思い出というのは今に影響したりする…
ザァーーーー…
また雨か…。
しかも昨日より降りがひどいような…
昨日はザァーーーー!
今日はザァーーーー!!
…………。
どっちにしろ、あまり良い目覚めの朝とは言えないか…。
オレは天井を見ながらくだらないことを考えていた。
体育倉庫の屋根は雨の攻撃によりさっきからダダダダ言っている。
昨晩は晴れていたからよく眠れた(眠るまでに苦労した)けど。
まったく…いつから降り始めたのか。
今日はこの屋根に雨がぶつかる音が目覚ましでした。
だがあまりにも早い目覚まし…。
…窓を見る。
雲でよく分からないが完全に朝…というワケでもないようだ。
んじゃあもう一眠り……と、いきたいのは当然……。
だがもうオレは周りの音がうるさくて眠ることができん!
しょうがなく起き上がり、寝起きの頭をかく。
別に死ぬほど眠たいワケでもないからいいか。
………。
ちなみに宇佐凪はというと…。
「〜〜〜〜」
ぐっすりお眠りになっていらっしゃいます。
この音のなかよく眠れるなぁ…。
「はぁ…」思わずため息。
…………ちょっとうたた寝。
……ハッ!
………………。
……ハッ!
…………何をやっているんだオレは…。
……よし!
眠気を紛らわすためオレは天然の睡眠時の……。
いやこれは考えてもしょうがないか…。
そんなことおかまいなしに眠り続けている宇佐凪。
その幸せそうな寝顔はこの音の中どうやったらつくれるんだろう…。
寝顔……。
ドキッ…
え…?
(ドキッ)?
何で寝顔で(ドキッ)なんだ?
驚いたワケじゃないぞ?
……………………。
「オッ、オレは…病気なのかっ……」
自分の両手を見ながらつぶやく。
………………。
くだらない戯言に…すぎないか…。
だがあの感じは昔体験したことがあるかもしれない。
なんだったか…あまりよく覚えてないんだけど…。
……そうだ……。
小学のときだったかな…。
1人の女の子を見て…。
その子はとても明るくて、元気で、んでちょっと天然な…。
毎回そうだった。
その子を見るたびに…。
そんなに話はしなかったけどあの子と話してると時間を忘れるような楽しい会話ができた。
そのことは今でも鮮明に記憶に残っている。
まぁ中学でその子は受験しちゃったからそれからもう話すこともしなくなったんだっけ…。
ええっと…名前は………。
名前…名前……。
……………………。
佐々木?森田?近藤?土方?
………………………。
何だっけ…?
………。
いやだってもう3年以上前のことになるワケだからなぁ。
…第一オレあの子に名前聞いたことなかったんだっけ…。
何か難しい字だったからオレには読めなかったんだ。
宇佐凪…別に難しい字でもない。
小6なら読もうと思えば読めなくもない。
じゃあ一致はしないか…。
どこの中学に行って、どこの高校に行ったかもわからないんだから…。
じゃあ何でオレは宇佐凪に、その…(ドキッ)ってなったんだろう…?
……もしかして、オレはその子と宇佐凪を投影してるっていうのか?
もしそうなら、オレは最悪な人間だ。
……………最悪。
確かに似ている部分もあるが異なっている部分もある。
だがオレが投影していない証拠なんて1つもないんだ。
……最悪だ…オレ。
今どこにいるか分からない子と宇佐凪を合わせるなんて…。
………別人なのに…。
……………………。
……いや待てよ…?
………………。
もし……。
……もし投影していないとすれば………。
オレは宇佐凪のことを……?
………………………………。