Hello New WORLD's
二作目の作品になります。
よろしくお願いします。
なぜ僕は生きているのだろう?
21世紀末、9月4日。人間‐ホモ・サピエンス‐は進化した。
アメリカ政府の生物工学者、ストイック・バイオ博士は生物工学による
遺伝子操作・移植の人体実験の内容を公表。
生物の形態や能力の改変による超人類、故人・英雄の復元や̚非死‐アモータル‐の存在が発覚。
彼らは新人類・優れた人間‐オプティマス・サピエンス‐を名乗り、旧人類‐ホモ・サピエンス‐からの独立を宣言し、賛同者を募った。
賛同した人々は生物工学の遺伝子操作により、様々な能力を手にした。
生物の特徴の具現化や再現、運動能力や記憶力、頭脳の向上など。
一方で、全ての希望者が『優れた人間』‐オプティマス・サピエンス‐になれる訳ではなかった。
資産の有無や適性、運、さらには失敗のリスクも伴った。
しかし、賛同者は後を絶たなかった。
そして、9か月後の6月26日。
ロシア政府のサイボーグ工学者、ミハイル・グチコフ博士によるサイボーグ工学の人体実験の内容を公表。
新人類の未来はサイボーグ工学(サイボーグとは‐有機的機関と非有機的機関を組み合わせた生き物のこと)にあり、優れた人間‐オプティマス・サピエンス‐による進化は間違いだと主張。
彼らは身体の一部、又は半分以上を非有機的機関に改変。
人体の機械化、脳に埋め込れたマイクロチップによる思考回路の速度向上やネットワーク化、ナノマシーンによる各器官の能力補強などを主とし、新しい人間‐ノウム・サピエンス‐こそが新人類に相応しいという。
12月3日。
両者の主義、主張は折り合わず、ロシア政府はアメリカ政府に対して攻撃を仕掛けると宣言。周りの国も巻き込んで、大きな戦争にまで発展するかと思われた。
12月3日同日、世界各地のモニターがハックされ、映像が流れた。
それは非有機的生命工学によって生み出された電子生命体‐℟uNa‐ルナによるものだった。
‐℟uNa‐はただ悲しみ、それと同時に世界各地の核ミサイルが発射され世界中の所要都市に落とされた。これは想像でしかないが、おそらく‐℟uNa‐は自分の創造主である人間に絶望し、人間によるの世界を終わらせようとしたのだろう。
ミサイルにより世界の3分の2以上の人間が死に絶えた。
優れた人間‐オプティマス・サピエンス‐ も 、新しい人間‐ノウム・サピエンス‐ も、賢い人間‐ホモ・サピエンス‐ も。
これは罪なのかもしれない。
人間‐サピエンス‐は生態系の頂点ではなくなってしまった。
自分たちの生み出した進化の先、非有機的生命工学によって生み出された電子生命体‐℟uNa‐ルナにより管理され、増え過ぎない様に駆除・駆逐される様になった。
自由は奪われ、最低限の栄養で生かされた。様々な実験体になったり、エネルギーを生み出す為の動力、歯車の一部となった。
人間が他の生物にしてきた事と同じ様に。その順番が自分達にも廻ってきたのだ。
何の為に生きているんだろう?
そんな事を考えても意味はない。そんなもの最初からありはしないのだから。
???『ウギャギャギャッ』
目の前が発光し、大きな音がした。目を開けると管理機械兵が火を噴いて倒れていた。
名前のない少年『何があったんだ?』
周りを見渡してみると、僕と同じ人間が何人か。血を流して倒れていモノもいれば、怯えて蹲っているモノ、感情がもうないのか、無表情のモノもいる。
???『ウギャギャギャッ』
奇妙な声がする方を見てみると、見た事のない物体がそこにはあった。
それは赤くて目玉がついてはいるが、それがいったい『何なのか』はわからなかった。
血を流しているので、おそらく生物ではあるのだろう。
こいつがこの管理機械を壊したのか?何の為に?
