第5話 夢で逢いましょう
何とか話も纏まり、プログラム作成の工程に入った。
大方の予想通り、ヘルプは得られずに孤立無援の中で日々プログラムを書いていく。
まぁ、大砂さんにも多少は手伝って貰うが、大砂さんは大砂さんでとても忙しい。
記録を取っている訳ではないので正確なところは分からないが、多分、席にいる時間より打ち合わせに出ている時間の方が長いだろう。
席に居ないのだから、助けてもらうのは物理的にも無理な話なのだが……
「おやすみなさい……」
部屋の端の方へと移動して、今日はとりあえず寝る。
自分の家ではなく、会社の中でだ。
徹夜と言っても、完徹と言われるずっと寝ないで仕事をする人も居れば、途中で何時間か寝て作業を再開する人もいる。
「完徹しても良いけど、ミスや見間違いが多くなるから、少しでも寝た方が結局は効率が良いって事もあるよ」
迫野さんも最初は完徹をしていたが、途中、1時間くらい寝た方が効率が良くなることに気が付いたそうだ。
より良い睡眠の為に、あのものが用意されている。
俺にとっては結構な散財となったが、より良い睡眠の為ということで無理矢理納得させた。
まぁ、お蔭で会社で寝ても全身が痛くて仕方がないという事とは無縁で過ごせている。
寝る時間は1時間半と決めている。
何かのテレビで90の倍数にすると良いって言っていたので、それを信じてそうしている。
だけど、あまりすっきりとした感じにはならず、起きて5分くらいは寝ぼけ眼のままだ。
寝る前に、多分10分くらいのラグがあるので、寝ている時間が1時間半より短くなっているからだろうか?
今日も寝袋に入り、惰眠を貪ることにしよう。
良い夢が見られますように……
夢と言えば、偶にだが夢の中でデバッグをしていることがある。
夢の中で開発環境のデバッグ機能を使いながら、プログラムを直していく。
不思議なことに、その夢は夢だと認識している。
何故なら、夢のどこかで他人から見た自分が居るからだ。
最初に現れる場合もあれば、直し終わった後に伸びをしている自分を見ている場合もあるが、そこで、「あぁ、夢なんだ……」と認識する。
ただの夢であるならば気にする必要は無いのだけど、本当に偶にだが正しく修正する場合がある。
目が覚めて、夢で直した通りにしたら、現実でも直ったことがあり、夢を夢で切り捨てられない。
間違っていることもある。
夢の中で直した箇所を、覚えていないこともある。
それは、所詮、夢だから仕方がない。
直ればラッキー! 程度で考えておかないといけない。
今日は当たりが引けますように……




