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今どきハンドガンだけで異世界とか地味すぎる!!  作者: ヤナギ・ハラ
第三章 小さな仲間 守るべき子供たち
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41 皆で屋台

 店の外で待っていた皆の元へと向かう。

 大人数で店内に入ると邪魔になってしまうと考え、外で待ってもらっていたのだ。


「外で待たせちゃってわるかったね。何か変わったことはなかったかい?」


「この町は比較的治安が良いみたいだからね、危険なことはそんな起こらないさ。」


「ピィ!」「ワン!」


「それにしても、随分笑顔だけど、何か良いことでもあったのかい?」


 エインセルがこちらの表情から何かしらあったのか推察したらしい。なかなか鋭い観察力だ。いや、それほど自分の表情があからさまだったのだろうか…。


 鍛冶屋の中での出来事をかいつまんで説明する。マチェットを見つけたことにより、当初の予定とは違うものになったが、それでも目的を果たせて満足であることを伝えた。


「剣を使ってみたいと思わなくもないが、それでもやっぱり、慣れ親しんだ物が手に入ったからね。思わぬ収穫だったよ。」


「そうか。ボクは武器の事はよくわからないけど、シュンが喜んでいるならそれでいいんじゃないかな。」


「ピィ! シュンうれしそう! ピピィもうれしい!」


「ワン!」


「それにしたって、20個も買う必要なんてなかったんじゃないかしら。そんなに買って何につかうのよ。」


 ミミが呆れた様子で頭の上に座っている。たしかに傍から見たら意味のない行動にみえるだろう。しかしこれにはきちんと理由があるからの行動だ。


「あれはいろいろな用途に使えるし、それに投擲としても使えるんだ。だから多く持っていても損にはならない。それに俺は収納でストックすることが出来るからかさばらないし、用意しておいて困ることはないよ。」


「ふーん。まぁ私には関係ないからいいけど。あまり無駄遣いしてお金無くなっちゃっても知らないわよ。」


「大丈夫だよ。そこらへんはきちんと考えているから。」


 まだ懐にはかなり余裕があるし、もし所持金が少なくなってきたら、手持ちの物を売ればある程度は金銭を得ることが出来るだろう。収納している道具類の中に、襲ってきた人間たちの持ち物も多く存在している。彼らの武器や防具、アイテムなどを放出していけばよいのだ。無論考えなしにそれらを売ることは出来ない。それらのアイテムから足がつく可能性も考慮しなければならないからだ。要らぬトラブルを避けるためにも、そこらへんは慎重にやっていかなければならないだろう。


 目的の一つである鍛冶屋での武器購入を滞りなく済ませることが出来たので、次の目的である道具店へと向かうことにする。


 そこでは日用品で使う品々や、外套などを購入するつもりである。今自分が纏っている装備は、この世界ではかなり浮いたものとなっている。その違和感を少しでもなくすため、装備の上から羽織ることが出来る外套が必要になってくるのだ。それと背嚢(はいのう)も良さそうなものがあったら購入するつもりだ。いくらアイテムを能力で収納することが出来るとはいえ、あからさまに人前て使うことは出来ない。おそらくこの能力はかなり異能だと思われるからだ。そんな能力を人前で惜しげもなく披露するのはトラブルを呼び込むことになりかねない。だからある程度の物は背嚢で持ち歩く、もしくは持ち歩いているように思わせる必要がある。その為、荷物の持ち運びが出来る背嚢はなくてはならないものだ。

 他にも手に入れておきたい物が幾つかあるので、それらを求めに道具屋へと足を運ぶ。幾つかの店の場所をトカゲ店員から教えてもらっているので、出来れば複数立ち寄って行きたいものだ。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






 幾つかの店を周り、目当ての物をいくつか入手することが出来てのだが、思いの外背嚢選びに手間取ってしまった。ただ荷を運ぶためだけの物であれば結構な数を見つけられたのだが、元の世界の様な、機能性や動きやすさ、使いやすさなどを求めたら、思い他、納得できる物が見つからなかったのだ。

