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最終確認

「院長、許可は取れていますか?」


これは以前、院長に頼んでおいた患者達の親族からの許可だ。


当然、ここに居るというだけで答えは決まっているのだが。


院長が頷くのを見てから、俺は言葉を続けた。


「みなさんの親族からの許可はすでに取ってあります。あとはあなた達が決めてください。」


時間に余裕はあり、院長に話しておくこともある。


伊崎さんに質問があるという患者も居たので、ここは伊崎さんに任せ


院長を連れ出して廊下で伝えておくことにした。



「院長、昨日の海岸のイベントって知っていますか?」


ふむ、と顎に手をやり


「そういえばお見舞いに来ていた子が言っていた気がするが・・・虹を閉じ込めた鉱石・・・だったかのう?」


「ええ、あれも俺が絡んでるんですよ。この話はイベントとは関係ないのですが、今後は少々特殊な移動方法でこちらへお訪ねしようと思います。」


なるほど、と納得した院長が


「それは先程の看護師たちの慌てた様子と関係が?」


と返してきた。


俺は苦笑いしながら頷くことしかできなかった。



「瞬間移動っていうんですが・・・」


そこまで言葉で伝えると、俺はすぐに院長の後ろへと移動した。


「こういう感じになるんですよ。」


トンッと院長の肩に手を置き語りかける。


「これもダンジョンから・・・?」


はい、と答え


「デメリットはありますが、数回程度なら気にするほどじゃないですね。」


あとはお土産のスターメロンをポーチから取り出し


「これはスターメロンという果物です。後で治療した患者さん一人に一つずつ差し上げるつもりです。」




調理場の一角を借り、スターメロンを切って院長を含め


その場に居たスタッフの方々に振舞う。


美味しいと喜んでもらえたのでよかった。


「さて、そろそろいい頃合でしょう。」


院長と共に院長室へ戻ると、伊崎さんが笑顔で迎えてくれた。


「話は纏まりましたよ!」


よかった、これなら大丈夫だろう。


だが、念のためにこちらから最終確認をしておこう。


「それでは配りますので、完治させたいと思っている人だけこちらに一列で並んでください。」



配りながら観察してみたが


伊崎さんの言葉通りに患者達の虚ろだった目に、僅かにだが光が戻っていた。


「さ、グイっといっちゃってください!」


最後の一人に配り終えたが、誰一人として飲んではいなかったので


こちらから少しだけ促してみた。


「飲んだらすぐ治りますよ?」


ね?と伊崎さんに振ると、伊崎さんも笑顔で頷いた。


病室にいたころの伊崎さんと面識があった患者もいたので


それからは一斉に飲みだした。


飲むのに躊躇していたわけではなく、全員一緒に飲むことを最初から決めていたそうだ。


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