第4話 身体が資本です
インフルエンザから復帰の初日、ノートPC持参で出勤した。
「おはようございます。
お騒がせしてしまい、申し訳ありませんでした」
出勤したその足で、そのまま北地課長の席へと向かった。
「おはよう。
もう大丈夫なのかい?」
「はい、熱自体は2日前から下がっていたんですが、出勤停止で来られませんでしたので……」
「まぁ、インフルエンザになったのは仕方がないよ。
あんなものは、宝くじに当たったみたいなものだからね」
「お借りしていたノートPCですが、どちらにお返しすれば良いのでしょうか?」
「それは、迫野君に聞いてもらえるかな? 迫野君が全部手続きをしていったんだ」
「分かりました。
失礼します」
北地課長の席から移動を始める。
大砂さんにも挨拶とお詫びをした後、迫野さんの席へと向かう。
中垣内さんは、当然ながらまだ来ていないので、後回しだ。
「迫野さん、おはようございます。
色々とご迷惑をおかけしてしまい、済みませんでした」
「おはよ~。
そうか、今日から復活だったっけ?」
「はい、それで、お借りしていたノート何ですけど、どちらにお返しすれば良いのでしょうか?」
「あ、それは、俺が手続きと化しておくから、預かるよ」
「そうですか、それではお願いします」
迫野さんへノートPCを返す。
「で、ゆっくり休めただろうから、また、今日から頑張ってもらうからね」
「……はい」
ゆっくり休めたかと言われれば、微妙だった。
確かに出勤ラッシュの人込みとは無縁だったし、作業時間も大体定時で終えていた。
だけど、作業は全くしなかった訳ではない。
『ゆっくり休めた』とは、作業をしなかった場合を言うと思っていたのだけど……
(さてと……)
PCの電源スイッチを押し込み、PCが動き出す。
病み上がり早々、通勤で半分位持って行かれたHPを、途中で買ってきた翼の生える飲み物で多少回復する。
朝っぱらからだろうが関係ない。
病み上がりなんだから、早めの回復は重要だと思う。
この後、中垣内さんの所へ行き、大幅な精神的ダメージを受けることとなった。
何処かにこの精神的ダメージを、少しでも回復する飲み物を売っていないだろうか? 別に飲み物に拘っているわけではないので、何でも構わない。
ただ、違法な方法は御免こうむりたい。
そんなものを探して買いに行くような暇があるのなら、1行でも多くソースを書くなり、1件でも多くバグを潰すなりに時間を使いたい。
すっかり社畜の考え方かも知れないけれど、実際、そのようにしか考えられない。




