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今どきハンドガンだけで異世界とか地味すぎる!!  作者: ヤナギ・ハラ
第ニ章 新たな旅立ち 新しい仲間
24/79

24 妖精エインセル <挿絵入>

 森の中で出会った妖精、エインセルとの自己紹介を互いに済ませる。

 挨拶を済ませた彼女は元の席に戻り、そしてスープを美味しそうに食べ始める。


 改めて彼女の方を見るが、これまで妖精という存在を実際に目にしたとがなかったので、なんとも不思議な感じである。妖精は普通の人種と精霊の中間に位置する存在と言われている。その違いについては詳しくは知らないのだが、今こうして食事をしている姿を見ていると、どこにでも居る普通の女の子のようにしか見えない。


 いや、非現実的に思える中性的な顔立ちを除けばであるが…。



 彼女を見ていて、あることを思い出す。


 ドルイドゴブリンに教わったことについてだ。

 彼からは様々な事を学んだが、その一つが言語である。

 この世界には種族が独自に持つ言語の他に、作られた言語というものが存在する。

 その言語は独自の言語では会話が出来ない種族に対して、使われるという。

 所謂共通語である。

 

 一般的な妖精との会話では、この共通語が使われる事がある。

 そのことを思い出していた。


 ということは…


 まだ完全にマスターしたわけではない。

 しかし簡単な会話程度であれば、つたないながらも喋る事が出来るまでには習得してる。




『言葉、わかる?』



 ドルイドゴブリンに教わった共通語を使いエインセルに話しかける。

 文法などはまだ不完全だが、動詞や名詞などはある程度は覚えたはず。

 自信があるわけではないが、伝わるだろうか。


**(おや)…? *****(その言葉は)…。」


 こちらの言葉に対しエインセルは反応を示す。

 言葉が伝わったのだろうか。


**(うむ)… ***(ちょっと)********(待ってくれないかい)


 エインセルは考え込むような素振りを見せ、時折言葉をぽつぽつとこぼす。


**(確か)   ***(あれは)    **(ふむ)…」


**(うん) 『これで合っているかな?』 」


 彼女から発せられた言葉はこれまでのものとは違い理解することが出来た。

 ドルイドゴブリンから教わった共通語だ。


『伝わる。』


 エインセルの言葉に共通語で返すと、彼女はその美しい顔をほころばせる。


『良かった。うん、通じたみたいだね。この言葉を使うのも、ずいぶん久しぶりだから、忘れてないかと心配したよ。』


 鈴の音のような声でクスクスと笑うエインセルは、安心したという顔で語りかけてくる。


『さっきも言ったんだけどさ、キミ面白いね。』


『面白い?』


『うん。とっても面白い。』


 エインセルはてとも良い笑顔でこちらを見つめてくる。楽しげに、しかしどこか含みをもたせるような笑みだ。


『それに、キミもそうだけど、そっちの子もずいぶん楽しそうな子じゃないか。それに精霊もいるしさ。本当キミたち面白いよ。』


『エインセル、精霊 見える か?』


『精霊、ミミっていうんだってね。 うん、見えるよ。可愛らしい女の子だね。』


 ミミの方へと視線を向け手をふる。

 その仕草から、本当に視えているようだ。


『でも、キミみたいに精霊とお喋り出来るほどでもないけどね。』


『言葉 話す 判らない?』


『なんとなくこう喋ってるのかな、ぐらいの感覚だよ。』


 つなぎつなぎの単語での言葉であるが、エインセルは嫌な顔ひとつせずこちらとの会話に付き合ってくれている。


『キミたちを見つた時、最初キミのことを、ボクと同じ様な存在だと思っていたんだよ。精霊なんて存在と一緒にいたからね。それに、ピピィ、そっちの子もそんな感じだったしさ。それで遠巻きにキミたちのことを観察していたらさ、なにやら美味しそうな匂いをさせているじゃないか。これには参ったよ。』


 照れるような仕草ではにかみ、手にしている器をみせる。そんな会話の合間にもスープを口にする。匂いだけでなく味も気に入ってくれたようだ。


『それでさ、いてもたってもいられなくなって、キミたちに話しかけてみたのさ。そしたらびっくり。言葉が判らないんだもの。話が通じると思っていたから、これには本当に驚いたよ。』


 大げさなリアクションで驚いてみせる。そんなコミカルな動きさえ彼女にかかれば優雅な動きに視えてしまう。妖精とは動作ひとつとっても様になるものだ。いや、この場合妖精というよりエインセル個人の要素が大きいのかもしれない。


