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宿泊客

とりあえずの説明を終え、石川さんがもう一つ伝えたいことが有ると言う。


話を聞くと、スターアイのことだった。


「とある富豪の方の耳に話が飛んだそうで、これで食器を作りたいそうなんですが・・・。」


なんでも、スターアイは熱には強いが砕けやすいそうだ。


それを利用して、砕いてから溶かせば短時間での加工も可能なのだとか。


「なるほど、ということは量が必要ってことですかね?」


石川さんが、はいと答えたのを確認し


「わかりました、今もって来ますね。」




俺が倉庫へ行こうと振り向くと、石川さんから待ったがかかった。


「えっと、申し訳ないのですが私の力じゃ持って帰ることができなくて・・・。」


苦笑いしながら両手の手のひらを俺に見せる。


話を詰めて、後で旅館の従業員の方が車で受け取りに来てくれるそうだ。


知らない人をこの敷地内に入れることに、多少の躊躇いはあったのだが


旅館の従業員ならば、何度も顔を合わせたことがある。


石川さんと別れ、従業員の方が受け取りにくるまで


SNSの日記を更新することにした。




送られてきたメッセージは、今の所半分くらい読んだが


それでもまだ数万件もの量がある。


暇な時間を潰すには丁度いいのだが、今回は日記の更新だ。


コメントの欄にも沢山の感想が寄せられていた。


そこで、今まで載せることを控えていた動画をアップロードした。


動画の内容は、俺がレイズを撫で回している所を映しただけのものだ。


あおいと翠とプラムはあまり敷地から出ようとしない。


だが、レイズは違う。


レイズは旅館やレストランの客にも人気があり、半ば看板犬あつかいされている。




ここは土地が安く、農地も多い。


人は少ないが、退屈しのぎに農作業をしている人が殆どなのだ。


仲介業者がいないだけで、野菜の価格は格段に安くなるため


旅館もレストランも値段はそれほど高く設定されていない。


これにはもう一つ理由がある。


それは単純に、古谷さんと石川さんが売り上げを度外視で経営しているからだ。


二人は安い価格でも質を落とさずに客を迎え入れることにより


本店の宣伝を含めた経営を目的としている。


もちろん、本命は田舎での生活がそうだが。




一流の料理と一流の旅館。


それがお父さんのお小遣いでも何とか手が届く範囲にあれば


一度は求めてみたくなるのが人間だ。


旅館でも料理は出すが、朝と晩だけで


昼はレストランでの食事となる。


しかし、旅館の宿泊客は宿泊の際に券を受け取り


その券で好きな料理とドリンクを二つずつ食べることが出来るシステムになっている。


そのため、レストランだけを目的に来る客はあまり多くない。


公共の交通機関が殆ど機能していないので、時間に余裕が無ければ来店することが出来ないことが主な理由だ。


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