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今どきハンドガンだけで異世界とか地味すぎる!!  作者: ヤナギ・ハラ
第三章 小さな仲間 守るべき子供たち
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53 魔法

「えっ!? 魔法使えるの!!?」


 衝撃の事実に、思わず声を荒げてしまい、突然上げられた大声に子供たちはビクッと体を硬直させてしまう。


「あっ!! ゴメッ___『大声を上げてすまない。』」


 あまりの驚きについ大声を上げてしまったが、それも致し方ないだろう。買い物を終え、宿屋へと戻った後に、ネルエルザとウルエルザからもたらされた情報は、取り乱すに充分な内容であった。



 魔法


 この異世界に転移してきて、かなりの時間が経過していたが、その存在を目にする機会にはあまり恵まれていなかった。ミミに精霊が使う精霊魔法というものを見せてもらったが、それ意外では目にすることがなかった。


 この世界には魔法がある。しかしどこか遠い場所での出来事のような、そんな存在だったのだ。しかし、今二人からもたらされた話によると、なんと単眼族・多眼族は魔法を使うことが出来るという。どうやら種族として魔力と親和性が高いらしく、大人から子供まで魔力を扱えるのだという。

 そして、単眼族・多眼族であるネルエルザとウルエルザも、幼いながらも魔法が使えるというのだ。ただし、その幼さゆえまだ上手く扱う事は出来ないようだが、それでも魔法を使うという事自体は問題ないようだ。


『魔法は使えるという事だが、どんな魔法が?』


『私が水を、ウルが火を操ることが出来ます。』


『火と水?』


『はい。』


 四大元素と言われるうちの二つ、水と火を姉妹の二人は操ることが出来るという。その事実に少なからず興奮し、そしてそれを抑えることが難しいかった


 四大元素とは古ギリシアで唱えられた説で、万物の根源として火、水、土、風があると言われていた。もちろん科学的に言えば四大元素なる括りは存在しない。万物の根源は四大元素ではなく原子であり、化学物質を構成する基礎的な成分・要素を指す概念として元素が用いられる。


 根源として原子と四大元素では概念の違いはあるのかもしれない。しかしながら、その四大元素の火と水を操れるとは、いったいどのような事なのだろう。元の世界では魔法などという不確かな物は存在していなかった。しかしこの世界ではそれを扱うことが出来る者が今目の前にいるのだ。興奮しない訳がない。


『二人の魔法を見せてもらってもいいか?』


 二人は戸惑いを見せる。

 

 魔法というのは、おいそれと他人に見せてはいけないものなのだろうか。確かに技術などを人前で見せるのはリスクが伴う。それこそ生き死にが直ぐ側に在るこの異世界では、魔法の有る無いで生存に関わってくるのかもしれない。それを二人は危惧しているのだろう。


『___無神経な事を言って、すまなかった。』


『あっ、ううん、違うの。あの、えっとね…』


 ウルエルザはオロオロした感じで、室内を見渡す。


 ___そう、室内を。


 今いるのは、宿泊している宿屋の一室。

 室内で魔法を使う。

 それがどういう事か。

 少し考えればわかることだが、あまりの興奮からその事に思い至らなかった。


『……すまない。』


 ネルエルザがクスクスと笑っている。それにつられてウルエルザもニコニコと笑顔である。子供に窘められるのは少し情けなくはあるが、今回は完全にこちらが悪い。甘んじて受け入れなければならない。


「はぁ……。本当情けないわねぇ。こんなんで子供たちを面倒みて行けるのかしら。」


「えっと…、うん…。本当に間抜けだった…。反省してます。」


 ミミに頭をペシペシと叩かれるが、何も言い返せない。

 子供らの手本になれるよう、もう少し大人にならなければと心に刻む。


『ウフフッ。 それでは町から少し離れたところに行ってお見せしますね。』


 こちらの大人げない態度に対し、子供であるはずのネルエルザが大人な対応で受け答えをする。どちらが大人なのか分からなくなってくる。なんとも情けないことだ。もう少し自重しなければ。






――――――――――――――――――――



 一行は町から川沿いに数キロと離れた場所へと移動する。

 たどり着いたのは程よく開けた川岸で、辺りには人の姿は見られない。ここならばひと目を気にせず魔法を使うことが出来るだろう。


『それでは、まずは私からお見せしますね。』


 ネルエルザは川の浅瀬まで移動すると、その場にしゃがみ両手で水を掬い出した。そしてしばらくすると、手で掬っていた水が僅かに振動したかと思うと、水はゆっくりと形を変え、そのまま手の中で球体へと変化していった。


『このように、水を操ったりすることが出来ます。ある程度でしたら体から離れた場所の水も操ることも出来ます。』


 水の球体を手にしながら、ネルエルザがこちらに近寄ってくる。そしてそのまま水球を手渡してくる。受け取った水球はしばらくは球体を保ったままであったが、やがて形を崩し手からこぼれ落ちていく。


『これが魔法……。』


 まさに魔法と呼ぶに相応しい現象だ。水が何の器にも入れずに形を保つなど、元の世界ではまず見ることが出来ない。不可能ではないと思うが一般では無理だろう。それをこうもたやすく目の前で実践されると、驚きを禁じえない。


