第4話 作業確認
「迫野さん、基本設計書を書いてみましたが、ご確認お願いできますか?」
「うん、分かった。
そうだな……空いたら声を掛けるから、それまでに2部、印刷しておいて」
「はい、分かりました」
席へ戻り、プリンタから基本設計書を印刷する。
そうは言っても、クラス仕様書と入出力が書かれたものだ。
他の資料はプログラムを作った時にできるから、書く必要は無いって言われていたしな……
暫く経って、迫野さんから声が掛けられた。
「良しっと、じゃあ、始めよっか。
移動するの面倒だから、此処でやっちゃおうか」
「はい、お願いします」
印刷した基本設計書を迫野さんへと手渡す。
「概要とかは概要設計から持ってきただろうから、飛ばそう。
クラス仕様からやろう。
えっと……機能一覧があって、それに付随するクラスっと……」
迫野さんはどんどんとクラス仕様を、独り言を言いながら見ていく。
途中で俺に対して質問が投げかけられて、それに応答していく。
そんな感じで、20分ぐらい経過した。
「うん、大体良いと思うし、入出力についても問題ないだろう。
ただ、このままだと被っている機能が多いから、社内のライブラリを引っ張ってきて使った方が良いだろうな。
例えば、こことここの機能は、似たような機能があったはずだから……」
社内ライブラリって何だろ? と思いながらも、迫野さんの話を聞いていく。
迫野さんの話が一段落ついてから聞けば良いだけだ。
話の腰を折ってまで聞くことではないだろう。
一通り、迫野さんが話し終えた後に、「あの~、社内ライブラリって何でしょう?」と聞いてみた。
「今まで、社内の他の人達が作った機能を纏めてあるんだ。
例えば、ファイルに文字列を出力したい時は、ファイルを開いて、書き込んで閉じるって作業になるけど、それを纏めてやってくれる様にしてある。
一度作ったものを何回も作り直すのは無駄だし、バグるかも知れないからな。
後で、ライブラリの場所は教えるよ」
「分かりました。
そのライブラリの中に、それらの機能があるってことですね」
「ライブラリの仕様書も同じところに入っているから、他にも使えそうな機能があったらなる使うようにするんだ。
で、『これもライブラリに登録した方が良いかな?』って思う様なものは、登録しておくんだ。
情けは人の為ならずってね」
「はい、分かりました」
「と、まぁ、初めて作ってみてどうだった?」
「教えてもらったり、コピペばかりだったので、まだ実感が湧かない感じです」
「まぁ、偶々、前に似たようなことをやっていたから、サンプルがあれば出来そうだと思ったんだ。
でも、どうやってその機能を実現するためには、どうすればいいのかを考えてくれれば良いから。
最初はコピペだって何だって良いんだ。
作っていくうちに、自分で考えられるようになるから」
「はい、分かりました」
「じゃあ、これからは実際にプログラムを作って行こうか。
その前に、さっきの指摘事項とライブラリの確認はお願いね」
「はい、ありがとうございます」
迫野さんはいつも通り、椅子ごと自席へと戻り作業を再開していた。
俺は某表計算ソフトを起動して、指摘された内容の修正を行い、社内ライブラリの確認を始めた。




