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触ったキノコに祟りあり、だったりする【中半】

「ねぇ…前原くぅん…?」

「は…はい!?」

オレはまばたきをパチパチしながら言った。

宇佐凪は先ほどからいやらしい笑みをうかべている。

「キ・ミ・を・食・べ・て・い・い・?」

思わず息をのんだ。

「た…食べるとは…何のことだい?」

「もぅ…恥ずかしがることはないんだよぉ…?食べさせてほしいな…前原クン……」

オレの顔を見ながらおもしろそうに申す宇佐凪。

しかも動揺を隠せないオレを見てさらに楽しむ。

………………。

どうしてこんなことになったのか。

その理由はさかのぼること10分前である。

――――10分前

「こ…これカルピスじゃなかったの!?」

宇佐凪が驚いてこちらを見た。

もちろん罪は感じていたので正座。

オレは恐る恐るコクリとうなづく。


ガッ!


宇佐凪がオレの肩をつかんだ。

オレの背中が壁に密着する。

それと同時に正座の体勢がくずれた。

「どうするのどうするの!?どうするのどうするのぉ〜!?」

とオレの肩を勢いよく前後に揺らしながらたずねる。

首がガクンガクン動いて頭回転まわらん…。

オレは片手を上げ白旗宣言をした。

「わ…あかったから…手とめてくれぇ!」

「え!?あ!ごめん!」

とっさに肩から手がはなれる。

だがオレはしばらく何も話さなかった。

いや話さなかった、というより話せなかった。

もう相手が分かっている事実を改めて言うというのになんだか…。

そう、例えるならば浮気を知っている妻が夫に問いかけるような感じ。

夫はそれが既にバレていても「いや?」と答えるのが普通であろう。

そう、漢は内緒事を自分の口から言いにくい生物なのだ。

う〜む、だがさすがに何も話さないのも悪いかと思いオレは口をひらく。

「ええっと…改めて言うと…それはカルピスじゃぁない」

……………。

「じゃあ…こ…これは…何…?」

宇佐凪が恐る恐るオレにたずねた。

それは確実に答のない質問だとオレは思う。

知ってたらキノコに触れさせることさえしない、と言いたいところだった。

だがそれをノドまでつまらせた後、即座に曖昧な返事をする。

「さ…さぁ、何なんだろうね」

………この場に流れる沈黙。

お互い何をどう対処すればいいか分からず黙り込んでいた。

「じゃ…じゃあ…どうするの!?」

と再び宇佐凪はオレの肩をつかむ。

かすかに宇佐凪の頬は赤みをおびていた。

一瞬気になったので聞いてみる。

「お前、ちょっと顔が赤いんだけど…何で?」

「う…ウソだね!だって今の状況じゃ話を逸らそうとしてるしか思わないもん!」

…確かに自分でもちょっと強引に逸らしたようにみえた。

頬が赤いなんてさほど気になることでもない…か。

「ご、ごめん。う〜ん…本当にどうしようか…」

オレは罪を感じて宇佐凪から目を逸らす。

宇佐凪は何を言ってこなかった。

…?

オレに疑問符がうかぶ。


パッ


と肩をうかんでいた手は離され宇佐凪は黙ったまま自分が寝ていたマットへ戻った。

オレは壁に密着させていた背中をはなし、再び正座。

背を向けている宇佐凪にゆっくりと頭を下げていく。

「ごめんっ…なさい…」

完璧に、でこを地面につけているというワケではないけれどある程度下げている頭。

宇佐凪がこちらを見ているかは分からない。

ただ悪気がないことを分かってほしいと一生懸命の土下座…のつもり。

宇佐凪はまだ何も口にださない。

まだ怒ってるのかな…、そりゃあ女性って結構繊細(せんさい)なとこあるけど…。

…………………。

音のない時間が来ようとしたとき。

ようやく宇佐凪が口をひらいてくれた。

「もういいよ。そんなに気にしてないし。

でもその代わり1つだけ、私のお願い聞いてもらっても…いい?」

何だかいつもの違う、怒ってないけど、何かいやらしげな言い方。

でもまぁ…安心したオレは顔を上げる。

「!」

思わず絶句。

先ほどとはまったく態度が変わった。

さっきはちょっと怒っていたけど今は全然違う。

笑っている、怒っているとかそういう感情的なものじゃない。

何かを求めている表情。

あらい呼吸。赤い頬。そして、すこしとろけたような瞳。

怪しげな笑み。

…確実に何かを求めている!

何かは、言わないが…。

その宇佐凪がオレに話しかけてきた。

「ねぇ…前原くぅん…?」

しかもよつんばいでオレに近づいてくる。

思わず後退。

だがしかし、その後退はあまり意味をなさないものだった。

………後ろ壁だった…。

背中が壁に密着する。

「は…はい!?」

「キ・ミ・を・食・べ・て・い・い・?」

―――――――

そして…今にいたるワケである。

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