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プログラマーの見る夢は?  作者: まっこ
第5章 プログラマーの日常
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第10話 1分の重み

「お早うございま~す」


 今日、中垣内さんが出社してきた時間は、始業開始時刻から3分過ぎていた。

 ある意味、平常運転だ。


「北地さんが甘いから、中垣内さんが始業時間過ぎても平気な顔をしているんですよ」


 前に迫野さんが、中垣内さんの勤怠について話していた。

 迫野さんはその辺に厳しい。

 厳しいと言うか、当たり前の事なのかもしれないが……


「まぁ、遅れてきてもその分、後ろで働いているからね」


「そんなこと言っても、会議の時間とかだって遅れて来るじゃないですか。

 勤怠も甘く見逃しているから、きっと、時間にルーズになり過ぎているんですよ」


「まぁ、実害は出ていないから……」


「この前、一緒に客先に行った時には、危うく遅れそうになったんですよ。

 その時、何て言ったと思います? 『10分以内ならお客さんも待ってくれるよ』ですよ?」


「遅れなかったのなら良かったじゃないか?」


「『遅れるかも知れません』ってお客さんに連絡しておきましょうか? って聞いたら、『遅れたわけじゃないのに、連絡する必要ない』って言ったんですよ?」


 お客さんに迷惑が掛からない限りは、中垣内さんが時間にルーズでも良いかも知れない。

 ただ、時間がルーズな事によりお客さんに迷惑が掛かるとなれば話は別だろう。

 もしかして、自分が遅れた場合は何事もなかったような顔をして、お客さんが遅れた場合はいつものように軽口を叩いていないと良いのだけど……


「その場合、迫野君が自分で判断して連絡して構わないよ」


「そうすると中垣内さん、露骨に嫌な顔をするじゃないですか。

 『何で遅れていないのに連絡したの?』って言って……その後の打ち合わせまで引き摺るし……」


 今まで一緒に仕事をしたことが無かったから分からなかったけど、中垣内さんって面倒な性格しているな。

 遅れそうになったら、連絡を入れるのは当たり前の事だと思っていたのに……


 そう言えば、中垣内さんは打ち合わせなどで外に行く回数が、迫野さんや大砂さんに比べて少ないように思える。

 こう言うことがあるから、中垣内さんをあまり客先に行かせないようにしていたのかも知れない。


「中垣内さんは、1分はいつでも同じ重みだと思っているかも知れませんが、違う重みの1分があると認識していないんだと思いますよ。

 約束の時間を1分でも過ぎたら、それは約束を破ったことになるのですから」


「そうなんだけどね。

 でも、子供じゃないんだから、今更言うことでもないだろうしね」


「時間に対しては、中垣内さんは子供と同じですよ」


「例えそうだとしても、私が言うことでもないだろ? 中垣内君の親でも教師でもないんだから。

 でも、本当に痛い目に合う前に、注意位はしておこうか」


「お願いします。

 自分からは言うことが出来ませんので……言えるとしたら、北地さんか大砂さんしか居ませんので。

 大砂さんは、こう言うの苦手そうですし……」


「私も得意な方じゃないけどね」


 その後、2~3日は今までより早く出社するようになっていたが、直ぐに元通りとなっていた。

 注意を受けた直後は気を付けていたが……と、言うことだろう。


(あれは、もう、どうしようも無いんだろうな……)


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