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寝起きというのは誰でも豹変したりする。

・ ・ ・ 。

右手を動かしたい欲望とそれを抑える理性。

動かせばそれはそれはマシュマロのよう……

だがそれは(おとこ)としてしてはならないこと…。

どっちかっていうとこれは事故なんだ。

もっと落ち着けぇぇ〜〜。

オレの心拍数はもぅ絶頂に達していた。

落ち着けってほうが無理だろう?

いやいやこんな状況でも落ち着くのが漢ってもん……

「んん〜…」

宇佐凪は少し手を動かす。

そしてオレの手が胸の感覚を数回あびた。

……こ…これは不可抗力だ…!

お…落ち着け…。

ま…まず深呼吸をしよう…。

とオレは首を少し後ろにそらせて鼻から空気をいれる。

そして首を戻しながら口から息をはいた。

だがそれでも心拍数が正常値に戻ることはないようだ。

「ぉ…ぉ〜ぃ」

つぶやくように宇佐凪に話しかけてみるが寝ている天然様に聞こえるワケがなく…。

考えろ前原純……まずこの弾圧からのがれる方法を考えよう。

1、強引に手を抜く。

2、起こす。

3、しょ…しょうがないから我慢。

まず1の手だ。

これは100%起きる。

女性というのはそういうものだ。

詳しくは言わないが……。

では2つめの手。

これはおそらく勘違いされることが絶対であろう。

叫ばれて、話されて、え〜んがちょ…絶縁になってしまう…。

周りから冷たき目で……。

…………。

うぉぉぉ嫌だぁぁぁ!!

ということで我慢という手しかなくなったワケだが…。

これは正直本能との戦いにならないか?

理性は強いつもりだ…だがこんな無防備状態で理性がどこまで耐えられるのか……。

……無理だな…漢として…。

それにもし今起きられることも正直勘違いされるだろう。

ここは正直に起こして誤解を解けばなんとかなるか…。

「ふ〜」

オレはついため息をついてしまった。

ゴクリ……

オレは宇佐凪を見る。

失敗しない…オレなら…失敗しない…オレなら…失敗しない…オレなら………。

覚悟を決めて宇佐凪をゆさぶった。

「宇佐凪…起きてくれないか?」

さっきも言ったが女性は自己防衛能力が強く、触れられただけで目を覚ますことが多い。

ゆさぶる…これが唯一効果的だとオレはなんとなく判断したのだ!

「ん……ん〜〜〜」

宇佐凪は少しハミングをするとゆっくりとまぶたを開ける。

最初宇佐凪の視線はオレにきた。

ふとオレは苦笑いして

「ちょっと手を…ゆるめてはいただけないでしょうか…?」

とあえて丁寧を装って話す。

宇佐凪はちらっと自分の腕を見た。

「……………」

何度かまばたき…。

そして……。

「きゃあああああ!」

とくるのだろうと確信していたオレなのだが……。

「ふ〜ん」

…あれ?

オレの予想と正反対じゃないか…。

宇佐凪はいやらしげにニヤリと笑うとそのままバッとより強くオレの腕をだきしめる。

「ッ!?」

思わず声が出そうになってしまった。

ギュッ…。

……何だこの展開…オレはこんなの予想してなかったぞ!?

「こういうの…好きなんでしょ?」

宇佐凪がいやらしげな微笑みをしながらオレにたずねる。

「そ…そういうワケじゃ…!なななないんだよ…!」

舌がうまくまわらないことに宇佐凪は微笑した。

「でもこういうの…好きなんでしょ?」

「…………それはまぁ……漢だし…本能ていうか…なんというか…」

「そっか」

宇佐凪はそう言うと突然オレの手を離した。

恥ずかしくなったというかもう少しで理性がやばかったこともあってバッと手を抜く。

だが天然宇佐凪の寝起きモードはこれだけでは終わらなかった。

宇佐凪は突然よつんばいになってオレに近づいてきたのだ!

体育倉庫という狭く、世界から隔離された場所で逃げ道をなくしたオレは立ち止まった。

オレと宇佐凪の顔は、もう目と鼻の先である。

「そういえば今日…学校に誰も来ないんだよね…」

と宇佐凪はオレの胸板に円を描きながら言う。

いったいコイツは誰だ!?

宇佐凪じゃないよな…。

いや天然っていうのは寝起きがスゴイのか…?

でもこれはスゴイというより豹変じゃないか!

とオレは考えるがそんな考えるほど宇佐凪様は与えてくれないようだ。

「ねぇ…」

宇佐凪はオレに唇を近づけた。

オレは限りなく動揺し、身動きがとれないままただじっとしている。

まさかこんなところで大人の階段をのぼることになるとは…。

ゴールデンウィーク…友達と愉快に遊びたかったんだけど…。

…今だけ…流れに身を任せてみるのもいいか…。

とオレは最終決定をし、目を閉じた。

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