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第104話 小姓風情が

 アルバスト達も心なしか警戒をしていた。一般人が決して立ち入ることの出来ぬ秘奥の間の入り口を前にして足音が止まり、警戒しつつも先頭の影がこちらを覗きこむ。

 オレは渋い顔をし、アルバスト達も鋭い眼をそこに向けていた。


 どこの魔法士団だ。

 剣ではなく杖を手にしているからオレは魔法士団と判断したのだが、肝心な情報は先頭の者のすぐ後ろにいた。堪え性のない男が顔をのぞかせたのだ。


「クレツキ」


 クレツキ・シアラ。

 そう。星読みの塔でも馴染み深い、フェンリル魔法士団副団長、クレツキの姿がそこにあった。

 枢密院殿を殺しかけ、オレも殺すつもりで撃ちかかって返り討ちにしたあのクレツキがここに現れたのだ。


「確かに警邏隊が魔法士団の出撃要請のために信号弾を打ち上げたが、よりにもよってこいつらか」

「ピュー」

「敵になる可能性が大です。ご用心を」

「テロリスト達も臨戦態勢に入ったがの」

「本当ですか?」


 即座に視線を送ると本当であった。明らかにフェンリル魔法士団に対して杖と短剣を向けている。クレツキは間違いなく宰相派だったので、アイツがつるんでる者ならば問答無用で宰相派だろうと思っていたが、アルバストらが敵対行動を取ったなら話が違ってくる。


「どこまでがテロリストと繋がってるのか判断がつきませんぞ」

「攻撃されてからやり返すというのは?」

「それは数に押されて飲みこまれそうな案ですな」

「無理か」

「いや、それぐらいわかって下さい。負荷がかかりすぎると思いませんか? ひい、ふう、みい、たくさん、ですぞ」


 昔の偉人が言う通り、数えるのも馬鹿らしくなった。

 その間にもクレツキが何事か命じると、この場からひとり去った。秘奥の間に入って来ないので後続への指示だな。事態が動きそうだ。

 アルバストらも向こうで何事か囁き合っている。

 さて、枢密院殿が噛んで含めるように外堀を埋めて、オレに魔法を使うよう条件を整えてくれてるが…………、業腹だが、洗脳されてうずくまった振りをしてるコペルニクスに正体を明かしてもらうしかあるまい。


「ピュー。言いくるめろ」


 また無茶ぶりである。しかし雇い主殿の命令だ。


「あー、そこで止まれ、クレツキ」

「なぜ貴様が物を言う。俺たちは魔法士団の出撃要請に従ってやって来たのだ。そもそもなぜ貴様ごときがこの秘奥の間にいるのだ」

「誤認だ。おいコペルニクス」


 団長?

 ざわっとざわついたがそのざわめきも魔法陣の中に入るとすぐに消えた。


「貴様、団長を呼び捨てるか」

「身内は対外的に呼び捨てるもんだろうが」


 しかし洗脳されなかったクレツキをオレはちょっとばかり見直した。


「ふざけるな」

「ふざけてなどいない。そもそも我らが弱らせたところで出て来るフェンリル副団長もどうかと思うぞ」

「小姓風情が我らに刃向かうな。己の身分を弁えよ」


 クレツキの声がうるさい。種族特性か知らんが狼の遠吠えみたいによく透る。

 何だ?

 音がする。

 クレツキの声の後ろで、衣擦れの音、床を踏む足音、そのすべての音の振動がまるで消音したいのに消音しきれないような、そんな鳴り響き方をしている。それも下の方からばかりだ。

 そうか、隠蔽の魔法をかけたが魔法陣に魔気を吸われて、魔法陣により近い足下からの音が露見しているのだ。

 しかし人の姿は見えない。


「透明化の魔法か」


 気がついた時には制圧されているわけか、本来ならば。さすがライムの誇る魔法士団。やることがえぐい。

 しかも洗脳された途端にこれである。こちらはたった二人なのだぞ。

 フェンリル魔法士団がここに何人いるのかは知らないが、入り口から投網を投げたように展開して人波が広がり、包み込むようにして、不可視の魔法をかけた魔法士団が進む。見破られたから、でもそれが何だといった感だ。そしてそれは正しい。わかったからと言ってオレにどうこうできる事もない。


