表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今どきハンドガンだけで異世界とか地味すぎる!!  作者: ヤナギ・ハラ
第ニ章 新たな旅立ち 新しい仲間
38/79

幕間 02 止まらぬ涙

 いつもいつも泣いていた。

 別に泣きたくて泣いているわけではない。

 それでもとめどなく流れる涙を止めることが出来なかった。


 醜い。


 体中アザだらけで、とても見れたものではない。

 それはこの世に存在した時からそうだ。

 思わず目を背けたくなるほどだ。

 そしてそれは自分自身、嫌というほどわかっている。

 だから涙を流す。

 自分で理解しているから。



 人と対峙するのが苦手だ。

 この顔を、この体を、自分でも醜い身体をさらさなければならないから。


 特に人間との対峙は怖い。

 彼らは自分の醜い身を見ると石を投げつけてくる。

 そらがたまらなく嫌だった。

 中にはさらなる危害を加えようとする者も出てくる。

 それがただただ怖かった。


 だから森の中に身を隠した。

 

 誰にも見つからないように、誰にも知られないよに。


 ただひっそりと暮らしていた。




 その日はいつもと違がった。


 森の中、気が付いたら何者かが自分の後ろに立っていた。

 音もなく忍び寄り、手に武器を携えて。


 あまりの恐怖に息が出来なかった。

 全身から汗を流し、目からは滝のように涙を流し。

 

 何故自分はこんなにも醜いのか。

 何故石を投げつけられなければならないのか。


 怖くて、恐ろしくて、ただただ悲しかった。



 大粒の涙を流しながら目をつぶっているが、一向に害される気配がない。

 恐怖で身体が動かないが、恐る恐る目を開けると、それは困惑した表情をしていた。




 その者は自分を害する気などさらさらなかった。

 森の中で出会った自分にただ声をかけてきただけであったのだ。

 

 その者は森の中一人であてのない旅をしているのだ言った。

 見たところまだ幼さが残る容姿をしている。

 とても成人しているようには見えない。

 実際その者はすごく幼かった。

 何故そんな幼い子が森の中一人で旅をしているのか。


 話を聞くと、その者はどうやら自身の集落から飛び出してきたらしい。

 何故集落を飛び出してきたのか。

 それはその者の体に原因があった。



 その者の肢が、半ばから欠損していたのだ。


 この足の為に集落から飛び出してきたという。

 その者の種族は森の番人といわれるほどの狩人で、種全体が屈強な戦士であった。そして成人の儀を迎える頃には名実ともに一流の狩人として生きていくという。


 しかし、その者は、成人の儀を迎える前に肢を欠損するという過ちを犯した。


 未熟な愚か者


 そう呼ばれる者。

 それは成人を迎える前に戦士としての資格を失う落第者の総称である。

 戦士として戦い負傷するのであれば、それは名誉ある負傷だ。

 しかし、戦士になる前に、負う傷はただの出来損ないに過ぎない。


 その物は出来損ないの成れの果てであった。


 その者の両親は優秀な狩人であり、そんな両親から生まれたその者は、将来を期待されていたという。しかし、不幸なことに落第者となってしまった。


 両親は気にしないと言ってくれた。

 事実、ふたりは怪我をしたその者に、とても優しくしてくれたという。




 だからこそその者は集落を飛び出した。



 偉大な両親の子が落第者など、恥でしか無い。

 両親は気にしないと言ったが、自分自身が己を許せなかった。

 それに集落の者の目もある。

 両親は集落の中でも力があり発言力があった。

 そんな両親の子が落第者など、迷惑にしかならないのだ。

 このまま集落に留まっていれば、いつか遺恨が残る。

 そうなる前に飛び出したのだ。


 それからというもの、その者は森の中を一人で旅をしているという。


 話を聞いて涙が止まらなかった。

 その者は両親の事を思い、幼いながらも集落を飛び出し一人で生きていたのだ。それに比べ、自分はただただ怖いからだと逃げるように森に隠れていた。

 このあまりの差に自分はなんて情けないのだと涙が止まらなかった。

 外見だけではない。中身も醜いのだと、ただただ悲しかった。



 そんな醜い自分の手を、幼き子は優しく手に取ってくれた。

 森の中一人で生きていく厳しさ、辛さ、寂しさ。

 それを幼き子は知っていた。

 集落を出て初めて気付かされた。

 一人で生きていくというのは生半可なものではない。


 それを目の前の涙をながしている小さな者は、一人逞しく生きてきたのだ。

 とてもすごい事だ。

 そんな偉大な者が醜いはずがない。

 幼き子は力強く、そして優しい目で見つめ返してくれた。



 生まれて初めて受けた視線。

 憎悪でも、嫌悪でもなく。

 ただただ純粋な好意。

 

 

 そう思ったら、涙が止まらなかった。

 いつものように、いや、今まで以上に涙が止まらなかった。



 その日、悲しみの涙ではなく___






 はじめて嬉し涙を流した。







ご覧いただきありがとうございます。

新章の間に幕間を挟みましたが、今回で幕間は終了となります。

次回からは新章の幕開けとなります。

どうぞお付き合い下さいませ。


感想、評価、ブックマークお待ちしております。


次回投稿は明日を予定しています。


それではよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