そんな事を考えていると、倒れている管理機械が動き出した。
管理機械兵『ヴゥーン..再起動します。』
謎の物体『 ヤバイ、ヤバイ、おい!起きろ‼』
その奇妙な物体の隣で倒れている人に言っている様だった。でも、その人は血を流してピクリともしない。
管理機械兵『対象を抹消します。』
謎の物体『おい、人間。誰でもいい。助けろ。』
謎の物体の訴えは空しく、助けに動く者など誰もいなかった。
ずっと僕達人間は、電子生命体‐℟uNa‐ルナの操る管理機会兵達に支配されて生かされてきた。急に謎の物体にそんな事を言われても意味がわからないし、死ぬのが早まるだけだ。
だから僕は..
起きかけた管理機械兵を横から蹴飛ばしていた。
なぜ蹴飛ばしたのかは自分でも上手く説明出来ない。生きている意味がわからなかった。
でも、自分で死ぬ勇気もなかった。いっそ誰かに殺して欲しかったのかもしれない。楽に。僕が蹴った位でこいつを壊せる訳もなく、 管理機械兵がこっちを向いた。
名前のない少年『あぁ、やっと死ねる。』
管理機械兵『抹消します。』
名前のない少年『フフッ..フハハハハッ』
なんだか笑えてきた。そこからの事はもうあまり覚えていない。気が付くと管理機械兵は僕の足元で動かなくなっている。足で機械の頭の部分を踏み潰していた。なんだか痛いな。右肩から先、おそらく顔の右三分の一程も焼け切れて無くなっている。
名前の無い少年『どうせ死ぬならもっと楽に逝きたかったな..』
そう思っていたのだが、廃墟の床で僕は再び目が覚めてしまった。目の前にはあの謎の物体があり、体もなぜかほとんど元に戻っていた。
名前のない少年『ここは何処だ?僕はなぜ生きているんだ..』
謎の物体『ウギャギャギャ..おい人間。俺様に感謝しろよ。』
名前のない少年『君が助けたのか?』
謎の物体『あぁ、そうだ。お前は今日から俺の新しい相棒だからな。』
名前のない少年『相棒?』
謎の物体『そうさ、前の人間はさっき死んじまったからな。』
名前の無い少年『さっき倒れていた人か。』
謎の物体『そうだ。名前はなんだったけかな?まぁ、いいや。』
名前の無い少年『君はそもそも何なんだ?』
謎の物体『俺はOriva‐オリヴァ‐って呼ばれている。何なのかは俺にもわからねぇ。気が付いたら俺だった。』
それから少し、謎の生物オリヴァと話をした。彼自身も自分が何者かはわからないらしい。
おそらく生物工学の遺伝子操作によって生み出されたのだろう。
外見は短剣の様な形をしており、刀身と思われる部分はオリヴァ自身が力むと高質化するが刃はない。
本人いわく刀身部分は尻尾の様な感覚らしい。全身が赤い皮膚の様なモノで覆われており、血管もある。
目玉や口が適当な所から出てきて見たり喋ったりする。小さな手?足?みたいな触手が6本生え、少しだけ自律移動が出来るそうだが長時間は厳しいらしいので、いつも相棒に寄生して生きてきたそうだ。
僕が何人目かは覚えていない。そして、たまに唄う。
トントンッ
オリヴァ『ハイヨォ』
???『オリヴァ。新しいバディを連れてこい。』
オリヴァを持って廃墟の大広間に出た。
そこには10人位の人?がいて、大広間の中心にあるガラクタの山の上にいる3人が話しかけてきた。
真ん中の人『ご苦労だったなぁ。って、お前またバディ(相棒)が変わってじゃねぇかよ。お前は何者だ?』
左側の人『オリヴァはバディ使いが荒いでやんすねぇ。』
右側の人『そんなことより新しい情報は手に入ったのじゃろうか?』
オリヴァ『一気に話しかけるんじゃねぇよクソがぁ。』
