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プログラマーの見る夢は?  作者: まっこ
第3章 対お客様
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第10話 リリース当日

「こちらが、今回の納品物となります。

 そしてこちらが検収となりますので、ご確認お願いいたします」


 リリース当日に、大砂さんと共に客先へとやって来た。

 流石に「今日もパスで!」と言う訳には行かない。

 それはあまりにも無責任すぎる。


「では、インストール作業を一緒に行いましょうか。

 その時に、検収も回しておきますので」


「はい、では行きましょう」


 此処まで、いつも通り俺は挨拶以外は一言も発していない。

 そもそも、『検収って何ぞや?』と言う感じだし……


 場所を移動して、佐藤さんに指示されたPCへプログラムをインストールする。

 と言っても、インストール作業自体は1分も掛からずに終了する。

 PCを空けてもらうのに時間が掛かるだけだった。

 問題無いとは思うのだけど、何も他のプログラムを実行していない状態でインストール作業を行う為、今の作業を中断してもらう必要がある。


「あっ、インストールしていたら、某表計算ソフトが落ちちゃいました~」(てへぺろっ)


 こんな状態になろう事なら、責任問題や信用問題にまで発展しかねない。

 だから、何があっても良い様に、被害が最小限に抑えられるようにする。

 これは、初めて客先で作ったプログラムを入れる前に、迫野さんにきつく言われた。


「何かあった時には、お客さんは全てこちらの責任にするから。

 だから、原状復帰できるところまで、お客さんに操作させることが必要なんだ。

 何もアプリが動いていない状態でインストール中にOSがコケたって、再起動すれば良いだけだけど、某表計算ソフトを使っていて保存もしていない状態でコケたら復旧できない。

 お客さんが自分で操作していれば、全ての責任はお客さんにある。

 こちらとしては、何も操作していないんだからね」


「それだと、今すぐには出来ないって人も居ません?」


「勿論いるよ。

 そういう所は、後からまた回れば良い。

 最後の一人だったら、その人が区切りがつくまで待つだけだよ。

 それでも、偶に終了しないままPCを空ける人もいる。

 『ソフトのインストール位なら、落とさなくても大丈夫でしょ?』ってね」


「そう言う時はどうするんですか?」


「『前に1度だけですが、インストール中にOSごと落ちちゃった事があって、それからOSを信用してないんですよ』と脅すんだ。

 大抵の人は、ここまで言えばソフトを終了してくれるよ」


「そうなんですね」


「本当に偶にだけど、それでも頑なに終了させない人もいる。

 何故、そこまで意地を張るのか到底理解できないけどね。

 しかも、そう言う人に限って落ちたら異常なくらいに文句を言うんだ。

 だから、そう言う人が居たら、現場の担当者に伝えることにしている。

 『あの席のPCには、こちらでインストール作業が保証できませんので、後ででも良いんで入れておいていただけますか?』ってね」


「絶対に作業しないんですね?」


「うん、お客さん同士の事なら、ウチは関係ないからね。

 絶対に後で問題になる様なことは避けるんだ」


 インストール作業を始めて、5台目に差し掛かった所で、佐藤さんが「検収、取れましたよ」と言いながら、先ほど大砂さんが渡した書類を持ってきた。


「じゃあ、私はこれで失礼します。

 水島を置いて行きますので、何かありましたら伝えてください。

 水島君は、操作方法とかのレクチャーしながら、大体、15時くらいまで、ここで待機していて」


「はい、分かりました」


(う~ん、これって、完全に人質だよな)


 返事をしながら、人質として矢面に立つことが決定した。

 まぁ、作ったのは俺だから仕方がない。

 製造者責任とか言うんだったか?


 インストール作業を終え、使用する人に操作方法をレクチャーしたり、質問に答えたりしながら15時になったので、その場から離れた。


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