 収納ストックがあるのだから、そこまで拘らなくても、ぶっちゃけ形だけ揃えていればなんら問題ないはずなのだが、変な所で拘ってしまうのは日本人として悲しい性なのかもしれない。しかしいつまで迷っていても仕方がないので、ある程度の妥協として、大容量持ち運ぶ事のできる旅用と、機能性や便利生を主とした普段使い用の幾つかを使い分ける形として購入することにしたのだ。


「__無駄使い」


 呆れた口調でボソッとこちらを非難するミミの小言に、異を唱えようとしたが、しかしながら自分でも思う所があるので、口をつぐむことにした。


 確かに当初考えていたより少々価格がオーバーしていったかもしれない。しかしこれは経費であり長い目でみたらきっとプラスになるはず。そう自分に言い聞かせ、もとい納得しての行動なのだ。


 そんなどうでもよい事を考えながらあれこれと買い物をしていると、気がつけば結構良い時間帯となっていた。


 ちょうど腹も減って来たところだし、折角町の中に繰り出しているのだから、外食と洒落込んでもいいかもしれない。なので皆で昼食を取ることにした。

 最初はどこか店に入ろうかとも思ったのだが、通りでは結構な数の屋台などが並んでいたので、せっかくだから色々なものを頂くことにしよう。


「みんな、何か食べたいものがあったら遠慮なく言ってね。」


「ピィ!」


「ワン!」


 ピピィとアセナがピョンピョン飛び跳ねて喜びを表現している。うちの子達は食べることが大好きだからこちらとしても食べさせ甲斐があるというものだ。二人は喜びの舞を踊った後、トコトコと屋台の方へと足を運んでいった。


「エリィも好きなもの頼んでいいからな。」


「ありがとう。そうさせてもらうよ。」


 エインセルも二人の後を追うようにして屋台の方へゆっくりと歩いていく。


「ミミも何か気になるのがあったら言ってね。代わりに買うから。」


 ミミは精霊なので普通の人には見えない。なので彼女の代わり買い、渡して上げる必要があるのだ。


「あら、わたしはシュンが食べるものでいいわよ。」


「なんでもいいの?」


「構わないわよ。後でレーションさえくれれば文句は言わないわ。」


「さようでございますか。」


「さようでございますわよ。」


 本当に彼女はぶれないものだ。




――――――――――――――――――――




「ピィ! はふはふ はふはふ」


焼きトウモロコシを翼で器用に掴みながら、美味しそうに頬張る姿はなんとも愛くるしい。美味しそうな匂いにつられ、キラキラとした目で焼かれていくトウモロコシを見つめていたので、幾つか買ってそれを渡してあげると、ピピィはとても美味しそうに食べ始めた。

 彼女はどちらかというと菜食寄りなので、肉などよりもこういった食べ物の方が好きなのだ。とはいえ、肉類が全く駄目かというとそうではなく、肉も問題なく、美味しく食べることが出来る。あくまでそっちの方が好きという感じである。


「ワン! ムシャムシャ! 」


 アセナも美味しそうに食べている。彼女はピピィとは逆に肉派なのだが、だからといって肉以外食べないかというとそうではなく、野菜から穀物、果物と何でもアリで、どれも問題なく美味しく食べるのだ。


 最初犬にとって駄目な食べ物とか何だったろうかと、色々と気にしていたのだが、エインセル曰く、妖精のような存在のアセナは何を食べても問題ないそうだ。それは本当にそうなのか? と初めは疑問に思っていたのだが、そもそも妖精は体の作りが普通の生き物とは全く違うので、アセナも見た目は犬にしかみえないが、犬とは全く違う存在なのだという。


