触らぬキノコに祟りなし、だったりする【前半】
……………………。
「〜〜〜〜」
……………………。
「〜〜〜〜」
……………………。
「〜〜〜〜」
…………………あぁ…眠れないよ…。
あぁ眠れない、眠れるワケがないだろぅ?
だって…あの…その…あれだよ…あれ…。
………………。
「あああああ!」
オレは強引に頭をかきむしりながら悩む。
もう!
あと、今日をいれて2日。
とりあえず1日は制覇したんだ…。
残るは2/3!!
でも逆に考えてしまうとあと2日もあるんだよね。
………はぁ。
いやいや…ポジティブになれ。
良いほうに考えなければ確実につらい…!
そう…ポジティブマンでいるじゃないか!ナポレオンがさ!
「我輩の辞書に不可能はない」
……老いから逃れることは不可能だったようだ〜。
………………………。
さっきからオレは何から逃れたく思っているんだ…?
とりあえずこの体育倉庫から出たい!
いやぁ出なくてもいい、出なくてもいいからとりあえず何も起こらず終わってくれ!
前も言った気がするが別に期待しているワケじゃない。
マンガやアニメ…そう、二次元の体育倉庫での出来事を期待しているワケではない…!
だが1日目からあんな状況で2、3日目が無事でいられると思う?
オレはそれを願うよ?あぁ願う。
……………………。
いや…願っているだけじゃダメだ!
用は宇佐凪に押し倒されな…………。
と、とりあえず宇佐凪の行動に十分注意しなければならんのじゃ!
オレたちはまだ高校生ダ!
(不純異性行為はダメ…不純異性行為はダメ…不純異性行為は……)
「あ…あのさ前原クン」
不意に宇佐凪がオレに話しかけてきた。
いつのまに起きたのか…気づかなかった…。
宇佐凪は何かジィーっと壁の角を見ている。
「?」
オレは疑問に思いつつ宇佐凪へ近づいた。
宇佐凪はオレが近づいたことを確認すると角に生えたものを指差して言う。
「…これ…食べられると思う?」
「…!?」
オレは思いがけない質問に思わず言葉を失ってしまった。
宇佐凪は角に生えたものをジィーっと見つめている。
それほど腹が減っているワケでもなかろうになんでそれを聞くかな…。
大体体育倉庫に生えているものなんて食えないだろ…?普通…。
宇佐凪に呆れつつオレはこたえた。
「う〜ん無理だと思う…そのキノコは…」
宇佐凪はオレを見ながら
「えーっ」
と子供のように言う。
「いやだって考えてみろよ〜、第一ここ体育倉庫だよ?
モン○ンじゃあるまいしそこらへんのキノコなんて食べれるワケないだろ?」
「サバイバ○キッズは食べれるじゃん」
と宇佐凪は屁理屈をこねる。
大体サバイバ○キッズは無人島だろうて…
「ここは無人島じゃありません!体育倉庫です!」
ここまで言われても宇佐凪はうぅ〜、と言って駄々を考えているようだ。
やれやれ…そう思いつつ再びキノコを見る。
確かに食べれそうなイメージがないワケでもない。
「何かマリ○に出てきそうじゃない?」
と宇佐凪。
「いや、まさか〜」
……正直なところ……。
一瞬頭に浮かんだよ…マリ○に出てきそうって…。
食べたら大きくなるのかな〜って…。
だがさすがに宇佐凪と同じ考えでいたくなかったため否定。
「「う〜む」」
………2人とも腕を組んで考える。
…………。
「前原クン少しかじってみてよ」と無責任な一言。
「んな…見つけたのお前だから…」
「いやいや…前原クンは毒見役って昔から評判だよぉ〜?」
「誰がそんなウワサ流した…!?そいつブッ殺す…」
さりげなく指を鳴らす。
「ネネ、それはいいからとりあえずこれ抜かない?」
と宇佐凪が話をコロンと変えてキノコをつかんだ。
抜けないとは思うんだけどね〜…。
……………………。
…………数秒眺めると宇佐凪はうるうるした目でオレを見つめた。
……………………。
「……はぁ……」
結局オレは宇佐凪に協力してしまったのであった。