名前のない少年『僕も自分が誰で何なのかはわからない。ここはどこで、あなた達は何者なんですか?』
左側の人『頭が高いでやんすねぇ。やっちまいますか殿?』
真ん中の人『猿は黙っておれ。わしの名は織田信長。 ここにいるHidhWORLD's-ハイワールズ-という組織
の日本支部長であり、世界を統一する者よ』
右側の人『ふぉっふぉっふぉっ』
それからその3人と少し話をした。
・真ん中に偉そうに座っていたのが『織田信長』
・左の信長の横に膝まづいていたのが『豊臣秀吉』
・右に正座で座っていたのが『徳川家康』
皆、生物学の遺伝子工学により現世に生き返ったそうだ。他にも世界中に復活した英雄や科学者、著名人がたくさんいるらしい。
信長は明らかに全身サイボーグ工学により改造しており、火縄銃らしきものと刀を携えていた。
秀吉は信長に『猿』と呼ばれ、信長を慕っている様にみえた。
見た目は若く、普通の人間と何ら変わらない見た目をしている。
家康は二人に比べ白髪が混じった初老の姿。扇子を持ち、巻物や本などの書物が周りに積んであった。
記憶力が以上に良いらしく、おそらく何らかで脳をイジっているんじゃないかとオリヴァが言っていた。
信長『それでお前はどうする?』
名前のない少年『わからない。』
秀吉『じゃあ、処分しちゃいやしょう。』
家康『そうですね、秀吉殿。卑弥呼さん』
家康がそう言うと、目の前に何処からともなく人が現れた。狐の面をして体は大きなローブで全身を包んでいる。手には長い機械でできた槍の様なモノを持ち、こちらに向けている。
オリヴァ『どうする?』
名前のない少年『...』
はぁ。もう、何がなんだかわからない。ただ普通に生きていただけなのに。
急に戦争が起こって、みんな死んだ。友達も家族も恋人も。
そして、気が付いたら家畜同然の生活。人間が他の動物にしてきた事の報いなんだろう。
でも、そんなの僕には関係ない。僕はやってないし、そんな世の中を変える力もない。
そして、助かったと思ったら..『処刑する』本当に勝手な世の中だ。
もう、疲れた。
今度こそ終わりにしよう。
名前のない少年『楽にやってくれ』
卑弥呼『....』
卑弥呼が機械の槍を振り上げた時、オリヴァが大き声でな叫び出した。
オリヴァ『あ‘‘ぅ‘‘がば‘‘ぁ‘‘っ』
あまりにも大きな叫びに大気が揺れ、耳鳴りが走った。卑弥呼は声に少したじろぎ、周りがゆっくりに見える。オリヴァを持つ手が濡れている。
信長『愚か..』
信長がこっちをじっと見つめてそう呟いた。
卑弥呼が体制を立て直し槍を振る。
信長の真っ直ぐな眼差しが悔しかった。
秀吉の薄ら笑いに腹が立つ。
家康にいたっては興味がないのか書物を読んでいる。
名前のない少年『俺は..愚かなんかじゃないっ‼』
気が付くとそう叫んで卑弥呼に飛び込み腹を蹴って、顔面を殴っていた。
卑弥呼はそのまま仰け反って後退し構え直すと、持っている機械の槍の先端から赤黒い鎌の刃の様な熱源を放出させた。
僕は感情のままにそのまま叫んだ。
名前のない少年『みんな勝手なんだよっ!全くっ!なんなんだよっ。どいつもこいつも。みんな消えろ。あ‘‘ぁ‘‘あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ』
オリヴァ『イ``イ``ネ``ェ``、イ``イ``ネ``ェ``ウ``ゥ``ハハハハ ッ』
オリヴァの刀身の部分が伸び、奇妙な剣の形に変態した。
オリヴァ『イ``ク``ゾォ``卑弥呼ォ``死ン``デモ``恨ム``ナ``ヨ``ォ``』
卑弥呼『....』
つづく..
少しでも興味が湧いて頂けたら幸いです。