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プログラマーの見る夢は?  作者: まっこ
第6章 決断
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第3話 退職までに引き継げ

「引継ぎの資料って、できているの?」


 迫野さんに聞かれた。


「そうですね、あと8つ位ってところですね」


「何時ぐらいに全部出来上がりそうなの?」


「う~ん、あと2週間ってところでしょうか」


「2週間か……結構ギリギリだね」


「これだけに集中出来れば1週間もあれば出来るんですけどね……」


「まぁ、その辺は仕方がないかな。

 そっちもやりながらだから大変だと思うけど、もう少しで楽になれるから頑張れ」


「はい、まぁ、引継ぎもしないで辞めるわけにもいきませんしね」


 そう話している傍から、電話が掛かって来た。

 これだから、引継ぎ資料の作成が進まない。

 そうは言っても、電話を受けない訳には行かない。


 渋々、電話を取ると案の定不具合の問い合わせだった。


(はぁ……この電話が無ければ、資料作りを進められるんだけどなぁ……)


 今回の電話は不具合ではなく、お客さんの勘違いだったため追跡する手間もなく終わった。

 まだ良かったと思う事にして、引継ぎ資料の作成を再開する。


 資料作りが終わって、引継ぎを終えたら有休を使って休んでいいことになっている。

 引継ぎが終わればなので、それまでは作業を続けなければいけない。


 その為にも早く資料を作って、引継ぎを終えたい。

 どれを誰に引き継ぐのか決まっていないのが、少し引っ掛かるが……


 それからも資料作りと不具合対応の日々が続く。

 新規開発案件に組み込まれることは無い。

 もうすぐ辞める奴を開発案件に組み込むような、酔狂なところは世界中のどこにもないだろう。


 そうして2週間後、引継ぎ資料は出来上がった。

 実際には不足している事柄もあるだろうが、重要な事は全て書いている筈だ。

 足りない部分は、引継ぎ作業の時に口頭で伝えれば良いだろう。


 ただ一つ、懸念事項だった誰に引き継ぐのかがまだ知らされていない。

 と言うことは、引継ぎ作業が終わらないことを意味し、それは有休を使って休みに突入できないと言うことだ。


 北地課長、大砂さんに聞いても、「まだ調整が付かない」らしく、引継ぎ先を教えてもらえない。


(まさか、最終日まで教えてもらえないなんてこと無いよな?)


 嫌な予想は当たるというが、これは是非とも外れてもらいたい。

 今、会社に来てやることと言えば、不具合報告かも知れない電話を受けて、不具合ならば対処するだけだ。


 お客さんの文句を聞いて、すぐに不具合の原因を調査して折り返し報告する。

 もう、そんなことに神経をすり減らしたくないと言うのが正直なところだ。

 10日ぐらいなら我慢できると思ったのだが、予想以上に辛いものとなっている。

 多分、もうすぐ辞められるという考えから、もう会社に来なくても良いはずなのにへと気持ちがシフトしてしまった為だと思う。


 今が精神的には一番きつい時なのかも知れない。


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