表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/170

素材

それから更に二十分後にパトカーが到着し、中から二人の警察官が降りてきた。


泥棒に入られたのは俺の家じゃないため、岡田のおばちゃんと明日香ちゃんがパトカーに乗り


下着以外の盗難があるのかを調べるために、岡田のおばちゃんの家へと走って行った。


さて、ここで目の前にいる泥棒さんなのだが


何やらおかしなことを口走っている。


「こ、これは俺の下着だ! 俺が着替えていたらこの化け物が俺を 俺を!」


何を言っているのだろうか?


完全に頭のおかしい人だった。



真実かどうかは不明だが、十中八九嘘であると誰もがわかるほどに動揺していた。


一先ず、警察で身柄を確保して取り調べを行うというので


後の報告は岡田のおばちゃんの家へと伝える形で収まった。


岡田のおばちゃんと明日香ちゃんには悪いが


まだ深夜なので、俺たちは再び床に就いた。


誰かの携帯電話のアラームが鳴り、その音で目が覚めた。


身体を起こすと、伊崎さんがアラームを止めていたので軽く挨拶を交わし


朝食を作るために、流しへと向かった。



「あ、おはようございます。」


伊崎さんの奥さんが、朝食を作ってくれようとしていたのだが


使ってもいい食材を聞いていなかったので待っていてくれたのだとか。


お米と野菜、それとミラージュフィッシュを用意すると


奥さんが調理するのをしばらく後ろで見ていた。


「おはようございます!」


観察していた俺に、背後から挨拶をしてくれたのは水野さんだった。


「おはようございます。 まだしばらくかかるのでのんびりしててください。」


と、俺を挟んで伊崎さんの奥さんが返事をした。



その言葉を聞き、水野さんが縁側で翠と遊び始めた。


水野さんの後ろを追いかけるあおいが可愛い。


朝からいいものを見れたので、俺もミュータントメロンを採取してポーチに入れておく。


「井出さん、この樹は何ですか?」


「ああ、それは合成樹ですね。最大で三つまでの物を合成すると、この取り出し口から出てくるのですよ。」


その場で、合成樹に生っているスターメロンを指でさし


「このスターメロンも合成樹で作った果物ですよ。」


と付け加え、スターメロンをもぎ取った。



「へぇー! 面白そう! 私も何か作ってみてもいいですか?」


特に断る理由もないので、許可を出した。


しかし、肝心の合成するための素材を持っていなかった。


そこで、試してみたい事を思いついたので


あおいを呼んで羽根を一枚貰った。


あおいの羽根と、あおいの卵を手渡して合成樹へと放り込んでもらった。


そして出てきたのは、薄桃色で半透明の卵だった。


「綺麗な卵ですね!」


適当な思い付きだったが、まさか本当にできるとは思ってもみなかった。


それは、あおいが孵化した卵と全く同じだったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