目標レベル
敵のリーダーが一匹だけだと思い込んでいたが
それが間違いだったということになる。
何度も群れを潰した結果、ネズミ達
或いはダンジョンが学習し、リーダー役に代わるネズミを育成していたのだろう。
これは中々に厄介なことになった。
恐らくだが、この新しいリーダーネズミも一匹だけではなく複数いるはずだ。
それも今は姿を隠し、リーダーネズミがやられたタイミングで姿を現すという
なんとも面倒くさい相手に化けてしまったものだ。
最悪の可能性を潰すため、迫りくるネズミを押しのけてイヤリングを起動する。
一先ず空中へと退避した俺は、すぐにリーダーネズミに向かい速度を上げて接近していく。
逃げようとするリーダーネズミを切り殺すが、ネズミ達の動きは相変わらずだ。
最悪の展開になってしまった。
こうなってしまった以上、この無限とも思えるほどに大量に湧くネズミ達を一匹残らず駆除しなければいけなくなった。
瞬間移動を使い、一度家に戻る選択肢もあるが
再びこちらへ訪れた時、今以上に厄介なことになっている可能性の方がかなり高いだろう。
倒す手段がないわけではないが、ここで使うのは勿体無い気がする。
極氷石と極炎石を使うという、一階層でやったようなことなのだが
それぞれが残り五つと、とても少なくなってしまった物だ。
どちらかの石を二つ使えば、この階層にいるネズミは駆逐できるだろうが
やはり勿体無いと思ってしまう。
石は勿論のことだが、ネズミ達を利用した戦闘訓練にも終止符を打つ形になるからだ。
投げ飛ばされる死んだネズミ達を避けながら、悩みに悩んでいたのだが
ここでネズミ達の動きが少し変わってきた。
それは、リーダーネズミが草で編まれた紙のようなものを見ている間だけであったが
なんとなく理解することができた。
リーダーネズミは育成されたわけではなく、あの紙に指示がかかれているということだ。
いわゆる虎の巻というやつだ。
それはつまり、リーダーネズミは教育されたわけではなく
現在進行形で実践を通し、学習しているというわけだ。
そこまでわかればやることは単純だ。
あの紙を取り上げる。
投石器の後ろで、隠れるように紙を読んでいるネズミへと瞬間移動を使い
切り倒してから素早く紙を奪い取った。
復元されても厄介なので、ポーチへとしまいネズミ達を見渡すと
やはり動きがかなり鈍くなっている。
というより、困惑して棒立ちになっている状態だ。
更に、ネズミを倒しても新しく湧くことも無くなった。
こうなれば後は簡単だ。
サクサクと切り伏せていけば、みるみる内にその数を減らしていく。
全て倒し切り、倒し損ねたネズミがいないことを確認するが
問題なく倒し切れたようだ。
レベル:76 HP:254/755 技能:鑑定 幸運(微) 瞬間移動 鬼人化
目標レベルにも到達したので、このまま三階層へ向かうとしよう。




