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プログラマーの見る夢は?  作者: まっこ
第4章 プロジェクト
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第1話 プロジェクトを任されました

「このプロジェクトは、水島だけでやってみようか」


 週ごとの朝ミーティングで、北地課長から言い渡される。


「え?」


 意識せずに素っ頓狂な声が出ていた。


「そろそろ水島君にも新規の担当を持ってもらおうと、大砂君と話していたんだ。

 これなら大丈夫だろうって、迫野君も言っていたしね」


 完全に外堀は埋められている様だ。

 まぁ、そうされなくても、北地課長からの作業指示に逆らえるわけは無い。

 きちんと周りにヒアリングを掛けてもらえるだけでも、俺の事を考えてくれていると思える。


「分からなくなったら、いつも通りに他の人に聞けば良いからね」


「はい、頑張ります」


(大砂さんや迫野さんに聞いているって事は、荷が勝ちすぎる内容ではないという事だろう)


 迫野さんや大砂さんは、決して無茶振りをしない。

 仕事量が多くなることはあっても、出来ない事を振ってくることは無い(と思う)。


 ミーティングの後、北地課長に呼び止められた。


「明日、お客さんの所に行くから心の準備はしておいてね。

 あ、これがお客さんの資料で、やりたいことはこれに書いてあるから読んでおいてね」


「ありがとうございます」


 その日は、北地課長から頂いた資料を読みながら、他の担当先の対処を行った。

 今は案件も無く、『既存ユーザーの保守』という建て前の元、「バグが出た!」だの「上手く動かないから何とかしろ」だのの電話を受けていた。

 それらも大抵は勘違いか操作ミスだった。


 相手が同年代か少し上くらいなら、きちんと説明すると納得してもらえるのだけど、さらに上の人が絡んでくるとそうはいかない。

 「それだと使いにくいから、こう直せ!」とか言われてしまう。


「(いや、今の動きが仕様通りで、そう言う風に変える気なの? 本気なの?)

 承知いたしました。

 その様に変更することを、そちらの担当の方とお話ししますので、代わって頂けますでしょうか?」と電話を代わって貰う。


 電話の保留音が鳴り、暫くすると担当の方が電話に出た。


「いつもお世話になっています、山本です」


「(本当にお世話しているよ)こちらこそ、いつもお世話になっています」


「いや~、本当にすみません。

 どうしても俺が直接言うって聞かなくて……」


「(そっちで何とか止めて欲しかったな……)いえ、良いんですよ。

 で、本当に言われていた通りに、変更されますか?(面倒だし、やりたくないです)」


「そうですね。

 変えないと納得しない様子何ですが……何か説得材料、ありますか?」


「(説得材料か……)そうですね。

 ここを変えると、他にも影響があるのでそこも変更する必要がありますし、それで費用が掛かります……とか、ですかねぇ」


「費用ですか? 保守では間に合いませんか?」


「はい、少しの変更なら保守で行けると思いますが、ここを変えると結構な作業量となりますので、保守では無理だと思います」


「口頭でも良いので、見積もりを出して貰う事は出来ますか?」


「磯崎に言って下されば、お出しできると思いますよ。

 概算になると思いますが……」


「磯崎さんに回して貰えますか?」


「はい、少々お待ちください……」


 電話を保留して、磯崎さんへ電話を回す。


「磯崎さんですか? お疲れ様です、水島です。

 山本さんの所でプログラムの変更要求がありまして、見積もりを出して欲しいそうです。

 お話して頂けますか?」


「良いけど、水島君は変更に対応できるの?」


「正直言うと難しいです。

 新しい所の仕事を割り当てられたんで、今はそちらを優先したいです」


「あ、あの作業が行ったんだ。

 うん、分かった。

 それで、修正するとしたら、どれ位の工数掛かるの?」


「そうですね、10人日位は必要でしょうか」


「分かった。

 じゃあ、電話に出るよ」


「お願いします」


 後で聞いたところ、保守の一環として修正してもらうつもりだったそうで、費用が発生するのは想定外だったらしい。

 磯島さんも結構吹っ掛けたようで、山本さんが上司に金額を伝えたところ「そんなに掛かるの?」と驚いていたそうだ。

 その話を聞いて、少しだけ胸がスッとした。


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