 妖精のエインセルにそう言われると、こちらとしては納得するしかなかった。

 今の所アセナに何か異変が起きたというこ事は起きていないので、問題ないのだろう。当の本人もなんの遠慮もなくバクバクと食べているので、気にするはやめにしたのだ。


 だが、それでもやはり少し怖いので玉ねぎなどはあげないようにしている。

 …もしカレーとか食べる機会があったら、どうしよう…。



 いつまでも要らぬ心配をしていても、仕方がない。今は食事を楽しむべきた。

 皆と同じ様に焼きトウモロコシを口にする。噛んだ瞬間口の中に広がるコーンの風味。うむ、間違いなくトウモロコシである。元の世界のそれと比べると少しばかり味気なく甘みも少ないように思われるが、それでも充分美味しいだろう。欲を言えばバター醤油での味付けが自分は好みであったのだが、今だこの異世界で醤油を目にしたことがないので、叶わぬ願いであった。


 前歯で粒をもぐようにして囓りつく。意外なことに犬の顔になっても食べ方はあまり変わらないものだ。取り立てて食べづらいという事もなく、若干鼻が上に押し上げられ歯茎が露出しなくもないが。傍から見たら少々品がないようにみえるかもしれないが、別にどうということはないだろう。


 隣で上品に焼きトウモロコシを食べているエインセルとの対比が、否が応でもその品位の差を見せつけてくるが、そんなものは気にしない。美味しく食べられればそれでよいのだ。



 その後も幾つかの屋台で目ぼしい物を見つけては皆で美味しく頂いていく。町に繰り出してみてわかったのだが、意外にも食の面でこの世界が劣っているという事は感じなかった。素材に関してい言えばやはり幾多もの品種改良を行ってきた元の世界の食材に軍配が上がるだろう。調味料もやはり元の世界には敵わない。しかし、それだけである。素材や調味料だけで料理が決まるわけでもない。いくらでも美味しいものは見つかるものだ。


 手にしていた串焼きを食べ終わり、口周りについたタレを舌で舐め回す。これが意外と便利でついついやってしまう。人間の顔でやったならば大層お下品かもしれないが、この顔だとそこまで可笑しいというわけでもないのだ。長い舌はかくも便利なものである。

 それを見ていたピピィが真似をするようにペロペロと口周りを舐めているが、残念なことに彼女の小さな舌はチョロチョロと動くだけでまったく機能していなかった。そんな様子に微笑ましくもあるが、すこし情操教育に良くなかったかと自省する。あまりピピィの前では、しないようにしなければ。


「ピピィおいで。」


 彼女を呼び、取り出したハンカチで口周りを拭いてあげる。


「ピィ! ピィ! きれいきれい。」


 上機嫌に体をふりふりと動かす。


 食べ終わった串をひとまとめにして、屋台のある方へと向かう。町にはゴミ箱というものが存在しないので、こうして出たゴミは屋台の所へ持っていけば屋台側が処分してくれるのだ。




 ゴミを捨て終え皆の所へと戻と、ピピィが少し離れた所で何事かをしている。


「ピピィ、どうした?」


 声を掛けるも、こちらに戻ってくる様子はない。

 そちらに視線を向ける。そこには一台の荷馬車が通りの脇に止められていた。木で造られている荷馬車は、所々が追加で補強されており、結構作りがガッシリとしてる。加えて大きさもなかなかのサイズであり、かなりの容量を運べるであろう。


 そんな荷馬車の横を位置取るようにして、ピピィがじっと中の様子を伺うようにしている。別に中が見えるように窓がついているわけではないのだが、それでもじっと見ている姿は少し様子がおかしい。

 あまりジロジロと見るのは少々マナーが悪いだろう。御者席の方を見るが、そこには誰も座って居なかった。席を外しているようだ。

 

「ピピィっ、こっちにおいで!」


 大きめの声で彼女に呼びかける。

 ピピィはこちらに振り向き、何か口を開こうとしていた。


「ピィッ。 シュン、あのね_____」 


 しかし、言葉は最後まで言い終えることは無く途切れた。




「ぴぃぃぃぃっーーーーーーーーーー!!」





『なんだこのクソ鳥野郎は』


 ピピィの頭を髪の毛ごと乱暴にひっぱり、無造作に掴み上げ、汚い言葉をピピィに吐き捨てている人間の男によって、言葉の代わりに彼女の悲鳴がその口から発せられていた。



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