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【IFルート】10年ごしの引きニートを辞めて外出したら自宅ごと異世界に転移してた【集団トリップ】  作者: 坂東太郎
『第四章 ユージは金持ちニートから森の魔法使いにジョブチェンジした』 

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第一話 ユージ、異世界人しかも冒険者と対面する

「だいぶ雪がとけたなー。庭の陽当たりのいい場所は雪解け水も乾いてきたし。もうすぐ春だなー、アリス」


「そーだね、やっと春だねユージ兄! ねえねえ、お庭かわいたから、アリスお外でまほー(・・・)の練習してきていーい?」


「おう! コタローはどうする? アリスと一緒に外に行くか?」


 ワンッ! と鳴いたコタローは、トコトコと外へ向かうアリスを追いかけリビングを出ていく。わたしがみててあげなきゃね、と言わんばかりだ。


 自室へ入り、窓から一人と一匹が庭にいることを確認するユージ。


「よっしゃああああああ! チャンス到来! 外に出られないから昼は一日中一緒だし、夜はアリスが部屋で寝てるし……。さびしいだろうと思って俺の部屋でアリスを寝かせるようになったことを何度後悔したことかッ! なぜ俺はノートパソコンにしなかったのかと何度後悔したことかッ! ついに、ついにこの日が……。太陽さんありがとう! 雪はさっさと消えてアリスが気軽に外に出られるようにしろ!」


 なにやら吠えるユージ。

 いそいそとパソコンに向きあう。


「ついに、ついに……。アリスに隠れてコツコツと……金にあかせて集めた俺の有料巨乳エロ動画たちが火を吹くぜ!」


 クズである。

 隠しフォルダをダブルクリックするユージ。


「ど・れ・か・ら・見・よ・う・か・な! っと。よし、君に決めた!」


 クズである。

 隠しファイルをダブルクリックするユージ。


 モニターいっぱいに動画が表示される。


「おお、まずは着衣のイメージからか! いいねえいいねえ。俺は早送りなんかしないんだぜ!」


 どうでもいいことまで口に出すユージ。

 テンションが上がりきっている。

 期待に胸が膨らんでいる。

 下半身は言うまでもない。


「さあ、タイトルからの本編スタートだ!」



  □ □ ■ ■ □ ■ ■ □ □



【ニートの】10年ぶりに外出したら自宅ごと異世界に来たっぽいpart8【冬籠り】


1:名無しのミート


ここは「ユージ」さんがアップする異世界の情報や画像、動画を楽しむスレです。

ホントに異世界? どうやって加工してんの? は検証スレで。


次スレは>>950を踏んだ方が宣言して立てること!



167:ユージ

死にたい

異世界もうヤダ


168:名無しのニート

よっしゃああ!

リアルタイムにユージ降臨初体験!


169:YESロリータNOタッチ

>>81

アリスちゃんちょっとふっくらしたね


170:名無しのニート

>>169

なぜコイツはまだ捕まらないのか


171:物知りなニート

>>167

どうしたユージ


172:ユージ

めっちゃ好みの厳選巨乳エロ動画を再生したんだ

音声がぜんぶ例のキュルキュルになってた


死にたい


173:名無しのミート

聞いてもいい?

アリスちゃんはどこにいるの?

まさか・・・


174:YESロリータNOタッチ

隣で一緒に見てる・・・のか?

なんという羞恥プレイ

だがそれがいい


175:名無しのニート

>>173

アリスなら俺の横で寝てるけど?


176:名無しのミート

なんか最近へんなのいっぱいわいてるな


177:名無しのトニー

>>176

春だからな

学生は春休みだし

あとさらっと除外すんな

お前も俺も変なのだから


178:クールなニート

>>172

音声の条件はだいぶはっきりしたな

・異世界でユージが撮った動画の音はすべて処理される

・こちらの世界の動画の音もすべて処理される(今回判明・要検証)

・異世界からの電話は通じるが音はすべて処理される

・こちらの世界からの電話も通じるが音はすべて処理される


音に関しては、世界をまたいだら処理される という設定か


179:物知りなニート

つながればいろいろ面白いんだけどなー

178さんがエロ動画にはいっさい触れない件


180:サクラの友達

>>172

ユージさんなにしてんですか…

サクラちゃんも掲示板見てるんですよ


181:インフラ屋

妹の友人ちゃん登場ッ!

ちなみに俺らご近所さんだと思われる


182:名無しのニート

サクラちゃん かきこんでもええんやで?


183:ユージ

>>180

忘れてた

もうヤダ

時空魔法ってないのかな・・・



  □ □ ■ ■ □ ■ ■ □ □



「ユージにぃいいいーーーー! ぼーけんしゃさん(・・・・・・・・)ぼーけんしゃさん(・・・・・・・・)だぁあああーーーー!」


 アリスの慌てた叫び声がユージの耳に届く。


 パソコンデスクにうつぶせていたユージはガバッと上体を跳ね起こす。

 光の速さでファイルを閉じる。

 フォルダを閉じる。

 新規タブからホーム画面を呼び出す。

 ポジションを直す。

 心を落ち着ける。

 ハアハアと息を荒らげ、アリスが部屋に飛び込んでくる。


 セーフである。


「どうしたんだいアリス? そんなに慌てて?」


 微笑みを浮かべながらいつもより柔らかな声で問いかけるユージ。悟りを開いたかのようである。


「あのね、あのね、お庭でまほー(・・・)の練習してたらね、ぼーけんしゃさん(・・・・・・・・)たちが来てね、うーん、もう、こっち! 来てユージ兄!」


 珍しく焦った様子のアリスは、説明するのももどかしいらしくユージの手をひいて外へ向かう。

 されるがままに連れていかれるユージ。

 弥勒菩薩のように穏やかな笑みを浮かべたまま、ユージは外に出る。

 グルルルッと警戒心を剥き出しにして門の先をにらみ、うなるコタローを見てようやくユージは正気に返る。


 コタローの視線をたどると、そこには武装した三人の人間の姿があった。


 異世界人である。

 こちらに向けられていないものの、男の一人は長い刃物を、もう一人は鈍器を手にしている。


 フリーズするユージ。


「ユージ兄、ほら、ぼーけんしゃさん(・・・・・・・・)だよ! ぼーけんしゃさんが来たの!」


 アリスの呼びかけと、繋いだ手をぶんぶん振られたことでユージのフリーズは解凍されたが、突然のことにいまだ混乱しているようだ。


 しばらく無言で見つめ合う。

 ようやく、ユージはどうにか声を絞り出した。


「……こ、こ、こんにちふぁ」


 噛んだ。




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