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プログラマーの見る夢は?  作者: まっこ
第3章 対お客様
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閑話 アウトドアショップにて

(やっと着いた……)


 俺は今、迫野さんに紹介されたアウトドアショップの入り口に居た。


「神田とか神保町とかにも色々あるけど、松戸に住んでいるのなら行ってみれば良いと思うよ。

 柏の方が近いし行きやすいでしょ?」


「まぁ、快速で1駅ですから」


「品揃えとかは間違いないから。

 折角なら、1度は行っておいた方が良いよ」


 迫野さんに紹介してもらったお店だし、是非にと勧められたので来てみたのだが……着いての第一印象は、『デカいけど遠い』だった。

 柏の街も知りたかったので駅から店まで歩いて行くと伝えたところ、迫野さんから「絶対に、止めておいた方が良い」と言われた。

 後でGoogle先生に聞いてみたところ、店の場所までは5.5Kmとの事でやはり歩けない距離ではなさそうなので、歩いて行くと伝えた。

 最初の内は物珍しさもあってか足取りは軽快そのものだったのだが、徐々に疲れて来て着く直前には後悔していた。

 あとで確認したところ、駅から近くにあるショッピングモールまでは無料のシャトルバスが出ていた。


 そのアウトドアショップだが、スポーツ用品店であればこの位の大きさの店は見たことはある。

 ただ、この店にあるのはアウトドア関連商品だけらしい。


(キャンプとか流行っているとは聞いていたけど、こんな店を建てるほど流行っているのか……)


 俺は生まれてこの方、キャンプをやったことが無い。

 泊まる時は何時でも建物の中だし、寝袋を使ったこともない。


(まさか、初めての寝袋を会社で寝る為に用意するとは思ってもみなかったな)


 店の中に入ると、目の前の光景に圧倒されてしまった。

 視界の全てに入る物がキャンプ用品だと思われるもので、色々なテントが至る所に張られていた。

 昔、見たことがある様な三角形のテントだけではなく、家の形に似ている様なものもあれば、丸い形のテントなど……


(こんなに沢山あるのか……)


 台になった所に張られているテントを見てみる。

 それは、とても俺の部屋には入りきらないと思われるテントだ。

 俺が知っている様なテントとは、比べ物にならない程大きい。

 暫くテントの中を見ていてふと値段が気になり、洋服の様にどこかに値札があるのかと探してみたが見つからない。

 展示品だから無いのかとテントの正面へ行くと、車の様に値段の書かれていたボードがテントの横に掲げられていた。


(ふ~ん、1万6千8百円か……やっぱりそれ位はするんだな……)


 キャンプ用品は何でも高いって聞いていたが、気軽にではないけど言うほどでもないなと思って再びテントを眺めていた。


 そこに子供連れの家族がやって来て、テントの中で子供を遊ばせ始めた。


「どうだ、大きくて遊べるだろ?」


「うん、これが良い」


「ほら、こう言っているんだし、多少高くてもずっと使えるから、安い物を買うより良いんだよ」


「そうかも知れないけど、やっぱり高すぎるわよ」


「変に安い物を買って後悔するより、多少高くてもしっかりしたものを買った方が良いんだよ」


(1万7千円弱の買い物で、そんなに躊躇する様なものなのか……家庭を持つって大変なんだな。

 1月、何かを我慢すれば買えると思うんだけどな。

 こんな1万……ん? 一、十、百、千、万、十万……17万? テントってそんなにするの?)


 桁を1つ見誤っていた。

 このテントは16万8千円の代物らしい。

 そりゃ、あの奥さんも躊躇するわ。


 他のテントも見てみたが、小さい物でも3万円とかのものが普通に置いてあり、確かに高いと感じた。

 取っ手のついた計量カップみたいなのが、2千円とかで売っている。

 百均に行けば100円で手に入れられるような代物だと思うのだが、見ている傍から買い物かごへ入れていく。


 寝袋も、5千円以上は当たり前、7万円以上するものを見た時は別世界に迷い込んだ感覚に陥った。


(寝袋1つで、テントが2つ買えるってどういう世界だ? テントを買わないで、寝袋だけで寝た方が良いんじゃないか? いや、どっちも買わないけどね)


 寝袋と一緒に、迫野さんが言っていたインフレーターマットと言うのも買った。

 たかがマットなのだが、寝袋と同じような値段だったのには、また驚かされた。


 俺の知らなかったアウトドアの世界は、金が掛かる遊びの世界だったようだ。

 俺はブルジョアじゃないから、手を出さない方が良いだろう……


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