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プログラマーの見る夢は?  作者: まっこ
第5章 プログラマーの日常
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第1話 日常(?)を取り戻す

「水島、あのバグ潰れたか?」


「すいません、まだです。

 正しい値を設定したら、他の所がバグり始めて……」


「そうか……分かった、お客さんにはもう少し掛かりそうって伝えておくわ」


「すみません、迫野さん」


「いや、水島のせいじゃないから、気にすんな。

 それを潰しておかないとリリースできないし、お客さんも分かってくれているから完全に潰してくれ」


 俺はあの件から、再び迫野さんと一緒になって仕事をすることが増えた。

 一緒になってと言うよりは、迫野さんの仕事が多く回ってきているという感じだ。


(会社に入った頃も、こんな感じだったな)


 一人感慨に耽っていると、電話が鳴った。

 俺は急いで受話器を取り、応対する。


 電話の主は「何で旅行会社じゃないんだよ」と電話口で怒鳴っていたが、そんなこと俺に言われてもどうしようもない。

 旅行会社との間違い電話が多かったので調べて見たところ、下4桁の2桁目が違う旅行会社がある事が分かった。

 3315と3115。

 3と1の違いだが、前の桁が連続しているか、後ろの桁が連続しているかで、勢い余って押し間違いをしているのだろう。

 本当に迷惑でしかない上に、何故、こっちが怒られなきゃいけないのか? 理不尽でしかない。

 理不尽なのだが、こっちも怒鳴り返す訳には行かない。


「ご確認の上、お掛け直しください。

 それでは失礼いたします」


 何処かで聞いたことのある様な文言で、電話を切る。

 電話はプツンッと音を立てて切れた。


(全く……)


 電話を置いて、バグへ向かい合おうと思ったその時、再び電話が鳴る。

 電話を取り、帝王仕様としたのだが、再び間違い電話だった。


「こちらは旅行会社ではありません。

 ご確認の上、お掛け直しください。

 それでは失礼します」


 再び電話が切れる。


(今度こそ仕切り直しだ)


 そう思った瞬間に、また電話が掛かってくる。

 内心、また間違い電話か? とも思ったが、電話に出ない訳には行かない。

 電話を取り、応対を始める。


 案の定、間違い電話だった。

 3連続は、いくら温厚な俺だって、少しくらいは腹が立ってくる。

 だけど、言葉遣いは丁寧にお決まりの台詞を吐く。

 言葉を強めに、ご確認の上を殊更強調して言う。

 この位は許して欲しい、3連続で間違い電話を受ければ、分かって貰えるはずだ。

 途中でガチャ切りしなかった俺を、むしろ褒め称えて欲しいくらいだ。


(ちょっと休憩……)


 そう思い、席を立って缶コーヒーを買いに行こうとした矢先に、また電話が鳴った。

 俺に何か恨みでもあるのだろうか? 無視しようとも考えたが、隣の迫野さんが睨むので志美支部ながら電話を取った。


「はい、ソフトウェア株式会社です」


 言葉遣いが荒くなっていた。


「北地です、お疲れ様。

 大砂君、居るかな?」


「き、北地課長ですか? お疲れ様です。

 大砂さんは、今、ちょうど席を外しているみたいです」


「そうか、じゃあ、帰ってきたら折り返してくれるように伝えてください」


「承知いたしました」


「じゃあ、宜しくね」


 北地課長からの不意打ち電話は、多少どころではなく大いに焦った。


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