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人間以下。  作者: 緋燈奈
2/2

My Name is HADESU

ドゴォーンッ‼


大きな銃声と共に僕の視界は暗転した。

『痛ッ』気が付くと、最初に目が覚めた廃墟の部屋で目が覚めた。痛いと思ったがやはり僕の体は無傷だった。見渡すと横には卑弥呼が座ってこちらを見ていて、オリヴァは元の姿に戻って僕の腰に巻き付いて寝ている様だ。


名前のない少年『何があったんだ?』


卑弥呼『....』


信長『おぉ、起きたか小僧ッ』


驚いて飛び起きた。おそらくさっき僕を撃ったのもこいつだ。


名前の無い少年『信長ッ』


信長『さっそく呼び捨てとはいい度胸じゃのう。』


名前の無い少年『別にあんたは俺の上司でも何でもない。何か問題でもあるのか?』


信長『う~む、確かに無いな。では良かろう。そこで貴様、俺の部下になる気はないか?』


いったい何を言っているのか?なぜ僕なのか?信長が言っている意図がわからなかった。

あの天下の『織田信長』が僕を部下に?本当に本人である信憑性は定かではないが、この鋭い真っ直ぐな鷹の目の様な眼差し。常人でないのはわかった。何も出来ない、持たない自分にとって正直少し嬉しいと思った。そして、このまま訳も分からぬまま死ぬよりはマシに思えた。


名前のない少年『なる。』


信長『ほう。では、貴様は我が軍に何を(もたら)してくれる?何が出来る?示してみよ。』


いきなりそんな事を言われるなんて思ってもみなかった。僕に何が出来る?考えたが何も思い浮かばなかった。


名前のない少年『わからない。でも、あんたを世界統一まで導けばいいんだろう?』


信長『そうだな。あの謙信の馬鹿みたいに裏切らずにな。貴様に出来るのか?なぜにそう言い切れ

   る?』


名前のない少年『わからない。でも、やる。あんたも俺に出来ると思ったから誘ったんだろう?』


信長『ㇵッハッ、やはり良い度胸をしておるのぉ。何も出来ぬのにハッタリか。』


信長は笑いながらも目は鋭いままでこちらを睨み、火縄銃をこちらに向けてきた。少しでも期待した自分が悔しくて、惨めになった。そして、戦争になる前に自分がやっていた事、出来ることを出鱈目(デタラメ)に言って並べた。


名前のない少年『そんな事言ったってしょうがないじゃないかッ!僕にだって何が出来て、何の役に

        立つかなんてわからないよ。出来る事といえば、上手い料理を作れる事多少空手と

        いう格闘技をやっていた事、インターネットに少し詳しくて、人をまとめる仕事を

        していた。多少の人の心理位はわかるつもりだ。』


信長『ハッハッハッ、思っていたより結構出来るではないか。なぜ最初から言わない?』


名前の無い少年『今の時代に俺より出来る奴は5万といるだろうし、本当に役に立つレベルかはわか

        らないッからだ。』


信長『ハッハッ、自身がないか。しかし、安心しろ。今の世は皆死に絶えて人手不足じゃ。わしらを

   蘇生させた科学者とやらも、同氏もみんな死んだ。生き残った者など、ワシの様な旧世代の人

   間と、自分からは何もやろうとしない木偶の坊、℟uNa‐ルナとやらに骨抜きににされた家畜の

   みよ。家康なんかはいつもわしの首を狙っておる。』


名前のない少年『じゃあ、なぜ僕なんだ?僕も周りの木偶の坊と変わらないはずだ。』


信長『確かにのう。あまり変わらない。ただなんとなくじゃ。強いて言うなら’’勘’’、気まぐれ

   じゃな。あとは..聞きたいか?』


名前のない少年『聞きたい。』


信長『眼じゃな。』


名前のない少年『目?』


信長『おぬしの眼の奥は暗い。不満に満ちている。怒り、理不尽、憎悪、悲しみ、負の感情が隠れて

   いる。そして、卑弥呼に殺されようとした時にそれが外に出た。それに呼応してオリヴァが変

   態した。負の感情とはあまり良いものではないが、エネルギーになる。力になる。原動力にな

   る。だから、試した。』


名前のない少年『それ、あまり嬉しくないですね。』


信長『まぁ、そう言うでない。負の感情があっても使い方を知らなければ意味がない。文句ばっかり

   言って何もしない奴など、それこそ5万といる。だからわしが、何も持たぬおぬしにチャンス

   をやろう。力の使い方、矛先を教えよう。主君の為に死ぬ覚悟はあるか小僧?』


名前のない少年『俺はもう死なない。あんたを世界一の主君にしてやるよ。』


信長『良かろう。せいぜい無駄死にだけはするでないぞ。役に立って立派に死ぬがよい。』


そうして僕は主君『織田信長』の部下になった。信長はそれから『やる事が山の様にある。』と言って部屋を出て行った。部屋に僕と寝ているオリヴァ、卑弥呼が残された。


卑弥呼『....』


名前のない少年『何をすればいい?』


卑弥呼『....』


気まずい。この卑弥呼という人は喋れないのだろうか?さっきまでの会話を聞かれてたのもあって、とても気恥ずかしい。沈黙がどれくら続いたのだろう。しばらくして、オリヴァが目を覚ました。


オリヴァ『卑弥呼ぉ、おはよう。』


卑弥呼『....おはよう。オリヴァ。』


蚊の鳴きそうな小さな声で卑弥呼がしゃべった。


名前のない少年『..え?..しゃべれる..の?』


卑弥呼『....』


オリヴァ『ハッハッ、こいつは人見知りだから、あんまり喋んねぇんだよ。』


ずっと緊張していたからか、『人見知り』という懐かしいワードに緊張の糸が切れた。


名前のない少年『ハッハハ、なんだよそれ。』


卑弥呼『あなた、名前、無いの?』


名前のない少年『あぁ、覚えていない。』


卑弥呼『不便..すごく..』


オリヴァ『そうかぁ?』


卑弥呼『オリヴァ。うるさい。常識ない。意味不明。』


オリヴァ『なんだとぉ卑弥呼ぉ、調子に乗りやがってぇ。』


名前のない少年『僕も名前がないのは不便だ。卑弥呼つけてくれないか?僕の名前。あと、オリヴァ

        は黙ってて。』


卑弥呼『..え..困る..急に言われても..』


オリヴァ『つけてやれよぉ卑弥呼ぉ』


卑弥呼『じゃあ..ハデス..』


ハデス『ハデス?』


卑弥呼『家康様の見せてもらった外国の本に書いてあったの。死者が行く場所。あなたいつも死にそ

    うだから..』

 

オリヴァ 『良い名前じゃねぇかハデス。良かったな。』


ハデス『あぁ、なんだか複雑な気持ちだが..ありがとう。』


それから卑弥呼に沢山の事を教えて貰った。


つづく..

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