「クレツキ! ハロルド様を守れ。これは命令だ」


 コペルニクスから指示が飛んだ。

 だが重なるようにアルバストが命じる。


「やれ。ガウェイン」


 魔法陣から青白い光が走り、魔力が狂ったように走り回ると、アルバストからゴーサインが出た四人組が、フェンリル魔法士団に先駆けてこちらへ突っ込んで来た。シットスミスと呼ばれていた無口な奴が先頭に立っているので、残る三人の内のだれかがガウェインというのだろう。

 後で冒険者ギルドで指名手配するべき名前がまたひとつ判明したわけだが、これ以上考える余裕はない。

 四人が襲いかかって来ると同時に深紫の闇も拡がった。

 オレは外套を翻しながら、その下に剣を隠すと枢密院殿の元へと下がった。右から二人目の男に隠された剣先が当たって、左腕のどこかを斬った。そのままくるっと回って牽制をしつつ、四人組が深追いせずに距離を取ると、オレは枢密院殿の懐にもぐって肩にかつぐやすぐに秘奥の間の奥に走った。

 振り返った時には四人組はフェンリル魔法士団の皆様方といた。


「ぶつかるかと思った魔法士団とも戦わない、か。仲良し小好しだな」


 オレがアルバストに話しかけると、アルバストは連中を見やり、四人組に遮られても文句も言わずに棒立ちしてる魔法士団に眼で嗤って悪びれもせず言った。


「どうやらそのようだな。敵なら倒す」

「オレは敵だぞ」


 と言うのも今の攻防に倒す気がないように思えたからだ。捕らえに来てるといった感のが強い。


「貴様もこの世界に毒されたようだな。毒された勇者は面倒なので上書きでもいいから我が配下に(くだ)ってもらうぞ。これは絶対だ」

「何というか、自分のことだけを考えてればいいんだな、お前は」

「心が千々に乱れるなら貴様こそ散漫なんだ。自覚すらない。更に面倒なことになりそうだ。それならば」

「力尽くか」

「貴様とてこの世界に義理はないだろう。降れ、我が軍門に」


 ひとつのことだけ考えてたら事足りるなんてのは王族でも王だけだ。それも圧倒的な力を持つ王だけがそれを出来、オレのように異国の地に流れて来た場末の王子は、異国のその地のやり方を知らねば、またその土地から弾き飛ばされて流浪となるだけなのだが、それを言う気もないし、仮に説明しても意見は平行線のままだろう。


 ――この世界。


 ソマ村で邂逅した時からうっすらと感じていたことだが、エルフの棲み家のことを言ってるわけでもなさそうだとオレは感じている。

 むしろその言い方にはエルフの里を追われて流浪してるような気配が色濃く漂っている。


 流浪のままに貧すれば心も貧しくなる。

 オレは降霊召喚で喚ぶ貧乏神さまに、そこら辺の話は聞いている。

 それはこんな感じだ。


 今いる場所は稼がせてもらったが、向こうはもっと儲かってそうだな、あの場所に行けば人生がもっと拓けそうだ。


 そうやって景気の良いところ良いところへとひたすらに流れて行くのを流浪というのだ。その判断が常に正しいとは限らないだろうし、儲かった儲からなかった、様々な機微も絡んで人の利権も関わってくるだろう。

 それでも儲かってそうな所をひたすら探すのは、そこに「生きていける」というただ一事があるからだ。いわば生物の本能だけで生きてゆくような素直な生き方である。

 そうして他者の築いた利の元へと吸い寄せられ、同じような与えられた利益に群がる同類とかち合い、わずかな利得を奪い合わされ、やがて品性というものが浅ましくなって行くのだと、オレはそう理解をしている。


