ルカ
魔石の使い道がいまいちピンとこないが、石の方はわかり易い。
思ったよりも種類は少なかったが、量はあるので十分だろう。
ひとまず魔石はしまい、近場の空地へと足を進めた。
結構な広さがあり、燃えるような物もないので火事の心配もないだろう。
石を使っていくと、その効果がよくわかる。
極炎石と極氷石は、二回の使用で砕けてしまった。
ファイアの魔法は、強力な炎を任意の方向に一定時間放つことができる魔法だった。
アイスの魔法は、自分の周囲に氷柱を浮かせて任意の方向に放つ魔法だ。
そして、極風石だが
こちらは一度の使用で砕け散ってしまった。
その代わり
レベル:※50 HP:500/500 技能:鑑定 幸運(微) 瞬間移動 鬼人化 フライ(23h58m/24h)
と、技能の欄に24時間の期限付きでフライの魔法が付与されていたのだ。
試しに使ってみたが、なんとこの魔法
イヤリングとは違い、HPを消費することはなかった。
これならば、突然効果が切れて落下なんてことにはならないだろう。
使い勝手も良いので、いくつか配ってみよう。
出かける準備をしていると、レイズがおやつを食べに帰ってきていたので
レイズを呼んで極風石を使わせてみた。
石が砕けたのを確認し、フライの魔法を使わせると
レイズが空へと走って行き、しばらくすると降りてきた。
これは丁度いいので、レイズの首に紐を緩めに括り付け
そこに巾着袋をぶら下げて旅館へと戻らせた。
巾着袋の中身は、極風石とその説明を書いた紙片が入っている。
十個ほど入れておいたので、古谷さんと別けても五日は遊べるだろう。
レイズが走って行くのを見送ると、部屋に戻り孵化器を取り出した。
すっかり忘れかけていたが、紫色の卵を孵化させるのだ。
卵をセットした後、パソコンへと向かい
以前から興味を持っていた動画サイトで、動画巡りをしていた。
これが中々面白くて、時間が経つのを忘れるほどに見入ってしまった。
すると突然、俺の頬を何かが舐めた。
油断しきっていたので、生温いぞわりとした感覚に背筋が凍る。
恐る恐る振り返ると、紫色の牛がこちらを見ていた。
この体色と、視界の端で割れている卵を見れば判断できる。
それに加えて
パープルカウ ♀ 飼育可能
これが表示されているのだから間違いようがないだろう。
「よし、お前の名前はルカだ! 覚えたか?」
問いかければ、モーモーと鳴いて答えてくれた。
「よし、ルカ! とりあえず外に出ような!」
畳を齧ろうとしているルカを急いで外へと促すと、食べていいものといけないものを教え込んだ。
俺の手入れした場所は綺麗にしてあるが、それはこの敷地の極一部だ。
雑草を片付けてくれるのなら沢山食べてもらおう。




