第9話 設計書レビュー
「基本設計と詳細設計のレビューやろうか。
序でに、単体テストも出来ている所までやっちゃおう。
何時になったら、空く?」
「そうですね。
これだけやったら印刷しますので、10分くらい時間貰えますか?」
「あ、印刷しないで良いわ。
今回はノート(PC)が空いていたから、それを2人で見ながらやろう」
「分かりました。
じゃあ、仕様書ファイルのコピーだけさせてください」
「うん、じゃあ白板の所で待っているから、終わったら来てね」
迫野さんから声を掛けられて、急遽、レビューをすることが決まった。
ノートPCへ仕様書をコピーして、急いで白板へと向かう。
「お待たせしました」
「良いよ~。
普段は偶にしかレビューなんてしないんだけど、最初くらいはきちんとやっておこうかなと思ってね」
レビューは毎回やる訳ではなさそうだ。
「モノが揃っていれば、誰も文句言わないからね。
皆忙しいから、そんなことやっている暇も無いし。
レビュー記録表を書かないといけないから、ここでの話から書いてみようか」
「それって、どんな内容を書けば良いんでしょうか?」
「議事録みたいなものだよ。
指摘された事を書いておいて、レビュー後に修正して終わったら日付を書いて行くだけ。
ノートがあった方が楽だから、皆ノートを持って行くんだ」
「そうなんですね」
「じゃあ、レビューを始めようか。
ノートはそのまま使って良いから、基本設計書を開いて、基本設計用のレビュー記録表も作ってみて。
レビュー記録表の雛型はデスクトップに置いてあるから」
「はい」
基本設計書とレビュー記録表の雛型を開き、雛型の方は名前を変えて保存で別名ファイルとして作成した。
「じゃあ、基本設計書の説明をして下さい」
「はい……えっと、どういう風に進めていけば良いでしょう?」
「人それぞれだけど、書かれている内容をただ読んでいくだけの人もいれば、書かれている内容はほとんど読まずに、重要な事だけを言って行く人もいる。
自分がやりやすい様にやって良いよ」
「分かりました。
じゃあ……」
俺は考えなくても良さそうなので、前者のタイプで行くことにした。
書かれている内容を読んでいくだけで良いのだから、これ程楽なことは無い。
難点としては、口が乾いて歯に唇が貼り付きそうになったぐらいだ。
一通り読み終えた後、迫野さんが口を開いた。
「まず、一通り説明する前に、質問の時間を設けるようにすること。
あ、これはレビュー記録表に書かなくて良いからね。
全て説明して纏めて質問というのは、レビューだと無理がある。
ページごとに受け付けていくぐらいだよ」
「はい、分かりました」
「んで、内容についてだけど……」
事前に確認してもらっていたからなのか、指摘事項は結構な数となった。
そして、単体テストのレビューも終わり、今日のレビューは全て終了と思った時に……
「これはレビュー記録表示書かなくて良いけど、単体テストでバグが見つかって直した後は、必ず修正部分の全ケースをやり直してね。
エンバグしちゃってる可能性もあるから」
今のところは大丈夫だけど、後々、地獄を見ることになりそうな予感がした。




