表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プログラマーの見る夢は?  作者: まっこ
第5章 プログラマーの日常
41/57

第2話 できるコビトさん、できないコビトさん

(だめだ……色々と限界だ……)


 例のバグはまだ直せていない。

 精神的に追いつめられたり寝不足になると、正直、意識が飛ぶこともある。

 意識が飛んだ時には、コビトさんが何処からともなく表れて、俺の代わりに仕事をしてくれる。

 俺の代わりに仕事をしてくれるのだから、コビトさんに足を向けて寝られない。

 だが、何処に住んでいるのか分からないので、そのまま寝るようにしている。


 そう言えば、つい最近だが会社にお札が貼られているのを見つけた。

 絵の裏に『悪霊退散』のお札が貼られていたので、事故物件じゃないかと思い少しビビった。


(こういう会社じゃ、急に倒れてそのままとか聞いたことあるしな……)


 大砂さんに恐る恐る確認してみたところ、「事故物件とかじゃないから大丈夫だよ」と言われた。


 じゃあ何だろ? とは思ったのだが、世の中には聞かない方が良いこともある。

 実害はないだろうから正確なところは放っておくことにして、俺は『バグ退散』の意味を込めて、偶にお札を拝むようにした。

 『バグは友達』と言われたが、俺にとっては悪霊と変わらない。

 そう言う意味では、コビトさんも悪霊と大差がない。


 先程、コビトさんは仕事をしてくれると言ったが、極々稀にきちんと仕事を熟してくれる時もある。

 しかし、大抵はまともな仕事をしてくれない。

 良くあるパターンとして、画面一杯に同じ文字が入力されている。


『ピー』


 PCから出されるビープ音で意識を取り戻すと、画面一杯に出力された同じ文字を見て自己嫌悪に陥る。

 画面一杯に『w』の文字が出力されていた時には、文字通り『草生える』とか『大草原』状態で、コビトさんに馬鹿にされた様な気になった。

 だから、お札に向かって拝む。


 あとは、コビトさんが意識を取り戻す手伝いをしてくれることもある。

 ただ、そのコビトさんは少々乱暴で、物理的なダメージを俺に与えてくる。

 キーボードの上に顔面を打ち付けたり、肘をずらして机から落として電気が走ったようにしたり……1度だけだが、椅子をひっくり返したこともあった。


 このままだと、今日あたりコビトさんが楽しそうにやってきそうな気がする。

 どうせなら、できるコビトさんが来てくれると助かるのだが……


『ピー』


 ビープ音で意識を取り戻す。

 どうやら、できない方のコビトさんが登場したようだ。


(まぁ、そう都合良くは行かないよな……)


 画面一杯に映し出されていた文字は『k』だった。


(『w』じゃないだけ、まだましか……)


 ファイルを開き直して、デバッグ作業を再開する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