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プログラマーの見る夢は?  作者: まっこ
第2章 開発を始める
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第3話 親友は魔法使い

 今日も朝から、概要設計とにらめっこをしながら基本設計書を作っていた。


 大体、開発経験も無いのに、概要から必要となる機能を洗い出せって言うのは……無茶振り以外の何物でもないと思う。

 だが、サンプルとしている基本設計書に、似たような機能が結構あった。

 その部分を切り貼りして、なんとなくそれらしく作っていく。


(あと、もう少しで終わりそうだな……)


 そう思いながら、似たような部分を探して、コピペして修正していく。


(あれ?)


 途中で、何かに引っ掛かったかのように動かなくなってしまった。


(重くなったのかな?)


 キーから指を離して、動き始めるのを待つ。

 30秒程待っても、動き出すことは無かった。


(あれ? おかしいな……今まで、こんなに待つことは無かったけど……)


 更に30秒程待っても、やはり動き出さなかった。


「迫野さん、ちょっと良いですか?」


「うん? どうした?」


「何か急に動かなくなって……どうすれば良いのか分からなくなったんです」


「どれどれ……」そう言いながら、迫野さんは椅子ごと此方の席へと来た。


「マウスは動くし、ウィンドウの切り替えも出来るっと……動いているみたいだけど?」


「某表計算ソフトが動かないんです」


「あ~、こいつね」


 そう言いながら、迫野さんはキーボードで2~3個のボタンを同時に押した。

 すると、『タスクマネージャー』と表示されたウィンドウが出て来た。

 迫野さんは、何事も無かったかのように、その中から某表計算ソフトの所を選んでいた。


「あ~、やっぱ落ちてるわ。

 ご愁傷様」


「どういう事ですか?」


「偶にこいつ落ちるんだよ。

 ほら」


 そう言いながら、某表計算ソフトのウィンドウでマウスのボタンを押す。


「ここに(応答なし)って書いてあるだろ? これは落ちたって意味なんだ」


「そうなんですか……どうすれば良いんですか?」


「ほら、ダイアログでここから、これを選んで、『タスクの終了』ってやれば終わるから、また起動しなおせば良いんだけど……保存される前の状態に、戻っちゃうんだ」


「朝から保存はしていないから……じゃあ、今日、今まで修正した分は無くなっちゃうんですか?」


「う~ん、設定次第では少し前まで残っているけど……とりあえず、起動しなおしてみて」


 迫野さんの言われた通りに、『タスクの終了』をして起動しなおした。

 起動しなおした某表計算ソフトの左側に、何やら見慣れない表示があった。


「お、ツイてるね。

 自動保存が設定されていたみたいだから、ここから選べば少し前の状態で戻れるよ」


「落ちる直前までは戻れないんですか?」


「それは無理だな。

 だって、某表計算ソフトにも今落ちるとか分からないんだから。

 少しでも直前に戻りたかったら、ここをこうして、1分とかにすれば良いよ。

 だけど、1分ごとにちょっと遅くなったような感じになるから、その辺は自分との兼ね合いで決めてくれ」


「分かりました。

 ありがとうございました」


「まぁ、何時かは通る道だからな」


 そう言いながら、迫野さんは椅子ごと自分の机へと帰って行った。


 何処かのお笑い芸人が言っていた『時を戻そう』を、現実(リアル)で食らうとは思っても居なかった。


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