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「who」

作者: らんまる
掲載日:2021/10/17


~ 一章 ~

男が女を見つける。駅で。

男が女の後をつける。電車で。

男が女の髪の毛に触れる。電車で。

女より先に男は降りる。ホームに。


男は女を見つける。駅で。

男は女より先に乗る。電車に。

男は女より先に降りる。ホームに。


男は女の後ろ姿を見ている。信号で。

男は女の後をつける。徒歩で。

男は女のマンションを知る。道路で。


男は女の帰りを待つ。道路で。

男は女を見つける。道路で。

男は女に挨拶をする。エントランスで。

男はエレベーターを見る。郵便受けから。


男は女の帰りを待つ。階段で。

男は女を見る。階段から。


男は女の帰りを待つ。階段で。

男は女を見る。廊下で。


男は女に挨拶をする。廊下で。

男は女に襲いかかる。玄関口で。

男は女の家にいる。


男は天井を見る。女の部屋で。

男は女を見る。床から。


女は男に近づく。ゆっくりと。

女は男の横に座る。ゆったりと。

女は男に笑いかける。にっこりと。

女は男が目を閉じるのを見つめる。表情はない。

女は男の変化を見つめる。無表情で。


女は会社を退職する。男といるために。

女は男のために買い物をする。あちこちで。

女は男のかすかな声を聞く。廊下で。


女は男のために泣く。キッチンで。


~ 二章 ~

女は男を見つけた。駅で。

女は男に後をつけられている。電車で。

女の髪の毛に男が触れた。電車で。

男は女より先に降りた。ホームに。

女は男の後ろ姿を見る。


女は男を見つけた。駅で。

女より先に男は乗った。電車に。

女より先に男は降りた。ホームに。

女は男の後ろ姿を見る。


女は窓越しに男を見た。信号で。

女は窓越しに男を見ている。徒歩で。

女は窓から男を見た。


女は男を見つけた。道路で。

女は男に挨拶をする。エントランスで。

女は男より先にエレベーターに乗る。一人で。


女は男に気がつく。廊下で。


女は男に気がつく。廊下で。


女は男に挨拶をした。廊下で。

女は男が迫ってくるのを感じた。玄関口で。

女の家に男がいる。


女は室内を見る。自分の家で。

女は男を見ている。椅子から。


女が男に近づいてくる。ゆっくりと。

女が男の横に座った。ゆったりと。

男は女に笑いかけられる。にっこりと。

男は思いだす。女の行動を。


男は女に見られている。女の家で。


男は恐怖する。女の部屋で。

男は大声を出す。女の部屋の隅で。

男は女が持っているのを見る。ハサミを。


男は女の笑い声を聞く。浴槽で。

もう無気力だ…


~ 三章 ~

母親は息子を見ている。駅で。

母親は息子が女の髪の毛の触るのを見る。電車で。

母親は息子が女の後で降りるのを見る。電車で。

母親は息子と女の後をつける。道路で。

母親はマンションに女が入るのを見る。道路から。

母親は息子と女の後をつける。何日も。

母親は息子が女のマンションに入るのを見る。道路から。

母親は息子がエレベーターに乗るのを見る。エントランスから。

母親は息子と同じ手口でマンションに入る。

母親は息子がいる階の下にいる。

母親は息子が女に声をかけるのを聞く。

母親はかすかなバリバリという音を聞く。

母親は女が息子を部屋に入れるのを聞く。

母親は震える。怯える。何日も。


父親は母親からの話を聞く。家で。

父親は母親に憤慨する。家で。

父親は母親を連れ出す。家から。

父親は地図を見ている。調書室横の部屋で。


父親と相棒は女のマンションを見ている。道路で。

父親は相棒が持っている女の写真を見る。覆面車で。

父親は息子の子供の頃の写真を見る。家で。

母親が父親にお茶を差し出す。深夜に。

父親は母親が泣いているのを知っている。何日も。

母親は父親の奥歯がすり減ってきているのを知っている。憤慨した日から。


息子は心の中で母親の肉じゃがを思いだしている。

女は男のために肉じゃがを作っている。

息子は心の中で父親に謝っている。

女は男のために化粧をしている。


父親と相棒はあんぱんを食べている。女のマンションの下で。

母親は息子が無事に帰ってくるのを祈っている。家で。

息子はもう何も考えらない。女の家で。

女は男が見えるところで寝る。笑顔で。


~ 最終章 ~

朝5:55。父親と相棒は女の家の玄関口に着いた。

相棒の手には家宅捜査状がある。

警官たちは警戒している。

朝6:00。女刑事がインターホンを押す。

朝6:01。男は目を覚ます。

朝6:03。女が喚く。

朝6:04。男は期待をする。

朝6:08。お隣さんは女が大勢の男に押さえられているのを目撃する。

朝6:09。息子は父親を見る。

朝6:10。父親は唖然とする。

朝6:11。息子は神様に感謝する。

朝6:12。息子は父親の胸の中でこれからはいい人間になることを神様に誓う。

朝6:20。母親は電話を置き泣きじゃくる。

朝6:30。父親は息子を軽々と抱えあげ、担架へ乗せる。

朝7:00。息子は母親に母さんの作った肉じゃがが食べたいと言う。


朝6:03からずっと。

女は男との同棲生活を警察に邪魔されたと喚いてる。


何日か後。

父親と母親の前で息子が起訴状を読み上げられる。


更に何日か後。

男は加害者から被害者になったこと、被疑者の心身を考慮し不起訴となる。


更に何日か後。

母親は息子を見て、肉じゃがの肉を箸で指す。

息子は嬉しそうにうなづく。

息子の口元から出汁が垂れる。

すぐに父親が拭いてやる。


それから1ヶ月。

母親は息子宛の手紙を破いている。

女は男からの返信を楽しみにしている。

男は熟睡の前に喚きながら目を覚ます。

父親は大丈夫だと今日も諭す。


更に一年後。

息子が「小さくなっていい人間になった僕」を著書する。

母親は息子宛の手紙を今日も破いている。

女は男からの返信を今日も楽しみにしている。

父親は大丈夫だと今日も諭す。


更に何年か後。

父親は運転席で母親を待っている。

母親は菊花と葉の色合いのバランスを花屋と相談している。

息子は父親と母親の間で困ったような顔をしている。

女は男へ手紙を書いている。

男は女の横で復讐の機会を狙っている。

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