『はい。水魔法は初めてご覧になりましたか?』


『ああ。魔法自体あまり目にした事が無かった。』


『そうですか。お見せ出来てよかったです。』


 ネルエルザはにっこりと微笑んで見せる。


『とは言え、まだ未熟な部分が多々ありますけど。』


『どの程度水を操ることが出来るんだ?』


『あまり正確に測った事がないので断言は出来ないのですが…、両手で抱えることができる程度の量かと思います。』


 両手で抱える程度の量であれば、それなりの量の水を操ることが出来るのだろう。これはいったいどういう原理で操っているのだろうか。そのあたりのことを一度詳しく聞いてみたいものである。


 続いて火を操る事ができるというウルエルザの魔法を見せてもらうことに。しかし当のウルエルザが、少し困った表情をしている。


『ウルエルザ、どうした?』


『あの、えっと……。その……』


『?』


 口ごもっているウルエルザに、何か問題でもあるのだろうかと思っていると、姉のネルエルザが助け舟を出すように説明し始めた。


『ウルエルザは、まだ火種が無いと火を操ることが出来ないんです。』


『火種?』


『はい。熟練者になると己の魔力で火を起こし、そして操る事ができます。しかし、私達はまだ未熟なので、水や火を操ることが出来ても生み出すことが出来ないんです。』


『だが先程ネルエルザは水を___』


 そこで先程ネルエルザが行った工程を思い出す。ネルエルザは川の浅瀬へと行き、そこで水を手で掬ってから球体を作り出していた。

 ネルエルザの言った通り、彼女は水を生み出してはいなかった。


 これはいったいどういった事なのだろう。

 操ることは出来るが生み出すことは出来ない。

 魔法とは、どのような現象なのだろうか。


『生み出すことは出来ないと言ったが、熟練者は魔力で事象を起こすことが出来る___ウルエルザはどうやって水を操っているんだ?』


『どうやってですか? 魔力によって__ええと、自分の中の魔力を水に流すことによって己の魔力を水の中に満たします。そして満たした自身の魔力を操ることで水を操作するといった感じです。』


 己の魔力によって水を動かす。なんとなくのイメージは湧くのだが、そもそもその魔力というのがいまいち分からない。魔力という未知の力、もしくはエネルギーで物質を動かす…。けれども物質を生み出すことは出来ない。しかし熟練者は無から…、いやこの場合魔力から有を生み出すことが出来るというべきか。

 

 魔力を別の物に変換する?

 いや、魔力が物質になにかしらの力で作用___

 そもそも物質そのものに変化するのではない……。

 もっとミクロな、たとえば原子や分子、元素など……。


『あ、あの……?』


 頭の中であれこれ考えていたら、ネルエルザが困った様子でこちらを伺っていた。どうやら気が付かないうちに子供たちを無視してしまっていたようだ。


『……すまない。考え事をしていた。』


『いえ、それは構わないのですが……。』


『そういえば、まだ魔法を見せてもらっている途中だったな。』


 そう、今は二人に魔法を見せてもらっている最中だ。今はこちらに気を向けるべきであろう。思考は後でいくらでも出来る。


『ウルエルザ、中断してすまなかった。それではあらためて魔法を見せてくれるか。』


『うんっ!』


 火を起こし、元となる火種を充分に用意し、ウルエルザが火を操る環境を整える。ウルエルザは火の傍に近寄ると、しゃがんで手を前へと突き出す。そして火をじっと見つめる。先程のネルエルザの話からすると、おそらく己の魔力を火に流し込んでいるのだろう。

 先程のネルエルザよりも長い時間火に向かって魔力を流しているウルエルザであったが、「んっ」とより一層力を込めた次の瞬間。ボッっと若干だが火の勢いが強くなったように見えた。そして勢いが強まった火はその勢いのまま上へとその炎が広がり、そして火の一部が火元から離れウルエルザの手元へと燃え移る。移動した炎はウルエルザの手の中で消えること無く燃え続けている。


『手に持って熱く…、火傷しないのか?』


『うん。私の魔力が流れている間は火傷しちゃうってことは無いよ。』


『そう___なのか。』


 手元に炎を移したルエルザが、なんでもないという風に炎を右手、左手へと動かしていく。そして手を合わせるようにしてその炎を消してみせた。


『シュン! 私の魔法どうだった?』


『ああ、すごかった。ウルエルザにこんな凄い才能があったなんて、驚いたよ。』


『えへへーっ』


 満面の笑みを浮かべ、照れたように頬を赤らめ抱きついてくる。その小さな体を受け止め、頭を優しくなでる。頭を撫でられたウルエルザは「えへへっ」と笑いながら頭をこすってくる。


 その姿はどこからどう見てもただの小さな女の子だ。しかし、今目の前で起こった出来事は決してただの出来事ではない。いや、この世界では普通なのかもしれないが。いや、だがしかし……


 ___魔法とは、いったい……


 その不思議な出来事___事象に考えをはせるのであった。





53話にきてやーーーっと魔法の登場です!

異世界物でここまで魔法が出てこなかった作品ってあるのだろうかw

正直申し訳ないです!!

でも、この作品ってあまり魔法とか登場しないんですよね(汗

ハンドガンしかない状態で魔法とか…。

結構無理ゲーかもしれないですね。


さて、この先どのような物語になっていくのでしょうか。


少しでも興味を持って頂けたならば、評価、感想、ブックマーク お待ちしております!!

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