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今どきハンドガンだけで異世界とか地味すぎる!!  作者: ヤナギ・ハラ
第三章 小さな仲間 守るべき子供たち
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58 狩り

《《 目標右前方、距離にして150M 目標はゆっくり南下してるから、このまま進めば後ろにつける。》》


《《 了解     ____目標視認。 鼠熊、体長およそ1.5M 》》


《《 1.5Mか…。結構大きいね。 よし、そのまま待機。あと1分でそちらと合流できる。それまで目標を監視。 》》


《《 __鼠熊程度、私一人でも…… 》》


《《 それはダメ。前にも言ってるけど、無理に危険を犯す必要はない。これは出来るできないじゃなくて、より安全で確実に。 わかった?》》


《《 __わかった。 》》


 アネアにメッセージを飛ばしつつ、森の中をゆっくり進んでいく。なるべく物音を立てないよう慎重に行動する。


 今いるのは町から5km程離れた森の中。そこでアネアと共に狩りを行っている真っ最中である。こうして定期的に狩りを行うことで、食料や素材といったものを入手し、余剰分などは町に卸すことにより金銭を得ているのだ。生活をしていく上では金銭というのは絶対に必要になってくるので、こうして狩りをしてそれを賄っているのだ。また意思疎通や連携といったものを鍛える面でも、狩りを行うのはその行為自体重要な役割を担っている。特に狩猟民族であるアネアにとって、狩りは生活そのものでもあるので、こうした狩りは積極的に行っている。


《《 目標確認。 こちら配置についた。 アネア、そっちは? 》》


《《 問題ない。 いつでも行ける。》》


《《 了解。 次目標が立ち止まったら、行動開始。合図はそっちにまかせる。自分のタイミングで仕掛けて。 》》


《《 了解した。          ______行く。 》》


 鼠熊が立ち止まり地面に鼻を向けて匂いを嗅いでいる次の瞬間、その頭上、木の上で待機していたアネアが鼠熊へアタックを仕掛ける。全体重プラス落下速度をのせた槍の一撃は、下を向いていた鼠熊の首裏に深々と突き刺さる。一撃を加えたアネアは、その勢いのまま地面に着地すると、すぐに後ろへと下がり、そしてまた木の上へと登っていく。アネアからしたらこのまま獲物を仕留めたいのかもしれないが、いらぬ反撃を受けて怪我をしてしまうリスクがあるので、攻撃したら即離脱というのをあらかじて伝えてある。アネアはそれをよく守ってくれている。


 首裏を槍で深々と貫かれた鼠熊だが、しかし即死することなくその場でデタラメに体を動かしている。野生の生命力というものは凄まじいもので、これが人間であれば即行動不能になっているだろう。しかし、首をあれだけ傷つけられては生きていくことは出来ない。その高い生命力が仇となり無駄に苦しい思いをしてしまっている。


「今楽にしてやるからな。」


 未だ苦しんでいる鼠熊の頭部に照準を合わせ、その引き金を引く。

 爆発に近い轟音が森の中に響き、音が鳴り止む頃には鼠熊は動くこと無く横たわっていた。その鼠熊の傍へと足を運び、死んでいること確認してからその大きな体を収納していく。


「___一撃で仕留められなかった。」


 木の上に位置度っていたアネアが音もなく地面へと着地する。

 アネアは獲物を一撃で仕留められなかった事を気にしているようだ。


「いや、あれだけ見事に攻撃できれば十分だよ。現にアネアの一撃で、熊はすでに致命傷だったし。」


「でも、もっと上手く攻撃できていれば。」


「んー、でも熊みたいな動物は体がデカくて丈夫だからね。その分どうしても仕留めにくいと思うし。確かに頚椎を寸断できれば即死するかもしれないけど、槍だと形状的に難しいし。だからといって頭部を狙っても頭蓋骨が硬いせいで攻撃がそれる、胴体だとそれこそ一撃で沈めるなんて無理でしょ。」


「……でも、シュンであれば一撃で仕留められた。」


「コレのこと言ってるの?」


 手元にあるM500xリボルバーに目を向ける。これは普段使っているP226xハンドガンよりも桁違いの威力があり、大型獣相手でもダメージを負わせる事ができる。もともと大口径のハンドガンはそういった目的の為に作られたものなのだ。9mmや38口径の弾を使用するハンドガンではその弾の小ささから大型獣には効果が薄いのだ。


「無理無理っ! いくらこれが威力あるからって、熊みたいな大きな獲物一撃で仕留めるなんて無理だよ。それこそ胴体に当てた所で突進を止めることすら出来ないから。頭に当てたとしても頭蓋骨のせいで弾がそれることだってあるみたいだし。」


 これは本心からの言葉であった。実際大口径のハンドガンでも一撃で大型獣を仕留めるのは至難の技であり、そもそもハンドガンで大型獣をハントするという考え事自体がナンセンスである。狩猟ではライフルを使うのが当たり前であり、ハンドガンはサブ武器、緊急時の予備に過ぎないのだ。


「それと、アネアは自分の事を、まだまだだって言ってるけど、そんなことないからね。というか、狩りだけで言えば俺なんかより全然上だから。もっと自身をもっていいよ。だからそこまで気落ちする必要はないから。」


「そんなことない。 私はまだまだ未熟……。 それに__シュンの方が凄い」


「そんなことないって。」


「そんなことなくない。」


 断固として譲らないその姿勢に思わず天を仰ぎたくなる。彼女と一緒に過ごすようになってもう一ヶ月以上経つが、そこで判ったことが幾つか有る。

 そのうちの一つがこれだ。彼女は意固地になることがたまにあるのだ。こういった時の彼女はなかなかどうして、頭が硬いというのか。いや、地頭は決して悪くはない。むしろ柔軟といっていい。いろんな事を吸収し成長していく彼女は、控えめにいっても優秀であり、その才能は疑いようのないものだ。元々の素質が素晴らしい上に、さらに成長する。その様を近くで見るのは気持ちが良いほどだ。

 

 しかしながら、彼女自身はなぜかそうは思っておらず、極端に自己評価が低いのだ。それは謙遜などといった類ではなく、心からそう思っているフシが有る。そんな事はない、優秀だといっても納得してくれないのだ。


 どうにかその考えを、あらためて欲しく色々と手を尽くしているのだが、今の所よい結果を得られないでいた。


 ただ、これは何も悪い事だらけというわけでもない。自己評価が低いということは、裏を返せば上昇志向が強いということだ。それを裏付けるかのように、彼女はいろんな事を学ぼうと意欲的だ。その姿勢にはこちらも応えてあげようという気持ちが強く湧いてくる。結果彼女の成長につながるのであれば、それはそれで嬉しくもあるのだが……。


(もっと自信もって欲しいなぁ…)


 どう彼女と向き合っていくか。

 広大な森の中、空を見上げながら漠然とそんなことを考えていた。








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