 しかし――。


 オレの場合はそれは選べぬ。オレがリアの矢面にも立たずに楽なところへ楽なところへと流れれば、リアも楽な方へ楽な方へと意図せずとも流されてしまう事となる。

 もし仮にリアの思考がそうなった場合何が起こるかと考えれば、どうせ動けぬなら死も同じことだと、そんな地獄の誘惑へと流れてもおかしくないとオレは思う。そしてその流れをすでに流れていたオレには止めることなど出来なくなるだろう。

 オレもすでに堕落し、それをリアに見透かされてるだろうからだ。

 おそらく、二人して堕ちることになる。


 だが今はまだそうなってない。

 人の世の無常さや儚さも知ってるが、アンナさんもいて、不安や苦しみを前へと進む励みにしている。


 次々と目の前に起こる出来事に、千々に心が乱れ、脈絡もなく翻弄され、押し流される。そんな状況である。それでも食らいついてるのがオレであり、


「そうだな。お前の現状でもあるんだぜ?」


 とオレはアルバストに言った。


「なんだと?」

「だから、お前も散漫だと言ってるんだ」

「私が散漫だと?」

「何故オレにこだわる。オレが幾ら否定しても貴様は人の話を聞かない」

「こだわらないとでも思うのか? 貴様が動けてる時点で貴様自身自分の異常さぐらいわかってるだろう。それが証明にもなっている」


 だから勇者だと?


「魔法陣に触れなければ、どうにかなるようでもあるぞ?」

「なに」

「枢密院殿、指示を」


 そして枢密院殿が最前の位置に取り残されていた警邏隊生き残り三人に、報告と脱出をしろと命じた。だがその動きは寸前で魔法士団に阻まれる。秘奥の間の入り口は、たった今彼らが出て来たばかりの場所なのだ。ルート確保のやり方はオレなんかよりよっぽど習熟してるだろう。


「通すな。だがなりませんぞ、攻撃もしては」


 クレツキが脱出を阻まれた警邏隊の三人に注意をうながす。


「クレツキ! 貴様、団長命令を蔑ろにする気か」


 枢密院殿からの下命であったな、そう言えば。


「いえ……、しかし、王命を受けて」

「王命だと」


 コペルニクスが最早自分の正体も隠しもせずに立ち上がった。

 と同時になぜか入り口への道が(ひら)けた。警邏隊の三人がすかさずそこへ飛び込むかと思ったのだが、彼ら何かには気圧されたようにその場に留まり、それどころか今は一歩ずつ後方へと後ずさり、その場所を占拠してた魔法士団同様までもが脇へとのいて海が割れるように道が開いていた。

 そして奥から階段を下りる足音がカツンと響いた。


「そこにいるのはコペルニクスですか」


 そんな声がした。

 コペルニクスが眼を眇めてその現れる人物を見極めようとするが、彼にはまだ見えないようだ。オレには見えた。割れた人垣から足先が現れる。女の細い足であった。


「サーバの誇る魔法士団団長も洗脳を受けてしまいましたか」


 女からそんな憐れみを含んだ声がした。


「洗脳? 団長がですか?」


 クレツキが呟いたが、こいつはやはり正気を保ってそうだな。しかし正気を保っていてなお王命とは不穏な言葉である。

 そして足先からタイトなスカートを履いた女の腰までが現れ、そこからこちらを覗きこむようにして中年の女が姿を現した。

 つまりあれは王族の女、か。

 王族と言うからにはアート王の妻だろうか。


「枢密院殿、あれはアート王の?」

「いや、オスニエルの妻じゃ。名はホリー。ホリー・サーバ・ルーゲリス」


 なるほど。オスニエルの妻か。となるとあの女が国政会議の際に我らが捕らえた前宰相であるジョージ・アムンゼルの娘であり、王族との血のつながりを求めて宰相であったジョージがねじ込んだ私党の始まりにして礎となった女ちうことになる。

