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空き巣

もはやバーベキューと化してしまった焼き芋の集まりだが


既に午後十時をまわっているため、お開きの流れになっていった。


三井のおじさんと院長は眠りこけているため、徳利とお猪口の回収は楽にできた。


酔っている状態では、恐らく手放してくれなかっただろう。


洗剤とブラシできれいに洗い、水をきれいに拭いてから庭へ持っていく。


まだ乾ききっていないので、レイズを呼んで軽く温めてもらう。


水が蒸発した所で止めて、新聞紙で包んでから箱に詰めて手渡した。



防犯灯の少ない夜道を、わざわざ歩いて帰らせるのも危険なので


余ってる部屋を使って泊まってもらうことになった。


浴槽は広いので、入浴の順番は男女でわけるだけで十分足りる。


念のため、ダンジョンヘと続く階段へ近付かないように注意をし


男女それぞれの部屋へと入っていった。


男性陣は既に眠っている二人と伊崎さん、それと俺だけなので


適当な雑談をしてから、灰の片づけなどを済ませて入浴した。


その際に伊崎さんから、以前食べたスターメロンがとても美味しかったと言われ


デザートとして出すことにした。



俺を入れてちょうど十人だが、二人は寝ているため除外し


八等分にしたスターメロンを皿に載せ、襖を叩いて声をかけた。


俺も伊崎さんも、既に若干の睡魔に襲われていたので


一人くらい寝ているんじゃないかと思ったのだが、そんなことはなかった。


女性陣は、年齢差はあれど同じ女性


恋愛話に花が咲き、ずっと話していたのだとか。


用件を伝えると、皆喜んでくれた。


だが、ミュータントメロンのことを知っている人は首を傾げていた。


皆には悪いが、今回ミュータントメロンを出さなかったのは訳があってのことだ。



あまり深く考えたわけではないが、岡田のおばちゃんと明日香ちゃんのことを考えてのことである。


明日、古谷さんのレストランで予約を取って食事をするのだ。


時間帯もわかっているので、その際にミュータントメロンを出してもらおうと思っている。


既にSNSでメッセージを送り、返事も貰っているので


皆にはスターメロンで我慢してもらおう。


賑やかな夜が過ぎ、皆が眠りについた頃


プラムがヒラトリの樹から飛び立った。


その音に反応し、レイズもまた駆け出して行った。



この夜、侵入者が現れたのだ。


俺の家ではなく、岡田のおばちゃんの家に・・・。


家に誰もいないのをいいことに、空き巣に入ろうとした人が


プラムに咥えられて、ギャーギャーと騒ぎながら空からゆっくりと降りてきた。


連帯感が強く、互いを信用しているので


この村では鍵をかけることは滅多にない、そこを狙って空き巣など許されないのだ。


いくら騒いでも許さないつもりでいたが


いつもと違い、今日は止まっている人がいることをすっかり忘れていた。


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