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プログラマーの見る夢は?  作者: まっこ
第3章 対お客様
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第11話 悪友がやってくる

「そう言う訳で、ここの集計がおかしいみたいなので、確認してもらえますか?」


 リリースから2日程経った午後、佐藤さんからの電話だった。

 一仕事を終え、次の作業に取り掛かる前の、少しのんびりしていた時のことだった。


 午前中は難波の所へ揶揄いに行ったり、斎藤の所でちょっとだけ作業を手伝ったりと、久々に同期に会っていた。


(こんな平和な日がずっと続けば良いのに……)


 やはりと言うか、当然ながらと言うか、そんな平和な日々は長くは続かない。

 雨の日ばかりじゃないけれど、晴れの日ばかりでもない。

 幸せなんて、電話1本で吹き飛ぶ程に脆い物なんだ。


 色々考えた所で、問題が解決する訳じゃない。


「では、確認しますので、データを抜き出してメールで送って頂けますか?」


「はい、先程送りましたので、着いていると思います」


 メールの確認は10分に1度に設定してあるので、多少のラグがある。

 強制的にメールの確認を行わせて確認してみると、佐藤さんからの新着メールが届いた。


「あ、今届きました。

 では、確認後に電話いたします」


「はい、よろしくお願いします」


「はい、失礼いたします」


 通話を終了する。


(さてと、何があったんだ?)


 添付ファイルを開き、ファイル名が『問題』となっている某表計算ソフトを開く。


(『問題』ってクイズじゃないんだから……)と軽く悪態を突く。


 俺の平和を乱したんだから、これ位は許して欲しい。

 その『問題』には赤丸で囲われていた部分があり、『値がおかしい』と吹き出しに書かれていた。


(『値がおかしい』って、漠然としているなぁ)


 苦笑いしつつ、机の中から電卓を取り出して、予定の計算式に合わせて表示されている値を電卓に入力していく。

 電卓が弾き出した計算結果は……確かに『問題』に赤丸で囲まれていた値とは異なっていた。


(ん~、何で合わないんだ? データ見ないと分からないな……)


 佐藤さんに実行してもらいたいSQLを書いて行く。

 そして、その内容をメールに添付して送信する。

 メールに添付するファイルは、圧縮して暗号化しないと送れないから、非常に面倒だ。


 暫くして、佐藤さんよりメールが変身されてきて、そのメールの添付ファイルを覗く。

 設定されているデータの値を電卓へと入力していくと、先程の『問題』で赤丸で囲われていた値になった。


(って事はだ……)


 今までの情報を元に、バグを探し始める。


 探し始める事2時間、漸くバグっていた原因を突き止める。

 結果はなんて事のない『以前』なのか『より前』なのかの判定となる、プログラム上では(イコール)の記号があるかないかだけの違いではあった。

 ただ、それだけの違いでも立派なバグだ。

 佐藤さんに連絡し、修正したプログラムを添付ファイルにして送る。


「プログラムのバージョンアップは、指定の場所に置いておけば大丈夫です。

 次、起動するときに勝手にバージョンアップされますので」


「分かりました。

 ちょっと待ってください」


 多分だが、あちらで佐藤さんが指定されたところへ配置して、実際に勝手にバージョンアップされるか確かめているのだろう。

 ややあって、バージョンアップと正しい値が出て来る事を確認したと電話口で告げられた。


「ご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳ありませんでした」


「いえ、直ぐに対処してもらえたので問題ありません」


「他にも何かありましたら、ご連絡お願いします」


「はい、分かりました。

 それでは、失礼します」


「失礼いたします」


 バグは友達って言ったの誰だ? 本当に焦ったぞ。


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