 そんな前宰相の子でアート王の長男オスニエルの嫁。

 チラッと見える顔は厳しい顔つきであった。

 確かに王家に連なる者である。


「いつまで待たせるのですか」


 クレツキが頭を下げる。


「は。部外者が秘奥の間に入り込んでいましたので」

「小姓風情が足止めをしてるのですか」


 冷たい目がオレを通り過ぎる。


「それもたった一人のようではないですか」


 だがその言葉はどうでもよかったらしく、通り過ぎたその目はやがて秘奥の間中央奥に位置するアルバストに向けられた。きっちりと的に定められる。


「わかっているのですか。この地の重要性が」


 その小馬鹿にしたような目にアルバストが反応しかけたのだが、ホリーがサッと手を挙げてそれを遮った。


「とりあえずこれを受け取りなさい」


 ホリーが収納ストレージから何か丸い物を取り出して、それを自分の従者に持たせてアルバストの所へと運ばせた。


「それを」

「これは」

「預けられました。確かに渡しましたよ」


 しかしアルバストはもらったそれを、何度か()めつ(すが)めつ確認すると、帰陣させた四人組に興味なさそうにポイと渡した。


「お前らが使え」


 嫌味のように不遜な声でそう告げた。

 ホリーがカチンと来たらしい。秘奥の間の空気が一気に冷えた。

 うむ。女同士は恐ろしい。平気で感情をぶつけ合う。


(薄い)


 つとそんな声が召喚の場から聞こえた。


(ん? どうされました、天道神さま)


 オレの体内にある召喚の場には未だ風魔の小太郎と天道神さま、それから時量師神(ときはかしのかみ)さまがいる。


(ヒュー、赤い糸じゃ。あれにあるはリアの…………おそらく右手の指じゃ)


 そのひと言を聞かされた途端にオレの心臓がドクンと跳ね上がった。

 右手の指と左手の指はわかるのか?

 わかるとしたら…………並び順か。


(しかし赤い糸の色が薄い。色が薄いのは、封じられてはおるが、封印が薄いからじゃろうか。しかし無理矢理分かたれた、そう、分離したような…………あれだけが何でじゃ)


 天道神さまが更なる疑問を持ったようだがそれどころではなかった。オレはアルバストがそのまま面倒臭そうに、にぎやかし四人組に向けてその玉を持ってけと手で追い払うのを見届け、この場に留まるのには相当な意思が要った。


 なにしろ二つ目である。

 二つ目の手がかりである。


 そのうえ召喚獣のセプティリオンではなく、リアの身体の部位その物が封じられてると云う。光のような、ドス黒いような、オレの内側を様々な感情が渦巻くのは最早どうしようもないだろう。無理に止める物でもないとも思ってるし――。

 あれはオレたち兄妹の目的その物だ。

 だがそんなオレの心情など知る由もない女二人は平然と不穏な空気をはらんだまま歩み寄りもせず、離れたままで会話を交わす。


「あれが手に負えないならこちらを使えとのことでしたよ」

「ご懸念には及ばないと、そうお伝えを」

「伝えられるとでも思ってるんですか? いませんよ、もう。そんなことより魔法も使えない相手にいつまで時間をかけるのですか」


 その中には我らのことはもちろんだが、コペルニクスのことも歯牙にかけてないようだった。自分の国の魔法士団の団長だろうに。

 だがあの丸いのを渡した者がもういないということは、そいつは光速移動の能力者なのだろうか。光魔法の使い手なら今空を見上げれば。

 そう思ってオレが空を見上げると、地下深くにある秘奥の間の天井が十メートルほどの高さでもって全てを遮り、オレは奥歯を噛みしめながらその先に見えるはずの空を睨んだ。

 アルバストの声が透る。


「ここを取る重要性はわかっている」

「本当にわかっているのですか? もう始めますよ」


 ホリーに冷たい目を流され、アルバストが悔しそうに告げた。


「先に進めてくれ。すぐに追いつく」


 だがそこで話は終わらせない者がいた。


「待て。何をする気じゃ」


 と枢密院殿が噛みついたのだ。さすがである。この御仁は空気は読むことはしない。何せオレに用心棒代の報酬としてキャベツ一個を渡した実績がある。オレは本意を押し隠して戦闘態勢に入ったわけだが、枢密院殿だけはずっと自分の職掌に忠実であったようだ。