 そして話していて感じたのだが、彼女はとても好奇心旺盛なように思える。こんな森の中、知らない人物に躊躇いなく近寄ってくるあたり、自分が興味を持ったものにはグイグイくるタイプのようだ。


 追加のスープを彼女の器によそってあげ、自分たちの器にも新たにスープを注ぎピピィに食べさせてあげる。ピピィは嬉しそうにスープを口にする。それを見ながらエインセルも笑顔で食事を続ける。

 


 





 食事を終え、まったりとした雰囲気が場を包む。

 焚き火の光が暗い森の中を照らし、静かながらも燃える薪が心地よい音を奏でる。


『ところで、キミたちはいったい何処から来たのかな。この辺りで暮らしているわけではないよね。』


 エインセルが静かな声でこちらに話しかけてくる。

 焚き火に照らされた顔はどこか幻想的な雰囲気である。


 彼女の問いに拙い共通語で応える。


『ああ、 違う』


 足元に置いてある薪を焚き火の中に放り入れる。

 新たに入れた薪は パキ パキ と音を立てながら火に包まれていく。


「ピピィ達はね、この森の向こうから来たんだよ。」


 ピピィはエインセルに何処から来たかを説明する。

 彼女は自分の前で、背中をこちらに預けるような形で座っている。ここが彼女のお気に入りの場所だ。彼女の暖かな体温が背中越しに伝わってくる。目の前にある彼女の頭をなでてあげると、嬉しそうに頭を擦りつけてくる。


『森の向こう?』


「うん」


 ピピィはここまで来た道の反対側、湖の方向を指差しす。


『そっちは…湖の方向だね。ピピィは湖にいたのかい?』


「そうだよ!みずうみはね、大っきいんだよ! エインセル知ってる?」


 エインセルはくすくすと微笑む。


『そうだね。湖は大っきいね。』


 そこで、はたと気がつくような素振りを見せる。


『でも…。湖の近くにキミたちのような人はいなかったと記憶しているけど…。 』


 エインセルは小首をかしげるような仕草をする。

 腕を組み、手に顎を乗せて考えるポーズを取ってみせる。

 小さな女の子がとるポーズはどこか愛嬌があり微笑ましい。


『湖、いた。 でもその前、別の場所いた。』


 ピピィの説明を補足するような形で話をつなぐ。


 これまでの経緯をエインセルに話す。

 オークの村で起こった出来事。

 ゴブリンの集落について。

 森の中を移動し、湖を発見し、新たな拠点をそこに移したこと。


 これらの事を、慣れない共通語を使い、拙いながらも話していく。

 上手くしゃべれない時はピピィに訳をお願いし、エインセルに伝えてもらった。

 

 人間族についても、幾つかのことを、推測も交えて話していく。ただ、自分が人間を殲滅したことは言葉を濁して伝えた。エインセルはこの見た目に反して子供ではないというが、しかし、それでもやはり幼い容姿をした彼女に、これらの事を詳細に話すのはあまり良い気がしなかったからだ。



 話を聞いていたエインセルは、悲しそうな表情で焚き火を見つめていた。


『そんな事が起こっていたんだね。 そうか…。』


 目を伏せ、手を胸の上に乗せ、呟くような声で言葉を口にする。


****(オーク達に)****(安らかな)***(眠りを)。  ****(その魂に)***(導きを)。」


 エインセルは妖精の言葉を口にする。共通語ではないので何を言っているかはわからないが、彼女の様子から彼らオークに祈りを捧げているのだろう。その祈りの姿は慈しみさえ感じられる。




 焚き火の乾いた音が森に鳴り響く。


 しばしの沈黙の後、祈りを終えたのか、エインセルは目を開けこちらに顔を向ける。


『森の向こうで、そんなことが起こっていたなんて知らなかったよ。 教えてくれてありがとう。』


「ピィ、エインセル悲しい表情してた…。大丈夫?」


『うん、大丈夫だよ。 ピピィは優しい子だね、 ありがとう。』


 エインセルはピピィに優しく微笑んでみせる。


『しかし、その人間族達はどうしてオークの村を襲ったんだろうね。』


『わからない。 オーク 悪い みえなかった。』


『うん。 オーク族は大人しい人たちが多いからね。進んで人間族と争いを起こすとは思えないかな。』


『エインセル』


『うん、なんだい?』


『この森 人間 いない か。』


『この森に人間族がかい?』


『ああ。』


 エインセルはしばらく考えた後口を開く。


『この森の近くで、オークの村を襲ったような人間族は見かけないかな。もちろん、まったく人間族がいないという訳ではないけどね。まれに森の中に人間族が姿を表すことがあるけど、人数はもっと少ないし、狩りや探索で入ってくる程度だよ。今回のオークの村みたいな侵略は見られないね。』


