第9話 鋭意、学習中
「うん、じゃあ、このソースの仕様書を確認してみようか。
仕様書は後でメールで送っておくから。
これを……3日もあれば終わるかな?」
「分かりました」
迫野さんに今日の作業を確認したところ、クラスの仕様書とソースを渡されることになった。
「これで、仕様書の書き方とソースの書き方、コメントの付け方を覚えてね」とのことだった。
ソース自体はコメント行を含めて400行位だったので、1日150行位ずつ見て行けば3日で終わるだろう。
自分で書くわけじゃなく、書いてあるものを見ていくだけだから、多分大丈夫だろう。
自分の席へと戻り、メールをチェックすると迫野さんからメールが来ていた。
さっき言っていた仕様書が添付されていたので、早速開こうとする。
(あれ、圧縮ファイルか……って、暗号化されているけど、暗号は何だろ?)
「すみません、迫野さん。
さっきのメールに添付されていたファイルの暗号って何でしょう?」
「あ、ごめん。
sakonoでいけるよ。
この辺の人は皆、自分の名前で暗号化して送ってくるって言ってなかったか」
「分かりました。
ありがとうございます」
「そう言えば、メールにEXEファイルとか某計算ソフトのファイルを添付して送ると、管理から人が飛んでくるから気を付けてね」
えっ、初耳なんだけど……
「前に請求書を他の客先に送った馬鹿が居てね、それから送れなくなったんだよ。
ホント、良い迷惑だよ」
そのまま送っちゃいけませんって、学生時代にも言われたんだけど……
「そうなんですね……」
色々な意味で絶句したが、今は与えられた仕事を熟す事を優先するべきだろう。
暗号化された添付ファイルを解除して、中のファイルを開く。
中には某表計算ソフトのファイルが格納されていた。
仕様書は某表計算ソフトで作成されたようだ。
(何で、某表計算ソフトで作るのかな? 書類なら、某文書作成ソフトとかの方が良いと思うのに……)
某表計算ソフトを起動して、中身を見てみる。
中のファイルはいくつかのシートに分けられていて、『表紙』『目次』『機能概要』等に分けられている。
『機能概要』を選んで読んでいく。
暫く読んで、大体の言いたいことは分かった。
(ふ~ん……)
じゃあ、実際のソースを見ていくか。
『機能詳細』のシートを開いて、隣にはソースも開く。
コメントと仕様書のお陰で、どこがどの処理をやっていて、結果がどうなるのか分かる。
(大学の時とは全然違うな……こんなにコメント入れていなかったしな……)
1命令につき1コメントを入れているような感じだ。
こんなにコメントを入れていくのは、大変なんじゃないかと思う。
見ていて気になったのが、仕様書とコメントが同じような感じで間違っていたことだった。
かな漢のせいでそうなったのかも知れない。
(まぁ、大学でレポートを書いていた時も、変な学習で困ったこともあったしな)
試しに自分のPCで打ち込んでみると、候補の先頭は同じ文字が出てきた。