「何をするとは?」


 ホリーが問い返した。


「始めると言ったであろうが、その口で」

「王族のことを貴方に話すつもりはありませんよ、ハロルド」


 このオレの前で王族。王族と来たか…………。

 ライムに送られる際、属国のことなど全く調べてなかったオレもオレだが、こうも堂々と宣われると知らなかったことが悪い気がしてくる。


 さて――。


 ホリーは自分では王族と名乗ってるわけだが、こいつがオスニエルの妻である以上、最早オスニエルはその王族の地位を剥奪されたも同然である、ということが浮かんでくる。何せテロリストと結託していたのだ。枢密院殿はそれをつぶさに観察、見届けた枢密院でもある。王都の警邏隊中に、今まさに国を捨てたオスニエルの情報が走り回っているはずだ。

 この秘奥の間に詰めていた警邏隊には、おそらく何のことだかわからないだろうが、うむ、色々と後手に回っているな。


「ホリー様。それは最早通りませんぞ」

「通しますよ。私は王族なのですから。それともあなた、私ホリー・サーバ・ルーゲリスが王族ではないとでも言い張りますか? それはいつ、誰が決定しました」

「むっ」


 確かに、まだ剥奪はされてない。だがそれは書類上のことだ。無理は通せるが枢密院殿がどう判断するか。


「構え」


 そのひと言がホリーの連れてきた従者の誰かからぽつんとこぼれ落ちた。と同時にザッと杖や短杖が持ち上がり、我らへ一斉に狙いが向けられた。敵ながら壮観である。秘奥の間に緊張が走り、枢密院殿は受けて立つと言わんばかりに一歩前に出たのだが、ホリーに返事を返しはしなかった。


「わかっていただけたようですね。それでは皆様ごきげんよう」


 ホリーが恭しく枢密院殿と小姓風情に礼を尽くした。

 そしてそのまま振り返らずに階段に姿を消すと、構えたままであった杖があまねく全てが同時に振り下ろされ、全員による一気呵成の魔法攻撃が我らに降り注いだ。


 ふう。


 枢密院殿が返事をしなかったのは、もしかしたらオレの体力を考慮に入れて荒事を引き寄せることを選択しなかったのかもしれない。そのことはこれまでの会話で推して知ることができたから、枢密院殿のことなら今は大抵どう考えるかがわかる。だが奴らにはこちらの都合など斟酌に加える必要はない。

 ましてや洗脳されてる者が多数なのだ。

 フェンリル魔法士団と魔法士団統括部の魔法が、容赦なくオレたちを食いちぎろうとしていた。


 オレは外套から両手を出して腰を落とすと、強制的に向き合わせられた名も知らぬ上位魔法の雨あられに、今ここで手札を探り合ってた慎重な手探りがいま終わったのだと改めて悟った。

 召喚の場は誰も動かないが、事態は動く。

 身体中を打ち顫えるような何かが貫き、それはオスニエルの妻によって投下されたのだとオレは身をもって教え込まれてるわけだが、こうも色とりどりの魔法を見せつけられると魔法の相克によるカウンターなど意味がないことがわかる。

 さて、ホリーは我らにいかほどの恨み辛みを溜め込んでいたのだろうか。

 すぐにぶつけられるのが羨ましい限りだとも思った。


あとがき


 暑くなりました。いよいよ夏本番ですね。皆様ご自愛を。


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