巣穴
「モフモフの巣ってどこまで続いてるんだろうな。」
発炎筒の転がる音も考えると結構な深さがあるはずなのだが
最後の一匹が光になると、ドロップ品を回収して巣穴を観察する。
すると、巣穴に変化があった。
ウサギ一匹が通れる程だった巣穴が、通路と同じくらいの大きさに変化したのだ。
「おおー、もう驚かねーぞ」
不思議な事はいくらでも起きそうだしな。
罠に注意しつつ、慎重に進んでいくこと十数分
ついに行き止まりへとたどり着いた。
行き止まりなのだが、壁面に沿うように宝箱が置いてあった。
「3つも・・・」
そう、三つも置いてあったのだ。
以前のネックレスで調べる事ができなかったことが
やっと調べる事ができると思うと、少しだけ胸が熱くなる。
今回は後ろが壁面のため、以前のように後ろから開けることができない。
なので、今回は蓋めがけツルハシで叩く。
中身に傷つかないことを祈りながら、三つとも叩いてみるが
特に何があるわけでもなく、軋む音を鳴らして蓋を開けた。
箱の中にはそれぞれ、指輪・腕輪・よくわからない革紐っぽい何かが入っていた。
周囲の安全を再確認し、鑑定を掛けていく。
硬化の指輪:装着すると物理ダメージを軽減する
抗体の腕輪:毒やウィルスなどの身体の害になる物を浄化する
幸運のチョーカー:レアアイテムのドロップ率が上昇する。使用回数(1/1)
「なるほど」
幸運のチョーカーの説明を見て理解した。
きっと最初のネックレスは鑑定の技能を取得したため消えたのだと。
そのまま浮かれ気分で家へと帰るのだった。
家に戻り、冷蔵庫から肉を取り出す。
そう、蜂蜜に漬けたウサギ肉だ。
「そういえばウサギの肉の別称ってなんだろうな?」
馬ならサクラ、猪ならボタンとか
まあ、どうでもいいのだが。
今回は肉の柔らかさを調べるためなので、軽く焼いて食べることにした。
「んー 見た目はあまりかわらないな」
だが、ナイフを置いた途端に肉の抵抗が無かった。
「は?」
しっかりと形を保っているのに、それでいてまるで水を切っているような感覚だったのだ。
念のため漬けていないほうの肉を切るが、こちらはしっかりとした硬さがあった。
「これが蜂蜜効果か、にしても異常じゃないか?」
ダンジョン産の蜂蜜は、やはり普通のものではなかったらしい。
そして試食にはいる。
「うん、両方うまい!」
小さい頃から良い物を食べてきたわけではないので、大雑把な意見しか言えない。
だが美味しかったのは事実だ。
蜂蜜漬けの方は、舌に運んだ瞬間から溶け出して、甘さの中から滲み出るあぶらっぽさがたまらない。
一方、焼いただけのものも、歯ごたえが強く、噛めば噛むほど香ばしい仄かに甘味を含んだ脂が喉を通っていく。
うん、美味しかった。




