幕間 01 森の番人
森の番人
そう呼ばれる者たちはその全てが狩人の名手であり、凄腕のハンターとして生を受ける。幼少のころより、その才はいかんなく発揮され、成人する頃には他種族から畏れ敬われる存在へと成長していく。
森の中を素早く動く影。まだ幼さが残るその者も例に漏れず、生粋のハンターとしての素質を遺憾なく発揮していた。
幼き子の両親は共に同種族の中でも抜きん出た実力を持ち、数十以上の数を相手にしても圧倒するほどの手練、歴戦の戦士であった。
類まれな才能を持ちながらそれに溺れる事無く技を磨き、己を高めることを忘れずに精進する。そんな二人を両親にもつ幼き子は、その両親の才を受け継ぎ、まだ小さいながらも同年代の子らを圧倒するほどの力を持っていた。
そして、それにおごることなく偉大な両親を目標に日々狩りの練習を怠ることはなかった。
その日もいつもと同じように森の中を移動し狩りを行っていた。
まだ幼いゆえ遠出することは許されておらず、集落の近場での狩りではあるが、それでも気を抜くことはなく周囲を警戒しつつ獲物を求め森を徘徊する。
遠くで何かが動く気配を感じる。
その気配を確かめるために、息を殺しながら自然に溶け込み、そして音もなく忍び寄る。そこでは同種族が森の奥へと足を運ぼうとしていた。
その者達はまだ成人していない子供たちであった。ただ、子供とは言っても年齢的に言えば、その幼き子よりもだいぶ年上であり、あと数年もすれば成人の義を迎える年の者たちであった。しかし、それでもまだ成人はしていないので、森の奥深くに行くことは禁じられていた。集落から遠く離れた森に行くことができるのは成人した者だけである。
幼き子は森の奥深くに行こうとしている子供らに声をかけ、奥にいかないよう警告した。最初は警告を無視して奥へと行こうとしていたが、こちらが実力行使もじさないとわかると、おとなしく引き返していった。幼き子の実力はその子供らよりも遥かに実力が上であり、実際あの場で戦ったとしても難なく全員を無力化できたであろう。それがわかっていたので、子供らは幼き子の言うことに従ったのだ。
しばらくして様子がおかしい事に気が付く。
あの時森で警告した子供らが集落にいない。あの時警告した時、たしかに引き返していた。なのに集落に戻ってきていない。そこで気が付く。あの子供らは一旦引き返した後、また森の奥に向かっていったのだ。
あの時無理やりにでも拘束し、連れて帰ればよかった。
過ぎたことを考えていても仕方がない。子供らを連れ返すために森の奥へと足を運ぶ。自分が招いたミスだ。自分で対処しなければならない。
幸いなことに後を追うのは大した苦労ではない。子供らは気配を消す技術がまだまだ未熟で容易に追跡することができた。それに幼き子の卓越した技術もそれを後押しした。
どうやら子供らはかなり森の奥深くまで入り込んで行ったようである。
何故このような森の奥深くまで。
疑問はあるが、今は追跡することが先決だ。
かなりの距離、森の奥深くに入った所で異変に気が付く。
何かがおかしい。
妙な胸騒ぎ。
その正体は後にすぐに分かった。
___子供らの遺体で。
いくら種族として類まれな身体能力を有しているとしても、森には幾らでも驚異となる存在はいる。まして成人すらしていない子供であればなおのことである。だからこそ成人の儀を迎える前の子供は森の奥深くに入ってはならないのだ。
この子供らはその禁を犯した。
そして森に殺された。
この事を集落の者に知らせなければ。
そう思いこの場を後にしようとして、ふと気が付く。
子供の遺体の数が合わない。
___まだ生き残りがいる?
本来であれば一目散に集落に足を運び大人たちに知らせるべきだ。しかし、それには時間がかかる。もし子供が生きているのであれば、その時間は致命的だ。
どうする。
引き返すべきか。
しかし、その葛藤も一瞬。
幼き子は直に追跡を再会する。
すぐに追いつくことができた。
そこでは今まさに命を刈り取られようとしている瀕死の子供が地に横たわっていた。そこに襲いかかろうとする驚異___
幼き子は刹那に間に割って入る。
手にした狩り用の槍を割り込ませその攻撃を防ぐ。
槍でその勢いを受け止めようとし_____
槍が砕け散る。
手にした槍が砕けるも、幼き子は冷静に対処する。
体を横にそらし攻撃を躱し、砕けた槍の片方を相手の顔めがけ投げつける。意表を突かれたソレはとっさに避けようとするが間に合わず、槍は深々と瞳に突き刺さる。
けたたましい叫び声を上げるソレは、しかし、その痛みよりも憎悪の目で幼き子を睨みつける。幼き子は小さく舌打ちをする。
本来であればあれで決着をつけなければならなかった。しかし、砕けた槍では充分に威力を発揮することができず、脳まで突き刺すことが出来なかったのだ。
このミスは致命的だ。
幼き子は千載一遇のチャンスを掴みそこねたのだ。
幼き子自身、それを実感している。だからこその舌打ちだ。
しかし、何も悪いことばかりではない。
いまソレは憎悪の目で幼き子を睨みつけている。
地に横たわっている子供に意識を向けていない。
ならば幼き子がこの場を離れれば子供が襲われることはない。
幼き子は直にこの場から離れるべき行動する。
小さい体を匠に使い、地を這い、木を渡り、その身軽さで相手を翻弄しようとする。しかし、ソレは離されること幼き子に食らいついていく。その大きな巨体に似合わずその身のこなしは驚愕にあたいする。
なんとか身を躱していく幼き子。小さいながらもその卓越した技術と、驚異的な精神力、そして胆力。もし幼き子でなけでば、ものの数分もしないで身をバラバラにされていたであろう。
しかし、それも限界に近づいてきた。
いくら卓越した技術があろうと、いかに才に恵まれていようと、まだまだ子供。その幼い体ではいつまでも動き続けることは不可能であった。
徐々に体が言うことを効かなくなり、キレが鈍り、集中力が続かなくなっていく。それでも、それらを驚異的な精神力でねじ伏せる。
しかし、それはあっという間の出来事であった。
木から木へと飛び移る時、ほんの一瞬気を許してしまった。
ほんの少しのミス。
しかししてはいけないミス。
枝へと飛び移った時、その枝が半ばから折れてしまった。
枝の太さを見誤った。
そう思った時には、すでに幼き子は地面へと落下していた。
そのまま背中から地面に叩きつけられるということはない。幼き子の力量であれば空中で姿勢を正し、難なく着地することが出来る。
しかし今は状況が悪い。
ソレはその瞬間を見逃さなかった。
その驚異的な力を前に、幼き子の足は半ばから引き千切られてしまった。
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