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プログラマーの見る夢は?  作者: まっこ
第5章 プログラマーの日常
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第3話 インフルエンザ? じゃあ、ノート持って行くね

「どうやら風邪を引いたみたいですので、今日はお休みを頂きたいのですが……」


 電話の先は中垣内さんだ。

 どうやら、俺は電話運は無い様だ。


「ふ~ん、熱はあるの?」


「さっき測ってみた時には38度ありました」


「そうか……分かった、北地さんに伝えておくね」


「すみません、お願いします」


「あっ、時期的な事もあるから、一応、病院行ってきた方が良いと思うよ。

 インフルかも知れないからね」


「はい、分かりました。

 それでは、失礼します」


「お大事に~」


 電話を切る。

 あ~、インフルエンザか……確かにその可能性も0じゃないから、検査は受けた方が良いだろうな。

 でも、病院に行くのも億劫なんだよな。

 出来れば、このまま寝床(ここ)でぬくぬくしていたい。

 でも、中垣内さんから『病院行っとけ』って言われたしな……いっそのこと、具合が悪かったので2度寝して起きたら夕方だった事にしてしまおうか?


 色々と考えてはみたのだが、まぁ、病院に行って注射の1本でも打って貰えば、明日には復活できるだろうと言うことで、寝床(天国)を後にする。


(早まったか?)


 飛び出したものは仕方がない。

 私服に着替えて、病院へと向かうとする。


 いや、どこに病院があるのか知らない。

 スマホを取り出して、Google先生にお伺いを立てる。

 何件か候補がていたが、どうせ分からないから先頭に出てきた病院へ向かう事にする。


 歩けない距離ではないから歩いて行こう。

 Google先生のナビに従い歩き、目的地(病院)へと到着した。

 病院に入って受付へと向かうと、その途中で声を掛けられた。


「おはようございます。

 今日はどうされました?」


「熱があったんで会社を休んだんですけど、インフルエンザの検査をして欲しくて来ました」


「分かりました、初診ですか?」


「はい」


「では、保険証をあの窓口へ提出してください。

 そこで、問診票を貰えますので、あちらの席でお熱を測りながら問診票を書いてお待ちください」


「分かりました」


 指示された窓口へと向かい、保険証を提出する。

 問診票と体温計を渡されたので、熱を測りながら問診票へ記入していく。


 丁度問診票への記述が終わった頃、最初に声を掛けてきた看護師が此方へとやって来た。


「問診票は書き終わりましたか? こちらでお預かりしますね。

 熱は……37度8分ですね。

 それでは、もう暫く此処でお待ちくださいね」


 暫くの間、その場で順番を待っていると、名前を呼ばれた。


「今日はどうされました?」


 先生に聞かれたが、問診票にも看護師さんに聞かれた時にも答えた。

 『インフルエンザの検査を、お願いします』と……何回答えれば、検査をしてもらえるのだろうか?

 その言葉は心の中に飲み込み、先ほどまでの言葉を繰り返す。


「じゃあ、あちらで検査しますね」


 看護師さんとの完璧なアイコンタクトにより、俺は診察室とは別室へと連行される。

 やっと、インフルエンザの検査が行われる様だ。


「ちょっと痛いかも知れませんが、我慢してくださいね」


 長い綿棒みたいなものを鼻の奥に突っ込まれた。

 ちょっとどころではなく、とても痛かったぞ。

 その後、待合室で待たされ、再び先生の下へと呼び出される。

 見事、インフルエンザA型に罹患していた。

 これにより、今週は臨時休業が確定した。


(今週一杯、天国だ)


 会社へとウキウキしながら電話を掛ける。

 勿論、こちらの状態を悟られるわけにはいかない。


「もしもし、水島です。

 お疲れ様です。

 先ほど病院で検査してもらったのですが、インフルエンザでした」


「マジか~、う~ん、どうしようかなぁ……」


 電話の先の迫野さんは困っていたようだ。


(流石に、会社に来いとは言わないよな? インフルエンザで会社に行ったら、パンデミック引き起こすぞ)


「北地さんと話して、また後で電話するね」


「はい、分かりました」


「お大事にね~」


「失礼します」


 『後から電話する』という言葉に引っ掛かりを覚えたが、今は引き籠り用の食糧なんかをスーパーででも買いこもう。

 引き籠れるだけの食糧を両手一杯にぶら下げ、家路を急ぐ。


 部屋のドアを開けると同じくらいに、スマホが鳴った。


「もしもし、水島君? 迫野です、お疲れ様」


「もしもし、水島です、お疲れ様です」


「今日の帰りに、そっちにノートを持って行くから、家からこっちに入って仕事よろしくね」


「はいっ?」


 思わず声が上擦った。


「北地さんからの許可も得られているから、何も気にする必要はないからね。

 ノートを持って行くだけじゃ手持無沙汰だから、何か欲しいものある?」


 『放っておいて貰えると嬉しいです』とは言えない。


「いえ、何もありません……」


「そう、じゃあまた後でね」


 電話を切った後、心の中では『マジか~』と大声で叫んでいた。


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