『森の中に、人間の村 ないか。』


『ボクもこの森全てを把握している訳ではないから、断言は出来ないけど、少なくともこの近くには無いと思うよ。』


『ふむ…』


 妖精の彼女が言うのだから、この森の付近には人間の村や町は無いのだろう。ならば移動してきたゴブリン達は無事やっていけるだろう。

 無論全ての人間が彼らを害するという訳ではないのはドルイドゴブリンから聞かされていたので、無駄な心配はしなくて良いのかもしれないが、やはりオークの村での出来事を見てしまうといら要らぬ警戒をしてしまうのも仕方がない。


 「… ピィ  スゥ  スゥ」


 暫くの間エインセルと話をしていたのだが、ピピィにはどうやら難しかったようで、彼女はウトウトと船をこぎ始めていた。

 頭をなでてあげると、こちらの胸に頭をあずけてきて、そのまま気持ちよさそうに目を閉じる。


『フフッ、彼女には少し退屈だったみたいだね。』


「この子があれこれ無理に考え込む必要はないからな。」


 ストックから大きめの布を地面に取り出し、その上にゆっくりと彼女を寝かせる。

 追加で布を出し彼女に上に掛ける。

 焚き火をしているとはいえ夜は冷え込むので暖かくするに越したことはない。


『へぇ。面白い能力だね。』


 ストックから布を取り出した所をエインセルは興味深そうに見ていた。

 少し不用心すぎたか…。

 あまりこちらの能力を見せるのは良くない。

 いつ何が起きるかわからないのだから、警戒は怠らないほうがいい。


 しかし、彼女ならば問題ないのではと思っている自分もいる。

 彼女はどこか、こちらの警戒心を解く不思議な魅力がある。

 妖精という種がそうなのか、それとも彼女個人としての魅力なのか。


 不思議と、どこか気を許している自分がいた。


『可愛らしい子だね。』


 エインセルは優しい眼差しをピピィに向けている。


『あぁ。 ピピィ とてもやさしい子』


『うん、そうだね。それにとても澄んだ心をしている。とても綺麗で優しい心。』


 慈しみの表情でピピィを見つめる。


『そしてキミもね。』


 エインセルはポツリと呟く。

 彼女はにこりと微笑んでみせた。





『そういえば』


 エインセルはふと思い出したかのように声を出す。


『キミたちは今、旅の途中なんだよね?』


 彼女にはこれまでの経緯を話している。

 自分たちが旅の途中だということを思い出しなのだろう。


『ああ』


『もしよかったら、ボクの家に寄っていかないかい。』


『エインセルの 家?』


『うん、この森をもう少し行った場所なんだけどね。是非キミたちを招待するよ。』


 特に何かあるって訳でもないけどね。と微笑みながら付け加えた。


「エインセルの家か…。」


 妖精の家というのは、いったいどんな住まいなのだろう。

 とても興味がある。

 好奇心が刺激されるが、しかし即答することは出来ない。


『招待ありがとう。 でも 一人 決める 出来ない。』


 傍で寝ているピピィの頭を優しくなでる。

 彼女は気持ちよさそうに寝息を立てている。


「私は構わないわよ。」


 頭の上で寝転がっているミミがなんでもないという風に応える。


「明日ピピィが起きたらエインセルの家に招待されたことを伝えよう。」


 それでピピィが了承したら、その時は改めてエインセルの家にお邪魔しよう。まぁ、好奇心旺盛な彼女のことだ。きっとよろこんで行くと言うだろう。


『明日 みんな 相談する それで いいか?』


『うん、それでいいよ。 別に急ぐ必要は無いからね。』


 彼女は可愛らしい笑顔で応える。




 明日、エインセルの家の話しを聞いたら、ピピィはどんな顔をするかな。


 今から楽しみだ。


ここまでご視聴ありがとうございます。

さて、今回登場のエインセルは、とっても好奇心旺盛な妖精みたいです。

これから彼女はどう絡んでくるのでしょうか。

いまから楽しみです。


さて、いきなりなのですが、今回主人公に続く二人目の挿絵になります。

我らが癒やしピピィさんです。


挿絵(By みてみん)

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