ミミズ
びしょ濡れになりながらも、目だけにはかからないようにする。
目にかかると、それを拭う間は隙ができる。
現状ではそのような時間はないので、左手でガードを作りながら応戦することになった。
潰しては増え、潰しては増え
そんな戦いが約一時間ほど続いた頃に、俺の正面でトカゲ達の背後から
巨大なミミズが砂から出てきたのだ。
キュルルルルルルウ、とけたたましい鳴き声をあげ
その巨大な口で周囲の砂ごとトカゲ達を吸引しはじめた。
トカゲ達が吸い込まれるとなれば、当然俺もミミズの口に吸い寄せられていく。
つるはしを思いきり砂に突き立てても、すぐに外れてしまう。
トカゲを食べていることから、毒に耐性もありそうだ。
吸い込まれるまでの時間はそう長くはないので
吸引に合わせ、高く跳躍する。
これで吸引の範囲からは逃れられたが、この後が問題だ。
着地する前に吸い込まれれば、それで俺は食われてしまうだろう。
ミミズは目が見えないのか、跳躍した俺を無視して
相変わらず正面だけを吸い込んでいる。
相手の目が見えていないのならば、倒すのは難しくない。
ミミズの頭上からツルハシを振り下ろせば・・・・ほら、この通り。
砂には刺さらなくても、ミミズの肉に突き刺すことはできる。
そして、突き刺さった痛みでミミズは暴れだした。
上に乗っていた俺は振り落とされ、地面に背中から叩きつけられた。
「いってー!!!」
つい叫んでしまったが下が砂であったため、そこまで痛くはない。
だが、メイン武器であるツルハシを持っていかれてしまった。
相手がミミズであるため、再生力には要注意だ。
ここは包丁よりも、切り口を焼ける短剣で応戦したほうがよさそうだ。
短剣を構えて、腰を落とすが
ここでミミズが地面に倒れこんだ。
「わぷっ!ペッ!ペッ!!」
衝撃で宙を舞った砂が口の中に入りジャリジャリする。
意識を逸らされたが、ミミズからの攻撃はなかった。
恐る恐る近づいてみるが、ミミズは全く動こうとしない。
だが消えるわけでもなく、その場に残っているため
とどめを刺す必要はありそうだ。
ツルハシの刺さった場所が再生され、傷口が塞がれている。
ツルハシが抜けないので、短剣でミミズの肉ごと焼き切っていく。
無事にツルハシを取り戻すことができたのだが、ミミズの肉が刺さったままだ。
「うーん・・・」
ミミズの肉は結構な硬さがあったので、再び抜けなくなる可能性がある。
わざわざ面倒な事を増やす必要もないので、今回は短剣だけでミミズを切りつけていく。
何度も何度も切りつけていくが、一向に消える気配はない。




