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プログラマーの見る夢は?  作者: まっこ
第2章 開発を始める
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第6話 思った通りには動かない

 コンパイルは通ったので、実際にテストへ行く前に軽く動作確認をしておこう。

 最初から全て上手く行くと思うほど、自信過剰ではない。

 せめて、正常系位は動くことは確認してからテストに移りたい。


 話は逸れるのだが、隣の迫野さんは常に何かを呟きながらPCと向かい合って作業をしているので、傍から見るとちょっと怖い。

 大砂さんに聞いたところ、真夜中でもあんな感じでやっているので、昔、警備の人と一騒動あったそうだ。

 見回り中に呻き声の様なものが聞こえたので、緊急通報されそうになったらしい。

 警備員が迫野さんの下へ駆けつけると、いつも通り呟きながら仕事をしていたのだが、警備員から声を掛けられた迫野さんが驚き、ひっくり返って椅子から落ちてしまった。

 それで、腰を強く打ち付けてしまい、迫野さんは夜間病院へと担ぎ込まれることとなった。

 それ以来、迫野さんの呟きは多少、声量は落ちたらしいのだが……


 話を戻して、テスト前のテストを行ってみる。

 最後まで動いたようだが、結果が違っている。


(ん~、おかしいなぁ……どうして上手く行かないんだろ?)


 心の中で呟くのは問題ないはずだ。

 少なくとも、周りには迷惑にならない筈だし、呻き声と間違えられるようなことは無いだろう。


(何処かでこの値が変わっている様なんだけど、変わるはずないんだけどな……)


 プログラムを見直す。


(うん、別に弄っているところはないよな。

 それなら変わらないだろ)


 その後、何度実行してみても想定していた値とは違っていた。


(おかしいな……読み込んでいるだけだよな? 計算させてないから、変わる訳ないのに……)


 他の所も、軽く確認していく。

 問題はなさそうだ。


(じゃあ、何でここで値が変わるんだ?)


 1時間ほど悩んだのだが、どうしても上手く動かない。

 気分転換に、缶コーヒーを買いに行く。

 缶コーヒーの自販機があるのは1つ下の階なので、そこまで行く必要がある。


 普段ならば階段の上り下りが面倒で仕方がないのだけど、今はそのことも気分転換の材料の1つだ。

 のんびりと階段を降りて自販機の前に行き、どれを買おうかと自販機の前で悩む。

 今は、いつも飲んでいるやつの気分じゃない。

 いつもとは違うブラックを選んで、自席へと戻る。


 缶コーヒーを1口飲み、作業を再開し、プログラムを見ていく。

 しかし、結果は変わらない。


(気分転換したら簡単に結果が変わる様なら、誰も苦労しないよな……)


 もう、迫野さんに手伝ってもらおう。


「迫野さん、すみません。

 今、動作確認をしていたのですが、どうしても分からなくて、助けてもらえませんか?」


「ん? いいよ~。

 区切りつけるから、ちょっと待ってね」


 いつものように軽い返事だ。


「どれ、どこが分からないの?」


「この変数がですね、読み込んでいるだけなのに値が変わっちゃうんですよ」


「ん~、どれどれ……」


 迫野さんがプログラムを実行し、値が変わったことを確認した。


「ん~、成程ね……」


 更に、迫野さんがプログラムを見ていく。

 そして、プログラムのある行を表示させていた。

 そこは、データを変数へ読み込んでいる部分だった。


「このメンバー変数、代入しているところが2か所あるけど、片方違うよね?」


「え?」


「ほら、こことここ。

 同じ所に値突っ込んじゃっているよ。

 確認してみて」


 確認すると、確かに同じ変数に値を入れているところが2か所あった。


「ダメだよ~、思い込みでソースを見てちゃ」


「すみません、きちんと入れていたつもりだったんですが……」


「プログラムは思った通りに動くわけじゃなく、書いてある通りにしか動かないからね。

 思い込みがあると、きちんと見れなくなるから気を付けてね」


「はい、分かりました。

 ありがとうございます」


 思い込みはいけない、か……


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