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若返り

脳天へと一撃を叩きこまれ、ドラゴンはその場に倒れ込んだ。


だが、死亡時の現象が起こらない。


他のドラゴンも未だ座り込んだままなので、そろりと倒れたドラゴンへ近付き


頭に残る焼けた傷口を爪先で蹴り上げる。


その際、ドラゴンが僅かに漏らした悲鳴が生きていることを教えてくれた。


体力だけじゃなく、回復力が凄かったりされたらこちらがやられてしまうので


首を重点的に躊躇いなく刺していると、五回ほど刺した時にようやく光になって消えていった。



そして、それと同時に周囲に座り込んでいたドラゴン達が待っていましたと言わんばかりに立ち上がり


何やらグォオグォオと鳴き始めた。


暫くその状態が続いたのだが、何かを諦めたかのように二匹のドラゴンが座り込み


残った一匹が俺に向かって吠えた。


何となくわかってはいたが、恐らく四連戦しなければいけないのだろう。


流石に疲労困憊なため、何度も何度も戦ってやれる余裕はない。


待ってくれていたドラゴン達には悪いが、ここは一度帰って休もう。



戦闘が始まる前にさっさと逃げ帰り、疲労からくる眠気に身を任せて泥のように眠った。


目が覚めても、疲れが取れることはなく


何度も何度も目を覚まし、その度に眠りに就いた。


何度目かの目覚めの際に、寝汗が気持ち悪くなりシャワーを浴びたのだが


それでも体は重く、思うようには動かなかった。


次第に頭が痛みだし、熱を帯びているはずの身体も寒気を感じるようになった。


ここまできて、ようやく風邪をひいてしまったのだと自覚できた。



ぼーっとした頭で車を運転して病院に行くのも危ないので


少し勿体無いが万能薬を飲み、もう一度眠りに就いた。


どれだけ眠っていたのだろうか


目が覚めると、お米の香りが漂っていた。


「あ、起きましたか? もう少し休んでいてください!」


声をかけてくれたのは百鬼さんだった。


百鬼さんが台所へと駆けていく背中を眺めていると、今度は石川さんが襖から顔をのぞかせた。


「おはようございます! 仕事がひと段落したので遊びに来たら井出さんが発光してたんですよ!」



うんうんと相槌を打ち、話を聞き進めていくと


寝ている俺が突然発光して、触ってみたら体が物凄く熱かったという。


万能薬の効果で、風邪は完治したはずなのだが


寝ている間に発光していたというのが少し引っかかる。


寝起きのままじゃ申し訳ないので、一先ず顔を洗いに行ったのだが


鏡に映った自分をみて、立ち尽くしてしまった。


間違いなく俺であることはわかるのだが、それは十年以上前の姿だったのだ。


唯一違う所は、有り余っていた脂肪が筋肉へと変化していたことだろうか。


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