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プログラマーの見る夢は?  作者: まっこ
第1章 新卒入社
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第3話 宴会芸の入手

 入社式の後、その場で交通費の精算と給料の振込手続きを行った。

 手続きと言っても、会社のからはあらかじめ銀行口座を開いておくよう言われていたので、その口座番号を教えただけだ。


 手続きが終わると、少しの間ではあるが休憩時間となった。


 会社の最寄り駅で休んでいる時に飲んだ飲み物が、今になって影響してきたのかトイレへと向かう。

 途中、見知らぬ人とすれ違ったが、先輩だと思うので会釈をして通り過ぎる。


 そうしてトイレから帰ってくると、待ってましたと言わんばかりに、その場にいた同期に声を掛けられる。


「お前、さっき前に行く時、同じ法の手と足が出ていたぞ」


「本当か?」


「あぁ、本当だ。

 お蔭で、笑いを堪えるのに大変だったんだからな。

 お詫びに、今度、皆に何か奢れよ」


 他の皆も頷いている。


(という事は、マジにそうだったのか……)


 トイレに行ってきたことと、入社式中の緊張感から解放されたと言うのもあってか、俺は膝から崩れ落ちそうになった。


「まぁ、お蔭でお前の名前は皆覚えたそうだぞ、良かったな」


「ただ、渾名としてナンバって付けようと思ったんだけどな……」


「俺が呼ばれた感じになるから止めてくれって、全力で止めた。

 俺の名前は難波(なんば)って言うんだ。

 よろしく頼むな、水島」


(渾名を付けられなかっただけ、マシか……)


 難波から差し出された手を取った。


「あぁ、よろしく頼むよ」


「俺は田中だ、よろしく頼む」


「俺は斎藤って言うんだ、よろしくな」


 次々と自分の名前と共に、手が差し出された。

 意図せずして、新入社員内で注目の的となってしまったようだ。


(変な注目のされ方をしたな……)


 多分だが、このことはこの会社に居る間はずっと言われ続けるだろう。

 普段は言われないだろうが、同期との飲み会の席では間違いなく言われる。


「お前、入社式で辞令を受け取る時に、手と足同じ方が出ていたよな」


 この後の言葉は想像できないが、色々言われるのは間違いない。

 ここで、否定したり、無理に話を途切れさせても面白くない。

 いっそのこと実演付きでやった方が、その場も盛り上がるんじゃないか? それなら、これは宴会芸の1つと成り得る。

 そうなれば、俺は宴会での武器を1つ手に入れたことになる。


 弱みって考えるからいけない、宴会芸を手に入れたと考える事にした。

 1つくらい、身体を張った宴会芸を持っていた方が、色々と都合も良いだろう。


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