘流(まとうりゅう)奥義! 『落陽(らくよう)』!」


 さながら太陽が沈むかの如く、アースの掌から様々な鉱物を掛け合わせた漆黒の球体がメタルイーターを巻き込みながら地下へと沈んでいく。


「グギャァァォッ!」


 硬度と重量を重視して作られたそれは、鈍い音をたてながらメタルイーターの体を押し潰し、深く深くその身を落とす。


「…………倒したか?」


 アースは確認のため先程の技で空いた大穴に飛び込むと、メタルイーターだったものと思われる破片が辺りに散らばっていた。


「なんとかなったみたいだな――――ん?」


 突如地響きのような音が響き渡る。

 かなりの衝撃を与えたため、洞窟が崩壊しかけているたのであった。

 

「早く脱出しないとまずいな……」


 アースは穴から出て、コハクとガウェインの元へと急いで戻る。


「わわわわ! ヤバイッス! このままじゃ生き埋めッスよ姉さん!」


「そんなんわかっとるわ! ガウ坊なんとかしぃや!」


「無理ッスーー!」


 来た道を戻ることもできたが、急いでも外に出るまでにかなりの時間を要する。

 崩落の危険性があるためそれは悪手であると考えたアースは、二人を見つけるなり『天与』を使い天井から漏れていた光に向けて地面から階段を伸ばす。

 光が漏れていたということは外へと通じているはずなので、それしかないと賭けに出る。


「二人ともその階段を上るんだ! 急げ!」


「り、了解ッス!」


「ひぇぇー! 急ぐで―!」


 アースは二人の先陣を切り、天井に人が通れるぐらいの穴を開ける。

 その先はかなり急勾配(きゅうこうばい)の山肌が広がっており、進むのを一瞬躊躇するが二人が崩落に巻き込まれては元も子もない。


「コハク! ガウェイン! 跳ぶぞっ!」


「「うぉぉぉぉぉっ!」」


 階段を登り切った二人が外に向かって思い切り跳躍する。

 それと同時にアースの作った階段が崩れ落ち、洞窟が崩落していく。


「「ぎゃぁぁぁぁぁ!死ぬぅぅぅぅ!」」


 外へ飛び出した二人の視線の先には空しかなく、下を見てもほぼ崖であったので体は宙へと放り出されている状態だった。


「二人とも、こっちだ! 『天地創造』!」


 先んじて外に出ていたアースは岩肌に剣を突き刺し待機していた。

 その剣を舟に車輪が付いたような形状のものへと変え、二人の手を取り引き寄せそれに乗せるとそのまま岩肌を滑り落ちていく。


「「ひゃぁぁぁぁぁーーーー!」」


 殆ど落下しているようなスピードで滑り落ちていくアース達であったが、アースの見事な舵取りにより大きな危険なく、なんとか山の麓まで降りることに成功する。


「――はっはっは! なんやねん今の! 死ぬかとおもたけど案外おもろかったで!」


「姉さんよく平気ッスね……俺は生きた心地がしなかったッスよ……」


 二人が無事なようでアースは一安心し、肩の力が一気に抜けていくのを感じた。

 ひとまずはこれで調査完了、といったところだろう。

 

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